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魔王の母(闇堕ち回避して世界を救います!)4話

    創作大賞2026  エンタメ原作部門 応募作 (4/4)


    1話はこちら



    4話



    喫茶店で向かい合って座るアイナとミシャ。

    ミシャ「それじゃ、知ってることを話してもらいましょうか」

    優しい顔でいきなり本題に入るミシャ。

    アイナ「し…知ってることって…?」

    ミシャ「とぼけても無駄よ。この間の塾での話ぶりといい、帰り道で時空魔法についていきなりあんな質問をするなんて、どう考えてもおかしいもの。」

    戸惑うアイナ。
    M(いつもはこんな強引なことはしないミシャなのに…それだけ重大な案件だと察せられたのか…)

    紅茶を一口飲むミシャ。
    その美しい唇から、さらにアイナを言及する言葉が発せられる。

    ミシャ「もしかして、本当に未来を見てきた…とか?」

    青ざめるアイナ。もはや隠せそうにない。
    アイナ(ミシャは多分味方になってくれる。問題はミシャの旦那さんだ…不安はあるけど、仲間は増やしたい…)

    ミシャに話すことを決めたアイナ。

    アイナ「実は…」

    全てをミシャに打ち明けるアイナ。
    (時間経過)


    話を聞き終わり、改めてゆっくり紅茶を飲むミシャ。

    紅茶のカップを置き、そのカップを見つめたまま、呟く。

    ミシャ「…まじか~…」

    耳を疑うアイナ。ん?今まじかって言った!?あのおしとやかなミシャが!?


    ミシャ「カイル君…ルートとあんなに仲良しなのに、魔王になっちゃって…そんな風に殺し合わなきゃいけなくなるなんて…」

    目に涙を浮かべるミシャ。

    それを見てアイナももらい泣きする。
    ミシャに共感してもらえて良かった、とアイナは思う。


    涙を拭うミシャ。
    ミシャ「でも地球が滅亡しちゃうなんて…やばすぎでしょ。アイナ、こんな重大な案件一人で抱え込んでちゃダメよ。私も協力するし、味方を増やさないと。」

    アイナ「それについてなんだけど、ミシャ、このことを旦那さんのランドールさんには話さない方がいいと思うの。」

    ミシャ「そうかもしれないわね…というか、カイル君が闇堕ちしてしまう最大の原因は旦那が率いる反魔族組織がカイル君の父親を殺してしまうことなんだから、うちの旦那が一番やらかしてるのよ。あ~もう、本当に申し訳ないわ…」

    涙が怒りに変わり、頭を抱えるミシャ。

    アイナ「その…もし反魔族組織がこのことを知ってしまったら、闇堕ちする前に、カイルを危険とみなして駆除対象にしてしまうかと思って…」

    ミシャ「そうかもしれないわね。彼らは魔族に対して個人的な恨みを持っている人たちが多いから、過激な思想になりやすいの。旦那もそう。魔族に家族を殺されているからね…私がランドールと結婚したのも、魔族が原因で…」

    ミシャ、少し考え、何か思い当たることがあったようで冷や汗をかく。

    ミシャ「ちょっと待って…もしかして、地球が滅亡するの、私のせいでもあるかも…」

    アイナ「え?」

    ミシャが懺悔するように自分たち夫婦の話を始める。

    【回想を挟みながら語り始めるミシャ】

    ミシャ「彼と最初に出会ったのは、12年前。私が天空の羽衣を地上に落としてしまって…」

    森でようやく羽衣を見つけ、身につけて帰ろうとしたその時、山賊に見つかって襲われそうになる。

    そこへ通りかかったランドール。剣を振るって山賊を撃退し、ミシャを助ける。

    ミシャ「その時はお礼を言って天空に戻ったけど、それ以来私は、天空からいつも彼を探して眺めていた。私は、ランドールに恋をしてしまったの。」
    雲の上から地上を眺める、恋するミシャの顔。

    ミシャ「天空人は、地上で暮らす人間や魔物たちに干渉してはいけない決まりなの。でも、しばらく経ったある日、彼の家が魔物に襲われているのを見てしまって…」

    燃えるような夕焼けの空から降りてくるミシャ。

    光の魔法で魔物を一掃する。

    傷付いたランドールを回復魔法で助ける。

    ミシャ「決まりを破った私は天空から追放され、地上で暮らすことになったの。」

    やがて2人は夫婦になった。

    そしてルートが生まれた。

    【回想終わり】

    ミシャ「本当は、彼もあのとき魔物に殺される運命だったのかもしれないのに…私がそれを変えてしまったのよ…その後彼は反魔族組織を作った。カイルくんが魔王になるのが反魔族組織のせいだとすると、彼を助けた私にも責任があるのよ…」

    アイナはミシャになんと言葉をかければ良いかわからず、黙っていた。

    ミシャ「…ごめん…全力で協力するね。」

    アイナ「うん…誰のせいとかは、ないよ。それも運命だったんだと思う。これまでのことは運命で、これからのことを考えよう。ミシャが仲間になってくれると心強いよ。」

    うなずくミシャ。

    ミシャ「とりあえず、時間を戻す光魔法と、隕石を呼ぶ闇魔法については、私の方で調べておくね。でも、本当に時間を戻したのが、天空の神様だとしたら…」

    アイナ「だとしたら…?」

    ミシャ「ちょっと気になることがあって。色々調べてみるね。あと、カイル君の父親だけど、なるべくみんなの前に出たほうがいいと思うの。危険じゃないってみんなに認識されれば、反魔族組織も手を出せなくなるだろうから。」

    アイナ「そうなのよね…」

    ミシャ「そうだ、来週運動会があるじゃない、カイル君の父親にも来てもらうのはどうかな?」

    アイナ「えええ…?」
    困り果てた表情のアイナ。


    次の日。

    息を切らしながら山を登るアイナ。
    ※2話のときのような心細い様子はなく、たくましく山を登る描写。

    昨日のミシャの話を思い出すアイナ。

    アイナ(…ミシャといいシンシアといい…恋してはいけない人に恋をして、そのせいで地球が滅びることになってしまうなんて…)
    ミシャとランドール、シンシアとゾロを思い浮かべる。

    アイナ「ホント、恋愛って理解できないわ…」
    冷めた表情で呟くアイナ。


    ゾロの洞窟。

    ゾロ「はあ!?運動会に来いって!?」
    手作りの椅子に座り頬杖をつき足を組んで悪態をつく、人間の姿のゾロ。

    向かいの椅子に座り真面目な顔でゾロを見つめるアイナ。
    テーブルにはアイナが持って来た、運動会のお知らせの紙とゾロの好きな地酒の瓶が置かれている。

    ゾロ「なんで魔族の俺が人間のお遊びに付き合わなきゃいけないんだ…」

    アイナ「お遊びなんかじゃないわ、大事なイベントなの。人間のことを知るいいきっかけになると思うの」

    ゾロ「…」

    アイナ「カイルも、本当はいつもパパに来て欲しいって思ってるのよ。でも我慢してるの。パパが来てくれたらカイル、すごく喜ぶと思うわ。」

    ゾロ「ぐぬぬ…」
    席を立ちアイナに背を向け腕を組むゾロ。

    アイナも立ち上がる。
    アイナ「お願い、カイルのためだと思って!」

    ゾロ、考えながら反論する。
    ゾロ「俺を見つけて、石を投げてくる人間がいるんじゃないか?そんな奴がいたら反撃してやるが。でもそういうところをカイルが見たら、きっと悲しませてしまう。」

    ゾロに近付くアイナ。
    アイナ「石を投げて来ないように、私が守るから!天空人のママ友もいるの。その人も協力してくれるって。」

    ゾロ「天空人~?信用できんな…」

    アイナ「ゾロ。これは必要なことなのよ。あなたには父親としての責任があるのよ」

    ゾロ「責任なんてものは、人間が考えたものだろう」
    アイナを睨みつけるゾロ。

    気持ちが変わりそうにないゾロを見て、考えるアイナ。
    アイナ(どうすればゾロが動いてくれるんだろう…?私の本気さが伝わってないのかな…?)

    さらにゾロに近付くアイナ。
    アイナ「私は本気であなたに来て欲しいと思ってるの。お願い…来てくれたら、なんでもするから…!」

    ゾロ「なんでも…?」
    顔をしかめながらアイナの体に視線を這わせるゾロ。
    アイナに近付き、壁に追い詰める。

    ゾロ「本当になんでもする覚悟ができてるのか?」


    ゾロの冷たい表情に、背筋が凍りつくアイナ。

    ゾロを押しのけるアイナ。
    (※本当はアイナの力ではゾロを押しのけることはできないが、ゾロが手加減していたので押しのけられた。)
    アイナ「私はそれだけ本気ってことよ!それなのに…」

    アイナ、自分の手が震えていることに気付く。

    その震えを隠すように後ろを向き、走り去っていくアイナ。

    森の中を走るアイナ。
    アイナ(なんでもする覚悟ってどういうことよ…!?何か酷いことするつもりなの!?私になんか、興味ないくせに…)
    アイナ「私になんか…」
    興味がない、そう思うと何故か表情が曇るアイナだった。


    ゾロの手作りのテーブルに置かれた運動会のお知らせの紙。
    何かに苛つくゾロ。
    その紙を魔法でバラバラに切り裂く。


    そして運動会当日。

    隣の空席を見つめ、ため息をつくアイナ。

    アイナ(…来るわけないよね…)
    眉間に手を置くアイナ。
    アイナ(こうやって他人の言動に振り回されるのって本当ストレス…だから人と付き合うのとか無理なのよね…)

    カイルを応援するアイナ。
    アイナ(ゾロが来なくても、カイルに寂しい思いをさせないように、笑顔でいなきゃ…!)

    昼休み。

    校庭でカイルと一緒にお弁当を食べるアイナ。

    アイナ「カイルすごかったね!徒競争、一番だったね!」
    晴れやかな笑顔のアイナ。

    嬉しそうなカイル。

    ふと少し離れたところに座っているルートの家族の様子が目に入る。父親のランドールに褒められているルート。
    それを見ないようにするカイル。

    アイナ(カイルも本当はパパに来て欲しいんだろうな…)

    ※カイルが小さい頃は「なんでパパは来ないの?」と聞いてアイナを困らせていたが、今では空気を察してそのような質問はしないようになっていた。

    『それでは、最後の種目、学年別紅白対抗リレーです』とアナウンスが入る。『1年生から順番に、学年ごとに紅組と白組が3チームに分かれて6人で走ります。』

    アイナ「それじゃ、午後も頑張ってね!」

    児童席に戻っていくカイル。

    ミシャがアイナに駆け寄り声をかける。

    ミシャ「パパ、来ないみたいね…」

    アイナ「頑張って誘ったんだけどね…本当に、頑張ったんだけど…」

    ミシャ「まあ、できることからやってこう。あと、天空の神様についてあれから調べたんだけど、結構重大なことがわかっちゃって…」

    アイナ「重大なことって…?」

    ミシャ「ここじゃアレなんで、運動会が終わったらまたどっかで話そう。今は子供達の応援を頑張らないと!」

    『次は5年生です』のアナウンス。

    準備運動をする選手たち。カイルとルートは共にアンカーだった。

    母の顔になるアイナとミシャ。
    ミシャ「カイル君、ルートと同じ紅組だと良かったのになあ~。今回は敵同士ね!負けないわよ~!」

    アイナ「ふふふ。ミシャは旦那さんと一緒に応援しなくていいの?」

    ミシャ「そうね。旦那のとこ行ってくるわ!またあとでね!」

    少し離れたランドールの隣に駆け寄るミシャ。
    その姿を見て少し羨ましく思うアイナ。


    「位置について、よーい、ドン!」の掛け声と共にリレーが始まった。

    ルートの白組が優勢のまま、アンカーのルートにバトンが渡る。少し遅れて赤組のカイルにバトンが渡る。

    アイナ(そうだ、5年生の時のリレーって…)

    リレーの結末を思い出し泣きそうになるアイナ。
    目を潤ませながら割れる声で叫ぶアイナ。
    アイナ「頑張れカイル!!!!!」

    カイルがルートを追い抜く。沸き起こる歓声とブーイング。

    「あの子すごい!」「魔族の子でしょ?ずるくない!?」などの声。

    最後の直線。ルートがなんとかカイルを抜き返そうとスピードを上げたとき、ルートはつまずき転倒してしまう。

    後ろを振り返るカイル。

    ゴールまであと少しのところで、走る方向を変える。

    驚くミシャとランドール。
    アイナは前の世界で見た光景なので驚きはないが、感動して涙をこぼしている。

    他の走者たちに抜かされていく中、コースを逆走し、ルートの元に駆け寄るカイル。

    カイル「大丈夫?」

    ルートは悔しさと嬉しさが入り混じった表情で、カイルが差し出した手を掴み立ち上がる。

    沸き起こる歓声の中、ルートに肩を貸しながら共にゴールするカイル。


    アイナ「何度見ても泣ける…」

    泣いているアイナの後ろで低い声が呟く。

    「これが運動会か…」


    アイナが振り返ると、そこには腕を組んだゾロが立っていた。

    人間の姿をしているが、頭には大きなツノが生えているので一目で魔族とわかる。

    アイナ「ゾロ…!」

    ゾロ「なかなか面白いものだな」

    隣で呟くゾロを見つめるアイナ。
    驚きと、怒りと、喜びと、色々な想いがこみあげて胸が熱くなる。
    胸の前で手をギュッと握りしめるアイナ。
    アイナ(これは…恋なんかじゃないからね…びっくりしてるだけだから…)

    カイルもゾロを見つけ「パパ…!」と目を潤ませる。


    周りがざわつく。「魔族だ!」「キャー!!」

    混乱する保護者たち。

    ランドール「危険だから離れてください!」

    保護者たちをゾロから離れるように誘導するランドール。魔法を使った通信装置で仲間たちに応援を要請する。

    アイナ「あの…大丈夫です、何にもしないので…」
    アイナの声は届かず、騒ぎは収まらない。

    カイル「パパ!」

    群衆を押し除けゾロに駆け寄り、抱きつくカイル。

    カイル「パパ、見ててくれた?」

    ゾロ「ああ、見てたぞ。速かったなカイル~」

    カイルに優しい笑顔を見せるゾロを見て、誰かが呟く。

    「そんなに怖くなさそうだぞ…?」「普通の父親じゃないか」


    ランドール「その魔族には知性があります!油断させて急に襲ってくるかもしれません!」

    一旦はゾロを信じかけた群衆たちも、ランドールの言葉で再び恐怖の表情に。
    困惑するミシャとルート。

    「こっちだ!」「魔族はここにいる!」
    応援に駆けつけた反魔族組織の兵士たち。

    武器を構え、ゾロとカイルの周りを囲む。 

    兵士たちを睨みつけるゾロ。 


    4話終わり
    (応募作はここまでです)

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    漫画に関わる色んな仕事がしたい。アシスタントの仕事をしながら、漫画原作も始めました。 夫は漫画家の福島聡さん→https://note.com/satoshifukushima

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