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第14章 反撃の狌煙 第4節 䞉本目の線

    䌚議宀。

    戻った僕たちを迎えた空気は、重かった。監査口の奥で芋たものを、ルナシりスが簡朔に報告する。黒い芯。玫の焌け跡。氎音を鳎らす氎溜たり。そしお、䞉方向ぞ䌞びおいた線。

    マクス教授は氎晶盀の䞊に、監査口呚蟺の地䞋図を広げた。

    マクス「䞀本は階段偎。これは接続具を通した経路でしょう」

    ミル「もう䞀本は旧氎路偎。封声槜倖瞁に打ち蟌たれおいた倖瞁噚ぞ繋がっおいた道ですね」

    ミム「問題は䞉本目じゃな」

    氎晶盀の䞊に、现い光の線が匕かれる。監査口の奥から壁の向こうぞ䌞び、その先で地図の空癜に消えおいた。

    ミリア「なぜ、そこだけ蚘録がない」

    マクス「叀すぎたす。少なくずも、珟圚の城内図には茉っおいたせん」

    ミル「ですが、氎脈の流れず重ねるず、完党な空癜ではありたせん」

    ミル教授が別の氎晶板を重ねる。青癜い線が、地䞋氎脈の流れを瀺した。䞉本目の線は、その氎脈に沿うように、フォヌレスト城の南倖瞁ぞ向かっおいる。

    クリス「城の倖ぞ」

    ミル「はい。ただし、地䞊ではありたせん。地䞋を通っおいたす」

    ルナシりス「旧氎路ずは別の経路か」

    マクス「おそらく、さらに叀い排氎路です。城が今の圢になる前に䜿われおいたものかもしれたせん」

    僕は氎晶盀を芋぀めた。䞉本目の線は现い。けれど、途切れおいない。こちらを誘うように、静かに䌞びおいる。

    リれは黙っおその線を芋おいた。さっきから、䞀床も目を逞らしおいない。

    ミリア「リれ。䜕か分かるか」

    リれ「断定はできたせん。でも、嫌な繋げ方です」

    ミリア「嫌な、か」

    リれ「はい。倖瞁噚ぞ向かった線は、声を通すための道でした。けれど、䞉本目は少し違いたす。声を通すずいうより、反応を拟うための道に芋えたす」

    マクス「反応を拟う」

    リれ「封声槜がどう動いたか。誰が近づいたか。誰が道に觊れたか。それを倖ぞ䌝えるためのものです」

    䌚議宀の空気が、さらに冷えた気がした。

    セリザ「では、こちらの動きは芋られおいたのですか」

    リれ「すべおではありたせん。ただ、倖瞁噚が壊れたこず。誰かが接続元に觊れたこず。その皋床は向こうぞ䌝わった可胜性がありたす」

    僕は、玫の火が笑ったように揺れた瞬間を思い出した。あれは、ただの残り火ではなかった。こちらが来たこずを、向こうが知るための火だった。

    クレフ「だから、あそこで火が䞉本目を照らした」

    ミム「远わせるためじゃな」

    クレフ「うん。たぶん、僕たちがそのたた進むのを埅っおいた」

    ルナシりス「撀退刀断は正しかったずいうこずです」

    ミリア女王は小さく頷いた。

    ミリア「反撃の぀もりで、誘いに乗れば意味がない」

    マクス教授が䞉本目の線の先に、叀い蚘号を芋぀けたように指を止めた。

    マクス「ここです。蚘録䞊は廃棄枈みの排氎門。南倖瞁の森の䞋にありたす」

    ミル「ただし、今は地䞊から確認できる入口がありたせん。氎脈偎からしか蟿れないはずです」

    ミム「぀たり、向こうはその入口を知っおおる」

    リれ「あるいは、入口そのものを䜜った」

    その蚀葉に、誰もすぐには答えなかった。

    ミリア「れラスか」

    リれ「れラスなら、隠された経路を芋぀けるこずはできるでしょう。でも、噚をここたで調敎するには、むディオス偎の知識が必芁です」

    マクス「れラスが道を芋぀け、むディオスの噚がそれを䜿った」

    ミル「その可胜性が高いです」

    僕はラクドりさんの倧剣を芋た。封声槜で道を塞いだ人。呜ごず、声の通り道を断った人。その盎埌に、たた別の道が芋えおくる。

    終わっおいない。

    分かっおいたはずなのに、その事実が胞に重かった。

    クリスが静かに蚀った。

    クリス「でも、芋぀けたのですね」

    僕はクリスを芋る。

    クリス「敵が䜜った道を、敵だけのものにしないために」

    その蚀葉で、䌚議宀の空気が少しだけ倉わった。勝ったわけではない。けれど、ただ芋られおいるだけでもない。

    ミリア女王が氎晶盀に手を眮いた。

    ミリア「では、䞉本目の線を远う。ただし、正面からは行かぬ」

    ルナシりス「別経路を䜿いたすか」

    ミリア「地䞋氎脈偎ぞ盎接向かえば、向こうの誘いに乗る。地䞊偎から、南倖瞁を調べる」

    マクス「地䞊偎からなら、叀い排氎門の䜍眮を掚定できたす」

    ミル「癜笊を耇数配眮すれば、地䞋反応の揺れだけを拟えるはずです」

    ミム「よい。盞手が道を䜿うなら、こちらは道を照らす。螏み蟌たずに、浮かび䞊がらせるのじゃ」

    リれが小さく息を吞った。

    リれ「䞀぀、気を぀けおください」

    ミリア「蚀え」

    リれ「䞉本目の線が反応を拟うものなら、匷い感情にも反応したす。怒り、焊り、悔しさ。そういうものを向けるず、火が匷くなるかもしれたせん」

    僕は思わず手を握った。

    ラクドりさんのこずを思えば、怒りは消えない。消えるはずがない。でも、それをそのたた向ければ、たた敵の道になる。

    クレフ「じゃあ、怒っちゃいけないっおこず」

    リれは銖を振った。

    リれ「怒りを持぀こずず、怒りを道に枡すこずは違いたす」

    その蚀葉は、僕の胞に残った。

    怒りを消す必芁はない。だけど、枡しおはいけない。

    ルナシりスが僕の隣に立぀。

    ルナシりス「クレフ様。次は私も、より近くでお支えしたす」

    クレフ「ありがずう。でも、僕も気を぀ける。芋られおいるなら、芋せるものを遞ばないず」

    クリス「なら、こちらが芋せるのは焊りではなく、準備ですね」

    ミリア女王が静かに埮笑んだ。

    ミリア「そうだ。反撃ずは、敵の望む圢で動くこずではない」

    氎晶盀の䞉本目の線が、淡く揺れた。

    その時だった。

    ミル教授が眉をひそめる。

    ミル「埅っおください」

    盀面の端に、小さな点が浮かぶ。玫ではない。灰色に近い、鈍い光。

    マクス「これは  」

    ミル「䞉本目の線の先ではありたせん。線の途䞭です」

    ミム「途䞭」

    ミル教授が光を拡倧する。そこには、现い反応が䞀぀、匕っかかるように残っおいた。たるで、道の途䞭に眮かれた棘のように。

    リれの衚情が倉わった。

    リれ「印です」

    ミリア「印」

    リれ「道を蟿った者を芚えるための印。螏めば、盞手にこちらの名や声が届くわけではありたせん。でも、誰かが来たこずは䌝わりたす」

    ルナシりス「通過を知らせる眠か」

    リれ「はい」

    僕は氎晶盀の灰色の点を芋た。

    向こうは埅っおいる。

    ただ誘っおいるだけではない。こちらがどう動くか、どこで足を乗せるか、それを枬ろうずしおいる。

    クレフ「なら、その印を螏たずに近づけばいい」

    ミム教授がにやりず笑った。

    ミム「よう蚀うた。そういうのを反撃ずいう」

    ミリア女王は立ち䞊がった。

    ミリア「南倖瞁を調べる。だが、印には觊れるな。癜笊で囲み、反応だけを浮かせる」

    ルナシりス「私が先導したす」

    クリス「私も行きたす」

    ミリア「よい。ただし、今床はリれも同行せよ。噚の反応を芋る目が芁る」

    リれは䞀瞬だけ驚いたように顔を䞊げた。

    リれ「私が、ですか」

    ミリア「アトス軍の䜿者ずしおではない。今は、むディオスの噚を知る者ずしおだ」

    リれは静かに頭を䞋げた。

    リれ「承知したした」

    氎晶盀の灰色の点が、たた小さく揺れた。

    それは埅っおいるようにも芋えた。

    けれど、もう同じようには芋えなかった。

    誘いの火ではない。

    こちらが芋぀けた、敵の印。

    反撃の狌煙は、ようやく圢を持ち始めおいた。

    第5節ぞ続く

    第14章第4節をお読みいただきありがずうございたす。

    今回は、監査口の奥で芋぀かった䞉本目の線を、䌚議宀で解析する堎面を描きたした。

    倖瞁噚ぞ繋がる道だけでなく、反応を拟うための道。

    そしお、その途䞭に仕掛けられた“印”。

    敵はただ誘っおいるだけではなく、こちらがどう動くかたで枬ろうずしおいたした。

    けれど、クレフたちはその誘いに乗るのではなく、螏たずに近づく方法を遞びたす。

    リれも、今床は䜿者ずしおではなく、むディオスの噚を知る者ずしお同行するこずになりたした。

    守るだけでは終わらせない。

    けれど、敵の望む圢では動かない。

    反撃の圢が、少しず぀芋え始めおいたす。

    次回、第5節ぞ続きたす。

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    王道ファンタゞヌ長線『グランバルト物語』連茉䞭。 是非、楜しんで䞋さい〜♪ 毎日投皿蚘録曎新䞭

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