
創業30年【大反省の巻 ベクトル合わせ】
愛知県名古屋を拠点に活動しているIT中小企業経営者の苦悩やピンチをどの様に乗り切っているのかを社員教育(共育ち)と仕組みなどを中心に赤裸々に語ります。 現役の経営者や将来経営者を目指している方に向けて書きますが、一番読んで欲しいのは社員の方かもしれません。
この話は、創業から10年ほど経った頃の出来事です。
当時の私は、
「私と社員全員の価値観を同じにすること」
「同じレベルの高さにそろえること」
これこそが“全社員の一体感”だと信じ、皆の前でも熱く語っていました。
しかし、いくら語っても理念は浸透しません。
そんな時、
ある若いコンサルタントがやって来て、
「社員全員にアンケートと面談をさせてほしい」と言いました。
私は最初、“やっても意味がない”と断りましたが、強く勧められ、中堅社員以上ならと承諾しました。
数週間後、
出てきた結果を見て、私は愕然としました。
「理念は社長の考えであり、押し付けられている」
「価値観を押し付けられている」
「社員の意見を聞いてくれない」
ほかにも、たくさんの“ダメ出し”が並んでいたはずですが、ショックで細かい内容は覚えていません。
「そう思っているなら言ってくれればいいのに…」当時の私はそう感じました。
でも、今なら分かります。
社員が言える環境ではなかったのです。
私は創業時の「黙って俺について来い」という風土のままで、理念を一方的に押し付けていたのです。
コンサルタントと別れた帰り道、
車の中で大泣きしました。
本当に号泣しました。
「みんなに申し訳ない」
「理念経営と言いながら、ただの価値観の押し付けになっていた」
まるで、
「俺は肉が好きだからお前も好きになれ」
「俺は酒が飲めるからお前も飲めるだろ」
と言っているようなものです。
理念は、私の生い立ちや思想、夢を語り、
中堅社員たちから一年間「なぜ?なぜ?」と徹底的に突っ込んでもらい、
上っ面ではない“確かな想い”に磨き上げてきたつもりでした。
だから私は、
「みんなも同じ戦士だ」と思い込んでいたのです。
確かに私たちは“社会で戦う仲間”です。
しかし、目的(理念)が同じでも、価値観は違う。
違っていて当然。
違っているからこそ良い。
私は私、あなたはあなた。
この大前提を理解していませんでした。
では、どうすれば理念という“目的”に向かって考え方をそろえられるのか。
それは、価値観を合わせるのではなく、“基準値”を決めること。
私はこれを「ベクトル合わせ」と呼んでいます。
「スピードを持ってやってください」ではなく
→「新幹線の“超特急”くらいのスピードで」
「困ったら報連相しましょう」ではなく
→「30分考えて迷ったらすぐ相談」
「売上を優先するのか信頼を優先するのか」ではなく
→「お金も大切だが“一番ではない”」
このように、“具体的な基準”をそろえるのです。
もちろんマニュアルも必要ですが、マニュアルだけでは限界があります。
社会の変化はどんどん速くなり、毎日なにが起きるか分かりません。
だからこそ、
誰もが自分で判断し、行動できる“基準”が必要なのです。
相手が誰でも同じ対応をするような、
マ◯ドナ◯ドやMr.ド◯ナ◯ツ式のマニュアル対応では通用しません。
マニュアルでは補えない、日々の出来事から生まれる“ベクトル合わせ”。
これこそが企業の風土となり、ノウハウとなり、「良い会社」「強い会社」の土台になります。
今は、ひとりの優秀なトップが10年、30年、50年と会社を引っ張る時代ではありません。
目的(理念)を共有する多くのリーダーが力を合わせる時代です。
だからこそ、
我が社は“社員が主人公”なのです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。