
「川の流れに身を任す」特効薬
悩みは二つに分けられます。
行動で解決できるものと、そうでないものです。
例えば、以前書いた「うつ脱出で最も役立ったこと」に出てくる、お葬式やお墓の費用を安くする工夫などは解決可能な悩みです。
一方で、どうにもできない悩みもあります。
私が経験した「余命宣告を受けた母との死別」がそれです。
この過酷な現実だけは、どんなにあがいても変えることはできません。
悩みを減らすには、「どうにかなる問題」と「どうにもならない問題」を分け、「どうにもならない問題」を解決することにエネルギーを浪費しないことが効果的です。
私は世間知らずの学生の頃、「仕方がない」という言葉が嫌いでした。
安易に「仕方がない」と諦めてしまうから、「しょうもない結果」に終わるのだと考えていたからです。
しかし、社会人になり世間に揉まれると、世の中には「仕方がない」ことが山ほどあると身をもって知りました。
数え切れないほどの「どうしようもないこと」にいちいち過剰に反応し、すべてに全力で立ち向かっていては、心身ともに持ちこたえられません。
エネルギーは枯渇し、挫折が積み重なり、最悪の場合、心を病んでしまうでしょう。
すべての問題が根性で乗り越えられるわけではありませんし、解決に膨大な時間を要する問題も多く存在します。
超人的な魔力で物語を都合よく展開させる架空のヒーローでもない限り、すべての難題を首尾よく解決することなど不可能なのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
一つの解決策として、「仕方がない」ことは、「なるようになるさ」と開き直り、川の流れに身をまかせるようにしてみてはどうでしょうか。
そうすると、だいぶ気が楽になります。
禅語には、「行雲流水」という言葉があります。
これは、「執着から解放されるには、流れる水のように身を委ねることが大事」という考えで、禅僧が実践する修行のひとつです。
どうしようもないことに執着をするから苦しくなって、心身の不調を招いてしまうのです。
おおらかな気持ちになれば、イライラが減り、つまらないことに腹を立てなくなります。
また、短気でなくなれば、自己嫌悪に苛まれてうつ症状が悪化するという悪循環に陥らずに済みます。
私の母は昨年他界しましたが、身近な人が亡くなると、激流に突き落とされるのと同じくらいの激しいショックを受けます。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざもありますが、激流に抵抗して、もがけばもがくほど溺れてしまうものです。
それよりも流れに身を任せれば、浮かびあがって、どこかの瀬にたどり着き、助かるものです。
精神科医でエッセイストの斎藤茂太さんも、現実が苦しくてたまらない場合は、しばらく考えるのをやめて、淡々と生きることを勧めています。
そうすると、気がつけば、最もつらいところを抜け出しているはずだと、豊富な人生経験をもとに語っておられます。
嵐もいつかは過ぎます。
嵐の時は嵐に立ち向かうのではなく、身を守る努力をして、嵐が過ぎるのを待ちましょう。
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