【創作】風と匂いと記憶
雨上がりの6月
アスファルトに湿った匂い。
白い雲が空を覆っている。
夏が近づいていた。
靴の裏で潰れる感触。
潰れた赤い実。
アスファルトに弾ける。
ふと思い出す
あの頃の帰り道を
今日みたいな夕方だった。
学校の帰り道
水たまりを避けながら
物語を考えていた。
学生たちが出てくる話だった。
いつか形にしたいと心のどこかで思っていた。
でも何も形にできないままだった。
その子たちにどんなストーリーが待っているのか
今もその続きを知らない。
きっともう知ることもない。
それでいいと思った。
私がずっと探していたのは
一瞬であの頃に戻れる今日みたいな風だから
仕事の帰り道、ふと昔のことを思い出しました。
音や景色、匂いで、 急に過去の記憶がよみがえることってありませんか?

