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繊細な五感が、みつける小さな秋

晴れた日の秋空は、
青々と澄んで、どこまでも高くて。


あまりにさみしいから、
カラスでも飛んで欲しいとおもう。


けれどかえって、
空の広さを感じてしまって。


どこか、もの悲しくなりました。


秋の空 廓寥かくりょうとして 影もなし
あまりにさびし 鳥からすなど飛べ

石川啄木『一握の砂』より


短歌で有名な石川啄木たくぼくは、

秋の空をみて、

廓寥かくりょう= 広大で虚しく、ものさみしい様子

と詠みました。


今日はそんな、
秋の訪れのお話はいかがでしょう。


ひといちばい考えすぎて、
いろんなことを感じ取ってしまう、
無気力でHSPなボクがみつけた小さな秋です。



季節が急加速する秋


いつからだろう。
秋がこんなにも短くなったのは。


以前は緩やかで、
雨が降るたび少しずつ秋に近づいたのに。


いまはギリギリまで暑さが残り、
慌てるように寒さが訪れます。


けれど、
どんなに短くなったとしても。


目や耳は季節の移ろいを逃さず、
気温や気圧の変化を、肌で感じています。


時にはそれで、
不調をきたしてしまうけれど。


空気や温度に敏感なボクは、
目に見えない季節の変化を、
全身の感覚で、しっかりと捉えています。




朝起きて、肌寒さに少し震える


その朝は、目が覚めてすぐ、
手足が冷えていることに気づきました。


寝るときは少し暑くて半袖だったけれど、
タオルケット1枚ではちょっと寒い。


鼻もむずむずして、くしゃみが3連発。


それで頭は一気に覚醒したものの、
冷え切った体はすぐに動いてくれない。


布団を引っ張り出し、
うずもれるように、ちいさく丸まります。


半袖から出る 二の腕 に、
布団がさわさわ触れて。

夏でも冬でもない、
不思議な感覚が少し、こそばゆい。


お布団の魔力 … 




急激に変化する、気圧と気温


しばらくして体は温まっても、
起き上がるのがちょっと億劫で、ずんっと重い。


「そういえば、いつもより外が暗い…」


そう呟きながら、
カーテンの隙間から窓を見ます。


日の出の時間はとうに過ぎてて、
明るい陽の光が注いでくる、はずだった。


そこでやっと、
窓や屋根を叩く音に気付きました。


「ああ、また雨か…」


時計を見ると、きっかり就寝から6時間。
今日もアラームより先に目が覚めてしまう。


4日ほど、
しとしと続く、長い雨。


身体も頭も、思考もどんよりと重くて。


ため息と一緒に、
もういちど布団に全身を預けます。


秋の長雨のあいだは、
地球の重力に勝てそうにありません…


秋の空は、七度半変わる


夏から秋に変わるころ、
気圧の変化は非常に激しくて。


気温や気圧の急激な変化に、
自律神経は乱れてしまいます。


頭痛や倦怠感。
鼻詰まりや、止まらない せき。


風邪とは違う、ちょっとした体の変化に、
ああ、そんな季節かなんて、ため息を吐きます。



風がはこぶ、季節の香り


日が変わり、
長い雨もやっと終わって。


久しぶりに太陽が顔を出しました。


体調も回復しつつあったから。

後回しにした用事を
済ませるために部屋をでます。


夏の間の空気を、
時間をかけて洗い流して。


すっかり空気は、あおく澄んでいました。


秋風が運ぶのは、
どこかで咲く 金木犀きんもくせいの香り。


満開を迎えると、
1週間ほどで散ってしまうその花は。


甘くやわらかで、
華やかな香りがします。


…じつは正直、強すぎるその香りは、
ボクはあまり得意ではありません。


( 好きな方がいたら、ごめんねっ。)


においにも敏感なものだから。

香水や、強い花の香りに、
車酔いするような感覚になるんです。


けれど、
それほど強い香りだから。


風に乗っても消えることなく、
秋を知らせにきてくれるんですね。




レジ横に並ぶ、秋の誘惑


秋の香りをほんのり身にまとって、
いつものコンビニへと入ります。


少し前までは、
オアシスのように涼しくて。


店内に入ると急激に汗が引くほどだったのに、
今日は、そこまで冷えてなくて。


おにぎりコーナーの冷気が、
歩いて少し火照った体に、やさしく触れます。


少し遅い朝ごはんに、
おにぎりを2つ手に取り、レジへ向かう途中。


アイスコーヒーが詰められた、
冷凍ボックスがないことに気が付きました。


代わりに視界に入ったのは、
ほかほかに温まった、 中華まん たち。


数秒、考えて。


ボクはおにぎりを棚に戻しに行きました。




踏みしめる落ち葉に、潜む銀杏


手には肉まんと、ホットコーヒー。


このまま外で食べたくなって、
近くの公園に入りました。


車も、自転車も入れない公園は、
ほんの少しだけ、特別な空間。


ブランコ、シーソー。
動物がモチーフの小さな滑り台。


遊具の横を通り過ぎて、
落ち葉の先にあるベンチに腰掛けました。


猫舌だから、 あつあつ は苦手。


少し冷めるまで、
座りながら空を見上げてみます。


夏の間に生い茂った葉は、
すっかり色を変えて、地面におりて。

代わりに広くなった空を、
1羽のカラスが、鳴きながら飛んでいきました。


その一瞬だけ。

あとに残ったのは、どこまでも抜ける青でした。


舌を やけど しました。あちち…


肉まんとホットコーヒーを、
美味しくいただいたあと。


公園をぐるっと回って出ようとして、
おもわず足を止めてしまいました。


黄金色に輝くイチョウの絨毯。
陽の光を反射して煌いて、すごい魅力的。


だけど。


イチョウの実 …
銀杏ぎんなん の強烈なにおい!!


勘弁して~!


ボクは逃げるように、
でも銀杏を踏まないように、


怪しげなステップを踏みながら、
公園をあとにするのでした。



あわてて沈む太陽、のんびり長い夜


用事を済ませた帰り道。

外はすっかり、夕方のにおい。


お迎えに急ぐお母さん。

買い物帰りのおばあちゃん。

疲れたような、ほっとしたような、
今日をやりきったような顔の会社員。


その間を、
まだまだ遊び足りなさそうに、
ランドセルを揺らして走り抜ける子どもたち。


夕飯の支度も、あちこちではじまって。
今日は魚かな?あっちはカレーかな?


いろんなひとの一日が、生活が、
ゆっくりと終わろうとしている。

冬に向けて、
また ひとつ、季節は歩む。


いつもよりも、陽が落ちるのが早くて。
風は冷たい夜の色。


ちょっとした寂しさをおぼえながら、
帰る方向へ足をむけます。


ぽつぽつと点き始めた街灯のなか、
見つけたのは素敵な眼鏡屋さん。


「眼鏡、新調しようかな。」


ふいに思い付いて、
何気なくショーケースを眺めていると。


また、金木犀の香りが、
風にのってほんのり香ります。


終わりに近づく季節のはずなのに、
どこか新しいことが始まりそうで。

やわらかな甘い風に、
少し、胸が高鳴る気がしました
。


細くてクラシカルな、ボストン・フレーム …憧れるなぁ


10月が始まります。
秋はもうすぐそこ。

さわやかに吹く、律りちの風にのって。
あとすこし、みんなで今年を駆け抜けよう。


ー ー ー お し ま い ー ー ー


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