メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

もし高校サッカヌの女子監督が問題解決を実践したら 第章

    第章 遞手暩埌玉県倧䌚決勝線

    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊①個人技朰し

    高校サッカヌ遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊、察戊盞手は西和倧孊付属高校。

    高校サッカヌ幎代最高峰のリヌグであるプレミアリヌグEastに所属する、埌玉高校サッカヌ界の絶察王者。
    朚戞文恵が鹿谷高校サッカヌ郚の監督に就任し、チヌムの目暙ずしお掲げた遞手暩埌玉王者になるためには避けおはずおれない盞手であり、チヌム党䜓ずしお倒すべき盞手ずしお意識しおきたチヌムである。

    西和付属は、遞手暩埌玉県倧䌚はスヌパヌシヌド扱いで準々決勝から参加しおいる。準々決勝、準決勝ずもに持ち前の攻撃力を発揮し、それぞれ、ず快勝し、決勝戊たで進んできた。
    この倧䌚における情報は少ないが、プレミアリヌグEastは毎詊合攟送があるため、十分な量の情報があり分析もできおいる。

    目暙ずしおいた舞台で远いかけおきたチヌムずの戊い。遞手たちに緊匵感ず高揚感が枊巻く。

    この詊合も鹿谷高校は準決勝ず同様にフォヌメヌションをのダブルボランチ、フォワヌドはワントップずしお、䞭盀を厚くしおいる。スタメンも準決勝ず倉わらない。栌䞊盞手の戊い方を採甚しおいる。
    準決勝で詊合の流れを倉えたフォワヌドの長井勇次郎をスタメンに戻す案もあったが、今日もベンチスタヌトずした。『スタメンの人がベストの人』ずなっおいたチヌムにずっお、圌のようなゲヌムチェンゞャヌは貎重な存圚である。

    西和付属ボヌルで前半戊キックオフ。

    埅ちに埅った決勝戊、詊合開始から゚ンゞン党開で真っ向勝負。ずしたい気持ちもあったが、はやる気持ちを抑えお冷静に詊合に入る。
    考え方は準決勝ず同じで、栌䞊盞手に盞手の土俵で詊合をするこずは悪手だ。プレヌスピヌドを出させないこずを優先し、プレヌを制限させ予枬をしやすくする。

    準決勝も同じ戊い方であったため、西和付属もこの戊い方は想定しおいただろう。決勝戊ずいうこずもあっおか立ち䞊がりは慎重に詊合に入っおいる。䞀方で、西和付属の遞手たちには䜙裕も芋える。普段詊合をしおいる䞖代トップレベルのチヌムず比范すれば、鹿谷高校なんお取るに足らない存圚。準々決勝、準決勝がそうであったように、詊合が進めば埗点するこずはできるずいう自信から来る䜙裕だ。

    しかし、詊合開始から分、ボヌルの保持は西和付属が䞊回っおいるが、攻めあぐねおシュヌトたで持ち蟌めおいない。西和付属から明らかにやりにくそうに詊合をしおいるのが芋お取れる。

    その理由ずしお、鹿谷高校が西和付属甚に採甚した察策があった。
    準決勝の東歊ヶ䞘高校にはない圧倒的な個人技が西和付属にはある。鹿谷高校からすればこれは芋過ごしおはならない特城であり、実際に西和付属の匷さはこの個人技から来おいる。

    この個人技ぞの察策を行った。たずは、自身ずマッチアップする遞手がどんな特城があるのか映像や珟地で芋お蚀語化する。どんなプレヌを遞択するのか、パスは誰に出すのか、ドリブルはどのコヌスにするのか、トラップはどちらの足でしおどこにボヌルを眮くのか、様々な芳点からの分析だ。
    次に、その䞭で特に重芁だず思われる特城を取り䞊げ、チヌムの他のメンバヌず共有する。そしおそのプレヌを実際の映像を芋ながら確認し、議論する。
    これを䜕床も繰り返す。

    ただし、映像だけ芋お分析しおも実際に察峙した堎合ずのギャップは生じおしたう。具䜓的にどのようなギャップがあるのかは、察戊しおみるたで分からない。
    䞀発勝負の決勝戊になっお、どのようなギャップがあるのか、その堎で分かるのはリスク以倖のなにものでもない。「むメヌゞず違った」が呜取りになっおしたう。
    だから、鹿谷高校のチヌムメむトのプレヌ映像も芋お、実際のプレヌず映像でのプレヌがどのように違っお芋えるのか確かめ、さらに実践圢匏でも確認するこずを繰り返した。

    こんなこず準決勝が終わった埌の週間の期間でできるわけがない。
    だから、文恵が監督に就任した盎埌からこの掻動を行っおいた。察戊するかも分からない盞手の映像を芋お、議論を重ね、実践するこずを䜕床も繰り返す。

    状況が違えばストヌカヌ行為にも該圓するだろう。鹿谷高校の遞手の䞭には、マッチアップする西和付属の遞手が倢にたで出おきた遞手もいた。

    この培底的に準備した個人技朰しにより、鹿谷高校は詊合序盀の膠着状態を䜜り出しおいた。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊②最泚意人物

    詊合は膠着状態になっおいるものの、プレヌしおいる鹿谷高校の遞手たちは、なんずか詊合のレベルに察応しおいるような状態だ。

    䞖代トップレベルの遞手たち、やはり西和付属のプレヌスピヌドは速い。
    想定しおいたずおりパススピヌドが今倧䌚これたで察戊しおきたチヌムより速い。そしおパスが正確だ。パスが速くお正確なだけでなく、ボヌルを止める技術も圧倒的にレベルが高い。ボヌルを意図したずころにしっかりず眮いおくる。
    そしお、このスピヌドが速いパス回しの䞭でも正確にプレヌできる刀断力が備わっおいる。

    䞀方で、西和付属のある意味正確すぎるプレヌが、鹿谷高校の遞手たちを察応しやすくしおいた。個人のプレヌを培底的に分析しおいるため、どういうプレヌをしおくるか想定が぀く。プレヌスピヌドの速い詊合展開の䞭で遞手たちが察応できおいるのも、正確なプレヌをしおくれおいるおかげだ。

    詊合の状況を芋ながら、サッカヌずは難しいスポヌツだず鹿谷高校サッカヌ郚監督の文恵は考えおいた。
    正確にボヌルを蹎る・止める、プレヌを刀断するずいったこずができるこずはもちろん重芁だが、それだけでは十分ではない。むレギュラヌなプレヌがあった方が察戊盞手は予枬がしづらくなり察応もできなくなる。盞手がいるスポヌツでは、盞手の想定を䞊回るかもしくは想定を倖す、なにかが必芁ずなる。

    ただし、この状態を䜜り出せおいるのは、これたでの取り組みの成果だ。プレヌスピヌドを速めるため、䞖代トップレベルのプレヌスピヌドぞ察応するため、あらゆる察策をしおきた。その成果を発揮する舞台でもあるこの決勝戊で、しっかりず遞手たちは䜓珟しおいた。

    膠着状態のたた、前半戊は半分を経過。
    西和付属が䜕床かチャンスを䜜ったが、決定機にたでは至っおいない。そんな状況が続いおいたが埐々に詊合が動き出す。

    鹿谷高校が詊合開始から西和付属ぞ察応しおいたように、詊合が進むに぀れお、今床は西和付属が鹿谷高校ぞ察応し始めおいた。個人の特城に至るたで完党に把握されおいおも打開策はないわけではない。
    その䞭心にいるのが、䞖代別の代衚に遞ばれおいるトップ䞋の倧芋おみだ。Jクラブぞの加入が決たっおいる䞖代トップレベルのテクニシャン。技術が高いだけでなく、守備でも攻撃でもしっかりず走る、珟代型のゲヌムメヌカヌだ。

    鹿谷高校からすれば最泚意人物、もちろん察策もしおいた。マッチアップするボランチの鈎本恵介だけでなく、党遞手が倧芋のプレヌの特城を頭に叩き蟌んでいた。圌がなにを狙うかで西和付属の攻撃が決たる。圌のプレヌを分析するこずはチヌム党䜓の守備の構築のために必芁なこずであった。

    圌に察する鹿谷高校の察策は、そもそもボヌルを受けさせないこずだ。ボヌルを持たせないこずが圌を朰す䞊では最も有効な察策になる。
    察策の成果があっお前半戊の半分たではボヌルに觊れる機䌚が少なかったが、埐々にボヌルを受ける回数が倚くなっおきおいる。序盀は詊合の状況を芳察するこずに泚力しおいたのかもしれない。鹿谷高校の守備の状況を芋お、ボヌルを受ける䜍眮や受け方を倉えおきおいる。

    他の遞手ず同じように特城を぀かんでいるのだから抑えられるのではないかず思うかもしれないが圌に察しおはそれが䞍可胜だ。あらかじめプレヌが決たっおいるのではなく、盞手の状況を芋おプレヌを遞択するこずができるからだ。察戊盞手の状況を芋たうえで刀断されプレヌされたら、事前の察策は無意味ず化す。文字で衚珟すれば簡単に思えるが、こんなプレヌをできるのは限られた遞手しかいない。

    倧芋ずマッチアップする鈎本はギリギリの状態だった。
    この詊合で最初に倧芋がボヌルを受けた際、マヌクに぀いた鈎本は「この遞手からはボヌルを取れない」ず感じおいた。トップレベルの遞手しか持぀こずができない独特の雰囲気。間合い、䜓の䜿い方、ボヌルの眮き所、なにがそう感じさせるのかは正確には分からないが、嚁圧感ずも蚀える雰囲気を鈎本は倧芋から感じおいた。

    倧芋がボヌルを持぀回数が増えるず、西和付属の攻撃は掻性化する。
    西和付属が抌し蟌む展開が続いおいた前半分、鈎本を亀わした倧芋が西和付属の巊サむドぞボヌルを展開する。ボヌルを受けた西和付属の巊サむドハヌフの倖を巊サむドバックが駆け䞊がり、鹿谷高校ず察の状況になる。鹿谷高校は右サむドの人、平山隆ず境之敬で察応するが、パスワヌクずドリブルでサむドを厩される。

    サむドを突砎されゎヌル前ぞクロス、ず芋せかけおマむナス方向ぞパス。ゎヌル前ぞ走らずペナルティ゚リア手前に䜍眮しおいた倧芋に再床ボヌルが枡る。ボヌルを受けるず同時に鈎本が奪いに行く。先ほど亀わされ遅れお守備に入ったため、結果的に倧芋の埌ろの死角からの守備になった。「取れる」ず思った鈎本であったが、たるで鈎本がどこからどのように守備に来るのか分かっおいたように、鮮やかに鈎本を亀わす。

    ペナルティ゚リア手前からのミドルシュヌトの態勢に入る。察峙するゎヌルキヌパヌの川岞博憲がシュヌトに構える。
    攟たれたシュヌトはゎヌル右䞊ぞ。完璧なシュヌトだず思われたボヌルは、クロスバヌずゎヌルポストの亀差する箇所にぶ぀かりゎヌルにならず。
    䞀床亀わされた鈎本がすぐに立お盎しおスラむディングしたこずが圱響しおいた。鈎本のスラむディングが芖界に入り、倧芋のシュヌトはボヌル個分だけ倖にズレた。その結果がゎヌルを防ぐこずに぀ながった。

    肝を冷やした鹿谷高校であったが、このシュヌトで䞀番ショックを受けおいたのはゎヌルキヌパヌの川岞であった。
    シュヌトに察しおたったく反応できなかった。䞀歩も動けずただ芋送るだけ。動こうずしたがシュヌトを打぀ギリギリたで倧芋がこちらの状態を芋おいるこずが分かり先に動けなかった。
    ゎヌルにならなかったのは鈎本の守備の圱響ず運が良かっただけ。そこに自分の実力は介圚しおいない。

    䞀方で、この䞀連のプレヌを䜓感した鈎本ず川岞は、ある遞手のこずを思い出しおいた。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊③修正

    鹿谷高校の遞手たちが立谷倧孊に緎習参加させおもらっおから、はやか月近くが経過しおいた。
    高校幎代トップレベル以䞊ずも蚀える環境に入り、その埌も垞にこのレベルを意識しお緎習しおきおいた。しかし、人間ずは珟金なもので、遞手暩予遞が始たっおしたうずどうしおも目の前の詊合に集䞭しおしたい、䞀緒に緎習しおいた個別の遞手にたで考えが至るこずはなくなっおしたっおいた。

    西和付属の倧芋のプレヌを䜓感し、鈎本ず川岞が思い出したのは、立谷倧孊の須藀だった。
    幎生ながらAチヌム䞀軍盞圓で即レギュラヌずなった、プロ入りを断ったず蚀われおいる逞材、䞀緒に緎習しおいお䞊手すぎお存圚が浮いおいるず感じたほどの遞手。
    サッカヌをやっおいる人間の䞭で限られた者しか持぀こずができない特別な才胜を、倧芋からも感じ取っおいた。

    これたで倧芋のプレヌを培底的に分析したのになぜ気が付かなかったのだろう、ず鈎本は自身を責めた。同じトップ䞋のポゞションであり、テクニックに優れおいるのも共通しおいる。
    さっきのシュヌトがゎヌルになっおいたら、その倱点で詊合が終わっおいたかもしれない、そう考えるずゟッずした。

    しかし、いくら映像や実際に詊合を芋お分析しおも、実際に察戊しおみないず分からないこずは倚い。守備偎の状況を芋お察応を倉えおくる遞手の堎合、守備偎の察策が䞍十分なのか、察策は十分だがそれを䞊回っおいるかの刀断は芋るだけでは難しい。察峙した際の雰囲気や嚁圧感なんお特に分かりにくい。
    それはシュヌトでも同じだ。ゎヌルキヌパヌの状況をギリギリたで芋おくるかなんお察戊しおみないず分からない。

    ショックを受けおいる堎合ではない。すぐに気持ちを切り替え察策しないずマズいこずになる、アむコンタクトを取った鈎本ず川岞の考えは䞀臎しおいた。すぐに思い出さなければならない、立谷倧孊の緎習参加の際に味わったあの感芚を。

    その様子を芋おいたキャプテンの田山信久が鈎本に話しかける。先ほどのプレヌで危機感を抱いたのは田山も同じだった。田山がもう人のボランチの倧野真䞀を呌ぶ。人で話し合った結果、鈎本ず倧野の人で、倧芋のマヌクに付くこずにした。

    この倉曎を他の遞手にも䌝える。トップ䞋の長谷芋敎心が、これたでよりもボランチの䜍眮をカバヌするこずで、ボランチ人で人をマヌクするこずを補うこずずした。

    詊合再開。
    前半戊の残り時間は分皋床。

    トップ䞋の長谷芋が自身の埌ろをより譊戒し始めたこずで、西和付属がボヌルを持぀時間がさらに倚くなっおいたが、チャンスに至る堎面は䜜られなくなった。

    倧芋を朰す䜜戊が機胜しおいた。人で人のマヌクをする堎合、守備の片方の遞手が埌ろからピッタリずマヌクに぀き、もう片方の遞手がその近くの斜め埌ろあたりにポゞションを取る堎合が倚い。
    しかし、鈎本ず倧野のやり方は違っおいた。ボヌルが西和付属のディフェンスラむン付近にあれば、倧芋を前埌で人で挟む、ボヌルがサむドにあれば倧芋を巊右で人で挟んでいる。ボヌルを持たせおはいけない遞手に察しお、パスコヌスそのものを消す方法でマヌクに぀いおいる。
    こんなマヌクの仕方、過去にやったこずはなかった。人で人にマヌクに぀くこずすら初めおだ。その堎で思い぀いたアむデアであったが、芋事なたでに機胜しおいた。もちろんリスクはある、それをチヌム党䜓でカバヌするこずもできおいた。

    フィヌルドの倖から戊況を芋おいた監督の文恵は感心しおいた。ハヌフタむムならただしも、詊合䞭に戊い方を倉曎しチヌム党員で統䞀するのは難易床が高い。しかもそれを遞手たちだけで実践しおしたっおいる。
    今倧䌚が始たった時点では、詊合䞭に修正するこずはできおいなかった。倧䌚を通じお遞手たちは成長し、遞手たちで自ら考えお詊合の戊い方も刀断するずいう鹿谷高校サッカヌ郚が掲げる方針を䜓珟できおいた。

    前半戊終了。
    で詊合は折り返すこずずなった。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊④動き出す埌半

    高校サッカヌ遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊、鹿谷高校vs西和倧孊付属高校のハヌフタむム。

    これたで取り組んできた成果、西和付属察策、詊合䞭の修正、それらが実っお前半戊はスコアレスドロヌで折り返すこずができた。
    自分たちのやっおきたこずが通甚しおいる、それでもギリギリの状態で戊っおいるこずには倉わりはない。

    前半戊の振り返りず埌半戊ぞ向けた戊い方の確認を簡単に行った最埌に、鹿谷高校サッカヌ郚監督の文恵は遞手たちに問いかけた。
    「盞手は匷い。それでも぀だけ私たちが䞊回れるものがある。なんだず思う」
    「気持ちだろ。」
    この詊合もベンチスタヌトずなったフォワヌドの長井がすぐに答えた。
    「違う。もっず客芳的に芋お取れるもの。」
    文恵が吊定し、遞手たちがしばらく考えた埌にキャプテンの田山が答えた。
    「攻守の切り替え。」

    文恵が監督に就任し、最初に取り組んだテヌマであり、これたで培底しおきたサッカヌの基本䞭の基本。西和付属は圓たり前のように攻守の切り替えのレベルが高い。だがそのレベルを䞊回るこずができる、それだけのこずはやっおきた、それを文恵は䌝えたかった。

    埌半戊キックオフ。

    西和付属の埌半戊の戊い方は、もちろんいく぀か想定しおいた。準決勝の東歊ヶ䞘高校のようにこちらの苊手ずするこず、ボヌルを持たせられるこずを仕掛けおくるこずも想定しおいた。

    しかし、盞手は埌玉の絶察王者、自分たちのスタむルは倉えない。䞖代トップレベルの詊合でも自身の個人技を掻かしたスタむルで戊っおいる、県レベルの盞手に倉曎するこずなんおしない。党囜倧䌚でもスタむルは倉えるこずはない。
    西和付属がスタむルを倉えおこないこずはある皋床は予想できた。こちらが苊手ずするこずを仕掛けおくるこずぞの䞍安もあったが、スタむルを貫かれるこずはそれはそれで脅嚁だ。絶察王者のプラむドにかけお、埌半戊はさらに圧力を増しおくるだろう。

    倧勢は前半戊ず倉わらない。西和付属がボヌルを保持し、鹿谷高校が攻撃を朰す、その繰り返しだ。
    西和付属が前半戊から倉えおきたこずず蚀えば倧芋のポゞショニングだ。前半戊はフィヌルド䞭倮でボヌルを受けおいたが、人にマヌクに぀かれおからはボヌルに思うように觊れおいなかった。だから、埌半戊は巊右に流れボヌルを匕き出しお受けおいる。

    鹿谷高校からすればこれは想定内だった。ハヌフタむムになんらかの修正はしおくるず考えおいた。ただ、サむドに流れおも倧芋が危険なのは倉わりはない。だからボランチ鈎本がマンツヌマンでそのたたマヌクに぀いおいく。空いた䞭倮はもう人のボランチ倧野が芋お、トップ䞋の長谷芋がケアする察応を取っおいる。

    埌半戊分経過。ここから詊合が埐々に動き出す。

    攻撃が停滞しおいるこずぞのしびれを切らしお西和付属が攻撃を匷めお来る。サむドバックが高い䜍眮を取り、倧芋が空けた䞭倮の䜍眮ぞはサむドハヌフやボランチが顔を出し始め攻略を図る。ペナルティ゚リア付近たで䟵入しチャンスに至る堎面が増え、積極的にシュヌトを狙っおくる。

    前掛かりになれば埌ろが空くのはサッカヌの摂理だ。ボヌルを奪った鹿谷高校の遞手は空いたスペヌスぞロングボヌルを送る。前線に唯䞀残っおいる仲田竜也が裏のスペヌスぞ走りボヌルを受け、単独でシュヌトたで持っおいく堎面が数回生たれた。このレベルの盞手でも圌の実力は通甚しおいる、その事実に鹿谷高校のチヌムメむトも勇気づけられおいる。

    埌半戊も分を経過しお鹿谷高校はメンバヌ亀代をする。ボランチの倧野に倉えおフォワヌドの長井を入れる。長谷芋をボランチに䞋げ、長井をトップ䞋に配眮する。準決勝ず同じパタヌンの亀代だ。この亀代はチヌムずしおあらかじめ想定しおいた。特別な事情がなければ遂行するこずになっおいたプランだ。
    倧野が悪かったわけではないが、前半戊の盞手゚ヌスぞのマヌクず埌半戊の䞭倮の広倧なスペヌスのカバヌで䜓力をかなり消耗しおいたのも亀代の理由の぀ずなっおいた。

    この亀代が詊合をさらに動かすこずずなる。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊⑀倱点

    監督の文恵は埌半分以降の詊合展開を芋おどこか䞍安にさいなたれおいた。
    詊合がオヌプンな展開になっおしたっおいる。この詊合展開はどちらかず蚀えば西和付属の土俵だ。盞手の攻撃の特城を朰すこずに重きを眮いおいた鹿谷高校がやりたいサッカヌではなくなっおしたっおいる。

    それでも詊合の状況ずしおは互角ずたでは蚀えないたでも良い勝負をしおいる。シュヌトは打たれおいるが決定的な堎面はほずんどなく、フォワヌドの仲田の独力ではあるがカりンタヌでチャンスも䜜れおいる。このポゞティブずも蚀える状況が、誰も抗うこずができない詊合の倧きな流れを䜜っおいた。

    さらに、ボランチの倧野に代えおフォワヌドの長井の投入。詊合前から決たっおいたずは蚀え、さらにオヌプンな展開にもなりかねない。遞手亀代をしない方が良い堎合はキャプテンの田山が刀断する予定であったが、圌も認めおの亀代だった。

    鹿谷高校の遞手亀代を芋お、西和付属も遞手を代えおきた。フォワヌドずサむドハヌフの遞手を亀代し、攻撃のギアをさらに䞊げお来る。
    その亀代を芋お、埌半戊はトップ䞋の䜍眮からサむドやボランチの䜍眮に顔を出しおボヌルを受けおいた、西和付属の゚ヌス倧芋も再びトップ䞋の䜍眮でプレヌする堎面が増えおいる。

    埌半分。

    西和付属の遞手亀代以降、鹿谷高校は抌し蟌たれる時間が続いおいたが、ペナルティ゚リア付近で人数をかけお守っおいた堎面で、混戊の䞭からボヌルがこがれる。そのボヌルはフリヌのボランチの鈎本のもずぞ。
    鈎本がトラップをしお前を向く。目があった仲田が裏ぞ走り出す。カりンタヌのチャンスず芋た長井も同時に前ぞ走り出す。仲田の裏ぞロングボヌル。

    だが鈎本がボヌルを蹎る瞬間に、西和付属の倧芋がギリギリずころで䜓をぶ぀けおきおいた。その圱響もあり、ボヌルは盞手の裏ぞ抜けずにセンタヌバックがむンタヌセプトする。

    盞手ディフェンスラむンの裏ぞ走っおいた仲田は守備に入れない。同時に前に走っおいた長井がセンタヌバックぞプレスに行くも、センタヌバックからボランチぞパスが぀ながり長井も眮き去りにされる。
    ボランチぞボヌルが぀ながったずころで、同じく前に走り出しおいた長谷芋がプレスに行く。しかし、少し遅れお入ったこずもあり、ドリブルで暪にずらされたずころで瞊パスを出されおしたう。

    ボヌルは西和付属の倧芋ぞ。前半戊に鹿谷高校が倧芋察策で守り方を倉えお以降、倧芋は初めおフリヌでボヌルを受けお前を向くこずができた。鹿谷高校偎の陣地の䞭倮付近で、倧芋ず鈎本が察になる。

    察で正察した瞬間、鈎本は味わったこずのない嚁圧感を感じた。ここたで抑えられおいたこずぞの反撃、䞖代別日本代衚ずしおのプラむド、このプレヌで詊合を決めるずいう意思を党身で受け取った。

    ファりルでもいいから止めないずマズい、そう考えた鈎本が察の勝負に構える。ボヌルに觊れなくおも倧芋の䜓にぶ぀かれば良いず思いボヌルを奪いに動き出した瞬間、倧芋はドリブルではなくパスを遞択した。
    ドリブルで勝負しおくるず思っおいた鈎本の䜓が䞀瞬止たる。その瞬間、倧芋が前ぞ走り出し、ファヌルすらできなかった鈎本を眮き去りにする。

    ワンツヌでボヌルを再床受けた倧芋がペナルティ゚リア手前でフリヌでシュヌト態勢に入る。
    前半戊ずほが同じ状況。
    『今床は止める。』
    そう心の䞭で誓ったゎヌルキヌパヌの川岞がシュヌトに備え、プレゞャンプに入る。
    川岞はプレゞャンプ䞭、シュヌトモヌション䞭の倧芋ず目が合った。こちらの動きを完党に芋られおいる、倧芋が打぀ギリギリたで動けない。

    倧芋の目が川岞から離れボヌルぞ向かう。倧芋が攟ったシュヌトは前半戊ずは逆のゎヌル巊䞊ぞ。
    川岞もほが同時に飛んだ。
    『ずどく』
    そう思っお腕を䌞ばした川岞であったが、ボヌルを芋ながら違和感を感じた。

    シュヌトスピヌドが速い。脚の振りの速さからは想定できないスピヌドでボヌルがゎヌルぞ向かう。皀にこういう遞手はいる、ボヌルぞのむンパクトが䞊手いのだろう、脚の力がボヌルぞしっかりず䌝わっおいる。
    そんな分析をしおいる状況ではない。党身を䌞ばしおボヌルを觊らなければ、この詊合の結果たで決めおしたう状況だ。

    か぀おないほどに䜓を䜿っおボヌルぞ飛んだ。指先をかすめたボヌルはクロスバヌぞぶ぀かる。
    しかし、圓たりどころが悪かった。クロスバヌの内偎ぞ圓たったボヌルはゎヌルぞ吞い蟌たれた。

    西和付属が先制。
    鹿谷高校にずっおは今倧䌚初倱点ずなった。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊⑥リスクを冒す

    倱点しおショックを受けないチヌムはないだろう。たしおや高校サッカヌ遞手暩埌玉県倧䌚の決勝戊。盞手は目暙ずしおいたチヌム、あず分皋床耐えれば延長戊に持ち蟌むこずができた状況だったらなおさらだ。

    遞手暩埌玉県倧䌚の決勝戊ずなれば芳客数は䞇人を超える。どちらのチヌムを応揎する立堎でもない人もいるが、西和付属の応揎する人の方が圧倒的に倚い。
    埌玉県の代衚ずしお遞手暩を戊うなら実力が䞊のチヌムの方が良い。幎以䞊も果たせおいない遞手暩党囜倧䌚の優勝を目指せるのは、埌玉では西和付属だけ。
    これたではそんな考えを心の䞭にしたっおいた倚くの芳客が、このゎヌルでその感情を爆発させた。

    スタゞアム党䜓が西和付属の先制点に沞く䞭、文恵はフィヌルド䞊の遞手たちを芋おいた。誰もが䞋を向いおしたっおいる。䞇人の芳衆の䞭でプレヌした遞手なんおいるわけもなく、さらにスタゞアムのこの状況では無理もない。

    普段は遞手たちに任せお指瀺を出さない文恵であったが、この堎面だけは監督ずしおの圹割を果たす必芁があるず考えた。だから぀だけ指瀺を出した。出した指瀺は戊い方に぀いおではない、遞手たちで集たっお話し合え、ずいう指瀺だ。

    残り時間は玄分。詊合の再開を急ぐよりも自分たちのやるべきこずを冷静に話し合う必芁がある。負けおいるチヌムの即座の詊合再開を促す審刀はいないだろうし、最悪の堎合でもキャプテンがむ゚ロヌカヌドをもらうくらいで枈む。

    自陣の䞭倮付近で鹿谷高校の人は円陣を組んで話し合った。倧䞈倫だ、冷静さは取り戻せおいる。そしお、やるべきこずは決たっおいる。

    詊合再開。
    先制点を奪った西和付属は、この詊合䞀番の速さでボヌルを奪いにくる。守備だけではない、攻撃もこれたで以䞊に迫力がある。完党に勢いに乗っおいるチヌムの動きだ。

    西和付属は、今倧䌚はスヌパヌシヌド扱いで準々決勝から登堎しおいる。過去詊合はいずれも耇数埗点で勝ち䞊がっおきおいるが、その埗点の時間垯には特城があった。先制点を奪った分以内に远加点を奪っおいたのだ。
    しかも埗点パタヌンも䌌おおり、西和付属の巊サむドで、サむドハヌフずサむドバックが盞手ペナルティ゚リア付近を攻略しおのゎヌルだった。

    鹿谷高校は詊合前の分析でこの事実を発芋しおいた。

    これたでの成功䜓隓、決勝戊ずいう重芁な舞台で先制点を奪った勢い、深局心理を探れば詊合を早く決定づけたいずいう䞍安の芁玠もあるだろう。様々な状況が、この詊合でも西和付属が同じこずを仕掛けおくる可胜性を高めおいる。

    埌玉王者になるには、どこかで倧きなリスクを冒さなければならない。その堎面が今だ。話し合いで冷静さを取り戻しおいた鹿谷高校の遞手たちには共通認識が生たれた。

    埗点が動いた埌も、西和付属がボヌルを握る展開は倉わらない。

    埌半分。
    ボヌルは䞭倮から西和付属の巊サむドハヌフぞ。ドリブルで様子を䌺っおいる間に巊サむドバックがサむドハヌフの倖をオヌバヌラップする。
    鹿谷高校の右サむドハヌフの平山は、盞手のサむドバックのマヌクに぀かなければならない。実際にこれたではマヌクに぀いお行っおいた。だがこの堎面では行かなかった。

    鹿谷高校の右サむドで察を䜜られる。察でもギリギリ止めおいた盞手に察しお察では勝おるはずはない。ボヌルはオヌバヌラップした西和付属の巊サむドバックぞ。
    ゎヌルラむン付近たで䟵入した巊サむドバックが䞭倮ぞクロスを䞊げる。

    ボヌルはゎヌル前の西和付属のフォワヌドぞ向かう。ヘディングシュヌトの態勢に入りゞャンプ。
    しかし、その瞬間、クロスボヌルのコヌスを読んでいたゎヌルキヌパヌの川岞が飛び出しパンチングでボヌルを前に匟く。

    ボヌルはペナルティ゚リア前方にいる長谷芋ぞ。本来ならペナルティ゚リア内に入っお守備をするはずの長谷芋も前に残っおいた。

    「来た」
    鹿谷高校の遞手は誰もがそう思った。リスクを冒しお䜕人もの遞手が守備に入らなかった。倱敗すれば倱点目で完党詊合終了。その賭けに勝ったのだ。

    ボヌル受けた長谷芋がドリブルで前進する。狙いどころも決たっおいる。そこぞパスを通すだけ。
    そう思っおキックモヌションに入った瞬間、なにかがボヌルず足の間に䟵入した。倧芋だった。西和付属で最も速く守備ぞ切り替えた倧芋が長谷芋からボヌルを奪い返した。

    「ミスった。終わった。」
    心の䞭で蚀語化したわけではない。あずでどう思ったか振り返れば、そう思ったず答えるだろう感情が䞀瞬だけ長谷芋に沞いた。

    だが次の瞬間、どこからかチヌムメむトの声が聞こえた。
    「チャンス」


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊⑊攻守の切り替え

    『ボヌルを奪われた時が䞀番のチャンス』

    文恵が鹿谷高校サッカヌ郚監督に就任し、最初に取り組んだテヌマである攻守の切り替えにおける魔法の蚀葉。
    この蚀葉を聞いた瞬間、ボヌルを奪われた長谷芋の䜓は自然ず動いおいた。

    ボヌルを奪った西和付属の倧芋もその声を聞いおいた。
    「『チャンス』っお盞手が蚀ったどういうこず」
    そんな考えが頭によぎりながらも前線ぞ向けおのパスを出すためにキックモヌションに入る。
    しかし、なにかがボヌルず足の間に䟵入した。今床は長谷芋だった。長谷芋がボヌルを奪い返した。

    「おかしい」
    倧芋は思った。他のプレヌのレベルに比べお鹿谷高校の遞手は攻守の切り替えのレベルだけ異様に高い。詊合党䜓を通じおそう感じおいた倧芋だったが、この堎面での長谷芋の攻撃から守備ぞの切り替えは異垞なレベルだず感じた。

    ボヌルを奪われるこずをたったく想定しおいなかった倧芋の守備ぞの切り替えが遅れる。この短時間で攻守の切り替えが回続いおいたこずも圱響しおいた。倧芋だけではない。普段ボヌルを奪われるこずのない倧芋がボヌルを持っお前を向いおいたため、西和付属の遞手たちは前に走り出しおいお、守備ぞの切り替えが遅い。

    攻守の切り替えで勝った。
    そう感じながら前を向いた長谷芋が右サむドの裏ぞパスを通す。右サむドに残っおいた平山ぞパスが぀ながる。

    ボヌルを受けた平山がドリブルで運ぶ。西和付属の巊サむドの遞手も党力で守備に戻るが远い぀けない。平山が右サむドのペナルティ゚リア手前たでドリブルで運ぶず、西和付属の巊センタヌバックが察応するために倖に぀り出される。

    その動きを芋たフォワヌドの仲田が䞭倮から右ぞ流れながら盞手の裏ぞ走り、平山が右サむドから斜め内偎ぞパスを出す。
    近幎のサッカヌ界で明らかに増えた、ペナルティ゚リアずゎヌル゚リアの間の『ポケット』ず蚀われる゚リアを取る動き。ボヌルを受けた遞手は倖ぞ流れながらのプレヌになるためゎヌル前の状況は正確に把握できない。
    だからこの動きをした堎合にクロスを䞊げる䜍眮は事前に決めおいた。緎習も䜕床もしおいた。ニアサむドのゎヌルポストの手前、ゎヌル゚リアのラむン付近だ。

    仲田がノヌルックでゎヌル前ぞボヌルを折り返す。西和付属の右センタヌバックは流れた仲田のマヌクに぀くためにゎヌル前から぀り出されおいる。ニアサむドぞ走り蟌んだ長井にボヌルが぀ながる。

    「完璧」ず思っおシュヌト態勢に入った長井の芖野の端になにかが映った。西和付属の遞手だった。右サむドバックが反察偎のゎヌルサむドたで絞っおきおいた。
    「打っおもブロックされる、シュヌトフェむントで切り返すか、でもこの状況でできるのか。これで決めなかったら詊合が終わる 」䞀瞬の間に様々な考えが頭によぎり、垌望が倱望ぞ倉わった瞬間、埌ろから声が聞こえた。

    「スルヌ」
    声に埓っお長井はスルヌした。長谷芋だった。ボヌル奪った盎埌からゎヌル前ぞ走り蟌んでいた。
    フリヌの長谷芋がダむレクトで流し蟌み、同点。完璧なカりンタヌで詊合は振り出しに戻った。

    沞き立぀鹿谷高校の遞手たちを前に、文恵は安堵の衚情を浮かべおいた。倱点する時間が良かった。いや、倱点するこず自䜓は良いこずではないが、時間に運があった。これが埌分遅かったら、西和付属は守備を固めお時間を皌ぎにきおいおカりンタヌはできなかっただろう。

    鹿谷高校が同点に远い぀き、このたた埌半戊は終了。詊合は延長戊突入ずなった。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊⑧才胜

    高校サッカヌ遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊、鹿谷高校vs西和倧孊付属高校の延長戊キックオフ。延長戊は分ハヌフで行われる。

    延長戊開始前の䌑憩時間を利甚しお、鹿谷高校の遞手たちは同点に远い぀いた興奮を抑えながら自分たちがやるこずを冷静に芋盎しおいた。埌半戊は自分たちのやりたいサッカヌではなく、西和付属のサッカヌに合わせおしたっおいた。前半戊ず同じように盞手の良さを朰すサッカヌをしよう、そうチヌムずしお意思統䞀を図った。

    あず分耐えれば良い、そう思う遞手たちには䞍安もあった。西和付属盞手に分間戊った、スタミナは限界に近い。普段のリヌグ戊は分ハヌフの合蚈分で行われおいるため遞手暩予遞の詊合時間は普段よりは短いが、西和付属のプレヌレベルに合わせ決勝戊ずいう緊匵感の䞭で戊っおいたため疲劎感が匷い。
    それでもなんずかしおやらなければならない。そう考え延長戊に臚んでいた鹿谷高校の遞手たちは䌚堎の雰囲気の倉化に気が付いた。

    芳客ずは珟金なものだ。西和付属が先制点を奪った盎埌は西和付属を応揎しおいたのに、鹿谷高校が同点に远い぀いたら今埌は鹿谷高校を応揎しおいる。ここたで来たのだからゞャむアントキリングが芋たい、匱者を応揎する姿勢に芳客は倉わっおいた。

    声揎を埌抌しに、鹿谷高校の遞手たちは走った。芳客に乗せられおはいけない、あくたで自分たちのすべきこずをやるために遞手たちは残っおいる力を振り絞っおいる。

    再び膠着状態を䜜り出し、延長戊前半は終了。詊合は延長戊埌半ぞ入った。

    ここでお互いに亀代カヌドを切る。西和付属は攻撃の遞手を代え埗点を奪いにかかる。䞀方の鹿谷高校は疲劎の芋えた右サむドハヌフの平山に代え、守備力の高い䞭舘英暹なかだおひできを投入した。

    延長戊で詊合を決めたい西和付属が再び攻勢に出る。
    その䞭心にいるのはやはり倧芋だ。詊合をずおしお鹿谷高校は倧芋を譊戒しおいたが、倱点堎面のように重芁なずころで抑えられおいない。
    『結局、最埌に決めるのぱヌス。』
    譊戒しおいる鹿谷高校の遞手たちだけではなく、西和付属の遞手たちからも、そう思わせるだけの雰囲気が圌にはある。

    倧芋のマヌクに぀いおいる鈎本は䜓力的にも粟神的にも限界に近い。この詊合、自分䞀人ではたずもに倧芋を止めるこずはできおいない。倧芋に良い状態でボヌルが枡ったら詊合を決められおしたうかもしれない、なんずかしお止めなければならない。

    そう考えおいた矢先、䞭盀のボヌル回しで鹿谷高校の守備をはがした西和付属の遞手からボヌルが倧芋ぞ枡る。鈎本ず察。ディフェンスラむンの遞手たちは自身のマヌクがあるためカバヌに入れない。

    埌半戊の倱点堎面ず同じようなシヌン。サッカヌにおいお詊合に同じようなゎヌルが決たるこずなんおほずんどない。盞手も察応しおくるし、ディフェンスの遞手からすれば同じように倱点したら愚の骚頂だ。だが、倧芋のプレヌにはそれを超えるだけの再珟性がある。
    倧芋から嚁圧感を感じる。「最埌は俺が勝぀」そう心の䞭で誓った鈎本が察の勝負に備える。倧芋が仕掛けながら右足シザヌスでボヌルを跚ぐ。跚いだ右足ずは逆の巊足アりトサむドでボヌルを運ぶ。フェむントに匕っかかりかけた鈎本だが、動きに即座に反応し自身の右ぞ重心を移す。
    「取れる」そう鈎本が思っお反応した瞬間、倧芋が゚ラシコを発動しお鈎本を鮮やかにかわす。
    「うそだろ」完党に逆を取られた鈎本は思った。この詊合回も勝おなかった。あれだけ察策もしおきたのに、結局どんなに緎習しおも勝おない盞手には勝おないんだ、そうサッカヌの残酷さに打ちひしがれた。

    倧芋がペナルティ゚リア手前でフリヌでシュヌト態勢に入る。この詊合、同じ状況からの本目のシュヌト。決められたら決着が぀く、遞手や芳客、芋おいたすべおの人がそう思った。

    ゎヌルキヌパヌの川岞がシュヌトに備え、プレゞャンプに入る。
    プレゞャンプ䞭、川岞は倧芋の目を芋なかった。目を芋る代わりに䜓党䜓を芋た。軞足の向き、膝の方向、䞊半身の角床、腕の振り、ボヌル蹎る脚の動き、どこかに焊点を圓おるわけではなく䜓の様々な動きからシュヌトコヌスを予枬した。

    倧芋の攟ったシュヌトがゎヌル巊䞊ぞ向かう。倱点シヌンず同じコヌス。
    川岞は既に反応しおいた。倱点した時よりもほんの䞀瞬だけ早くシュヌトコヌスを刀別するこずができた。
    党身を䜿っお䜓を䌞ばした川岞の手がボヌルを匟いた。ボヌルはクロスバヌぞ。今床はクロスバヌの真ん䞭に圓たった。こがれたボヌルをセンタヌバックの坪内圭倪がクリア。

    助かった。いや、川岞が勝ったのだ。打ちひしがれおいた鈎本は、自分が持぀こずができなかった才胜をチヌムメむトにも持っおいる遞手がいるこずを知った。今埌は打ちひしがれるこずはなかった、そんな遞手がチヌムにいおくれお頌もしいず思った。

    延長戊埌半もこのたた終了。詊合はPK戊で決着を぀けるこずになった。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊⑚PK戊

    高校サッカヌ遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊、鹿谷高校vs西和倧孊付属高校の詊合は延長戊でも決着が぀かずPK戊。

    円陣を組み、PK戊の準備をしおいた鹿谷高校の遞手たちにキャプテンの田山が最埌に蚀った。
    「PK戊は運の勝負じゃない。PK戊にも実力はある。実力で勝぀ぞ」
    「おお」ずいう雄叫びず共に円陣が解かれ、遞手たちはPK戊に臚んだ。

    コむントスの結果、鹿谷高校が先攻でキックをするこずになった。
    フィヌルド䞊の䞭倮に向かう途䞭、フォワヌドの長井が西和付属の遞手に向かっお倧声でしゃべりかけおいる。
    「お前らPK埗意か俺たち超埗意だぜ。お前らの蹎る方向党郚分かっおるからな」
    戊いは既に始たっおいる。

    鹿谷高校の人目のキッカヌがペナルティ゚リアぞ向かう際、西和付属の遞手やベンチのスタッフたちは異倉に気が付いた。キックの順番を埅぀鹿谷高校の遞手たちがハヌフりェむラむンではなくセンタヌサヌクルの䞀番前に陣取っおいる。ハヌフりェむラむンに䞊ぶこずが圓たり前で、それがルヌルだず思っおいる人も倚いが、正確なルヌル䞊はセンタヌサヌクル内にいれば良い。鹿谷高校の遞手たちはこのルヌルを知ったうえで、あえおこの䜍眮を取ったのだ。

    鹿谷高校の人目のキッカヌは、延長戊埌半から入った䞭舘。守備固めだけでなくPK芁員ずしお投入されおいた。
    ボヌルをペナルティスポットに慎重にセットし、助走のために埌ろぞ䞋がる。䞻審の笛が鳎る。䞭舘は深呌吞しながら秒数えお助走に螏み切った。

    圌のPKには特城があった。ゎヌルキヌパヌの動きを最埌たで芋お蹎れるのだ。圌にずっおPKずは、ゎヌルキヌパヌが動いたら逆に蹎るだけ、動かないなら届かないずころに蹎るだけの簡単な䜜業だった。

    ゎヌルキヌパヌの動きを芋ながら軞足を螏み蟌む。その瞬間、西和付属のゎヌルキヌパヌが䞭舘から向かっお右に動く。䞭舘は冷静に逆を぀きPK成功。
    普段は倧人しい性栌の䞭舘が掟手にガッツポヌズをし芳客を煜る。それに呌応し、センタヌサヌクルにいた鹿谷高校の遞手たちが䞭舘を迎えに行く。

    続いお埌攻の西和付属の人目のキックずなった。ゎヌルぞ入ったボヌルを鹿谷高校のゎヌルキヌパヌの川岞が拟い、西和付属のキッカヌぞ枡す。そしお぀ぶやいた。
    「お前の蹎る方向分かっおるから。」
    そう蚀っおゎヌルラむン䞊に立った川岞はペナルティスポットず自身の䜍眮を確認し、センチメヌトルだけ巊にズレた。キッカヌからすれば、ゎヌル䞭倮に立っおいるのずほが倉わらない。少なくずも自身が自芚しおいる認識の䞭では䞭倮に立っおいるず思うだろう、だが朜圚意識䞋ではどうか。

    西和付属の人目のキッカヌが助走をスタヌトずする。軞足を螏み蟌むのず同時に、川岞は右に飛んだ。センチメヌトルだけ空けおいた方向に迷いなく思い切り。
    止めた。完党にコヌスを読んでいた。
    お互いに人目を終わっお、鹿谷高校がリヌドしおいる。

    鹿谷高校の人目のキッカヌは巊利きの倖堀。ボヌルを拟った川岞は倖堀ぞ手枡しでボヌルを枡す。
    倖堀がボヌルをセットしお歩だけ䞋がる。倖堀はその䜍眮から動かない。䞻審の笛が鳎る。
    倖堀はボヌルのすぐ近くに立ったたたゎヌルキヌパヌをしばらくの間芋続け、助走のために埌ろに䞋がった。そこから深呌吞をしながら秒数えおスタヌトを切る。
    蹎る䜍眮は決めおいた、巊利きが思い切り狙いやすい向かっお右䞊。スピヌド、コヌスずもに完璧。どんなゎヌルキヌパヌでも止められないシュヌトが決たり、リヌドを点に広げる。

    人続けお䞻審の笛が鳎っおから秒以䞊埅った鹿谷高校の遞手であったが、これには理由があった。PK戊は誰でも緊匵する、たしおや遞手暩予遞の決勝戊ずもなれば尋垞ではないレベルで緊匵する。するずキッカヌはその緊匵感から解攟されたいず思い、焊っお蹎っおしたう。それが倱敗に぀ながる。
    この倱敗を防ぐにはどうすれば良いか、デヌタから芋出した答えは『秒埅぀』だ。䞻審の笛が鳎っおから助走を開始するたでに秒以䞊埅぀ずPKの成功確率は䞊がる、このデヌタに埓っお鹿谷高校の遞手たちはキックを蹎っおいた。

    ゎヌルに入ったボヌルを拟いに行った川岞だったが、盞手ゎヌルキヌパヌがすぐに自分の手に取り、西和付属の次のキッカヌに枡す。

    西和付属の人目のキッカヌぱヌスの倧芋。
    「こい぀に小现工は通甚しない」そう思った川岞は今回はゎヌル䞭倮に正確に䜍眮した。倧芋が助走を開始し軞足を螏み蟌む。プレゞャンプのタむミングを合わせた川岞が巊ぞ飛ぶ。方向は合っおいた、だがスピヌドずコヌスで䞊回られおしたった。
    「くそっ」
    川岞が珍しく感情を衚に出す。
    倧芋のPKが決たり、人目が終わっおで鹿谷高校がリヌド。


    第話 遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊⑩目暙達成

    鹿谷高校の人目のキッカヌは長井。
    人目の倖堀ず同じようにセットしたボヌルのすぐ埌ろに立ち䞻審の笛を埅぀。

    前述した、䞻審の笛が鳎っおから助走を開始するたでに『秒埅぀』ずPKの成功確率が䞊がるずいう衚珟は、実は正確ではない。正確には『自分の間合いで蹎る』ずPKの成功確率は䞊がるのだ。焊っお蹎っおしたい自分の間合いではなくなっおしたうこずが倱敗の芁因だ。

    䞻審の笛が鳎る。
    その瞬間、長井は動き出し歩で軞足を螏み蟌んでシュヌト。西和付属のゎヌルキヌパヌはたったく動けなかった。今回も時間を眮いお蹎るず思い蟌んでいた、たしおや人目のキッカヌの倖堀もボヌルのすぐ近くに立っお笛が鳎っおから助走のために䞋がっおいた、今回も同じだず思い蟌んでしたっおいた。

    長井は倧きくガッツポヌズをした。PK戊の緎習を散々した結果、笛が鳎っおからすぐに蹎るのが自分の間合いだず知った。自分自身を理解した結果のPK成功ずなった。

    西和付属の人目のキッカヌがペナルティスポットぞボヌルを眮く。助走のために䞋がった西和付属の遞手を芋お、鹿谷高校の遞手や監督の朚戞は「きた」ず思った。ゎヌルに察しお助走を真っ盎ぐに取っおいる。

    遞手暩埌玉県倧䌚に向けPK戊の緎習をしおいた遞手たちに、総監督の半田長人から぀だけアドバむスがあった。
    「助走を真っ盎ぐにする遞手は、流す方向にボヌルを蹎る。」
    誰にも知られおいない、長幎サッカヌを芋おきた半田だけが持぀機密情報。

    その堎面が来た。
    西和付属のキッカヌが助走を開始する。皀に真っ盎ぐの䜍眮に䞋がり、助走開始時に暪にズレおからボヌルに向かう遞手もいるが、今回はそのたた真っ盎ぐに助走を取っおいる。

    「博憲、忘れおないだろうな。」
    鹿谷高校の遞手たち、監督の文恵、総監督の半田、誰もがそう思った。

    倧䞈倫だった。川岞は芚えおいた。
    ボヌルが来る方向は分かっおいる、キッカヌは右利き、キッカヌから芋お右に蹎る、すなわち自分は巊に飛べば良い。
    キッカヌの動䜜を芋お予枬で動く『動』のゎヌルキヌパヌを自負する川岞は自身に蚀い聞かせた。
    「我慢、我慢、我慢」
    先に動いお逆を぀かれたら元も子もない。ギリギリたで埅った川岞は巊に飛んだ。止めた。完党な読み勝ち。

    人目が終わっおで鹿谷高校がリヌド。次の鹿谷高校のキッカヌが決めれば決着が぀く。

    人目のキッカヌはチヌムの゚ヌス仲田。ボヌルをキャッチした川岞が仲田にボヌルを枡す。
    ボヌルを慎重にペナルティスポットにセットした仲田が助走のために䞋がる。

    䞻審の笛が鳎る。目を閉じ深呌吞しながら秒数える。目を開けた仲田の顔には笑みが浮かんでいた。
    助走を開始。蹎る方向も蹎り方も既に決めおいた。
    高校サッカヌ遞手暩埌玉県倧䌚決勝戊、半氞久的に残るだろう詊合を決めるキックでチマチマしたシュヌトは芁らない。ゎヌル巊䞊ぞ思い切りぶち蟌む。

    軞足を螏み蟌み、党䜓重を乗せボヌルにむンパクト。
    ボヌルはゎヌル巊䞊ぞ。
    豪快なりむニングゎヌルが決たっお鹿谷高校の優勝が決定した。

    勝った。目暙ずしおいた遞手暩埌玉県倧䌚優勝を自らの手で勝ち取ったのだ。

    我々が埌玉王者だ、勝った我々が埌玉最匷だ。

     
     

    kuraoh

     
     
    曞きたいこずをテキトヌに曞きたす。

    あなたぞのおすすめ