
創業30年【最大なる危機】
2008年9月、アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻し、世界の金融市場が連鎖的に混乱しました。いわゆる「リーマンショック」と呼ばれた世界的な大不況です。当時、わが社は創立9年目の秋を迎えていました。
起業から3年目までは順調で絶好調。しかしその後、売上が伸び悩み衰退が始まり、経営に不安を抱えながら試行錯誤していた時期でした。
リーマンショックから1年後、わが社にも影響が現れ、受注がみるみる減少し、売上は7割減にまで落ち込みました。
社員を絶対に守ると心に決めていたものの、キャッシュはどんどん減っていきます。銀行から何度も借入れ、国の補助金や助成金も活用しましたが、それでも足りません。
「やはりリストラしかないのか……」。
そう思い、数人の社員代表に相談しました。私自身も給与をカットし続けていましたが、このままでは会社が倒産し、全員を路頭に迷わせてしまう。そうした私の思いを理解してくれ、社員全員が1割、2割、3割と給与カットに協力してくれました。
みんな本当によく耐えてくれました。しかし、リーマンショックが落ち着く頃には、1人、また1人と退職者が出始めました。労働局に通報する社員もいましたが、その一方で、経営の厳しさを理解し、助言や支援をしてくれる心強い行政の行員さんもいました。
結果として多くの社員が去りましたが、残ってくれた社員もいます。そしてその社員たちが現在の幹部として会社を支えてくれています。なかには、今も私の心の支えになっている社員もいます。今ではリーマンショックを知らない社員のほうが多く、すっかり昔話になりました。
2026年で28期を迎えますが、やはりリーマンショックが最大の crisis(危機)でした。
しかし、この大不況を乗り越えた経験は、大きな自信となり、その後のコロナ禍や東日本大震災などの困難も「小さな不況」として冷静に対応することができました。
この経験から学んだのは、たとえ社員の中に不満を抱く者や裏切りのような行動を取る者がいても、経営者である私は決して社員を裏切らないということ。そして、「一度辞めた社員は戻らない。だからこそ、社員は数ではなく、理念を共有できる質で採用すべきだ」という学びでした。
その後、離職率は大きく下がり、今では年間に1人辞めるかどうかという状態になっています。採用基準も引き上げましたが、最近は中小企業全体で採用難が続いており、少し基準が甘くなっているのかもしれません。
最後まで読んで頂きありがとうございました。