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楽しいのに、楽しめなかったこと。



にぎわう場所は好きなのに、疲れてしまう。
小さいころの夏祭りの記憶は、
いつもそんな感じだった。
 


Chapter 01


たくさんの人にあふれ、
楽しそうな声が飛び交う。


やわらかい提灯の光が並び、
身体を震わせるような花火の音と、
空には極彩色の、大輪の花火。


露店からは、焼きそばやたこ焼きの、
食欲をそそる香りが立ち込めて。


わたあめ や りんご飴の、甘いかおり。
くじ引き、射的、金魚すくい。


いつもと違う、新鮮な世界に、
子どもたちの無邪気な声が集まって。


たくさんの驚きと、わくわくと。


目の前に迫るように開く花火は
今でも憶えています。


でも同時に、
人の波に流されてしまいそうになって。


たくさんの音、
大きな話し声があちこちからあふれて。


炭の煙、焦げるにおい。


喫煙スペースは、
たばこの煙であふれかえり。


それらはボクの五感を一斉に刺激して、
帰る頃には、いつもぐったりでした。


たくさんの人の、声と感情の中で、
ボクは「迷子」になっていたんです。

  

AI Art Museum DAY1 「夏祭り」

 
 


非日常的な空気に包まれて、
ワクワクが止まらない。


特別な夜に感じて、 とても楽しい。

…はずなのに。
 
 


Chapter 02


人が集まる場所や時間は、
そんなに得意じゃない。


楽しむことはできる。


でも、だんだんと、
ひとりになりたい感覚が強くなる。


人工的なノイズの少ない、森や川、海。
そんな自然の音が恋しくなる。


耳の奥に残る、花火の音。
まぶたの裏に浮かぶ、提灯の明かり。


賑やかな声や、祭囃子、太鼓の音は、
本来なら気分を高揚させるものなのに。


だんだんと耳が疲れて、痛くなる。


楽しかったはずなのに。
心も身体も、まだ少しだけ騒がしい。

  

AI Art Museum DAY2 「海」

  

朝の海に、裸足になって足をつける。


ひんやりした水。
頬をなでる潮風。
寄せては返す、波の音。


同じ音波であるはずなのに。
海の波音は、不思議と心地よかった。


自分の呼吸音や、
心拍の音を取り戻していく。


たくさんの人や物に埋もれていた自分が、
少しずつ輪郭を取り戻していく。


それと同時に、
ざわざわとしていた思考も落ち着いていった。


お祭りや楽しい場所は、嫌いじゃない。
本当は、楽しみたいと思っている。

 
 
でも、
人の往来にイライラしてしまうことがある。
 
 


ぶつかりそうになったり、
流れに押されそうになったり。


みんな当たり前に楽しそうにしているのに。
そんな風に感じてしまう自分が、
少し嫌だった。


雑音が引いていくと同時に、
思考は鮮明になっていく。


人が多く集まり、盛り上がる場所。


本来楽しいはずのそこは、
たくさんの情報にあふれている。
  

 
 
たくさんのことを感じてしまうボクには、
たくさんエネルギーを使う場所でもある。
 
だから、長くいることが難しくて。
できるだけ早く離れようとしていたんだ。
 
 

  
波に足を取られないようにしながら、
冷たい砂浜を歩いて、歩いて。


自然のやわらかさに、
そっと触れていくうちに。


ぼやけていた自分の輪郭が、
少しずつ戻ってくる。


たくさんのノイズによって歪み、
小さく割れてしまったボクの心は、


波に磨かれたシーグラスのように。
静かに丸みをおびていった。

  


Chapter03

  
あの夏の日。


楽しかったはずなのに、
なぜか少し疲れてしまった。


みんなが笑っている場所で、
自分だけ少し早く帰りたくなった。

 
   
「周りのように、もっと楽しめたらいいのに」
「どうして自分だけ疲れてしまうのだろう」
  
  

  
そう思っていた。
でも今なら、少し分かります。


あの時のボクは、
楽しめなかったんじゃない。


たくさんの音や光を感じて、
そこにいる人たちの感情まで受け取っていた。


だから、
少し休む時間が必要だっただけ。


周りと同じようにできない自分を、
どこか欠けているように感じていた。


でも、
自分自身の特徴や気質を知ったことで、


自分に合う距離で、自分に合う速さで。
楽しめばいいと思えるようになった。

 
 
あの日の夏は、今でも憶えている。
 
そして今のボクは、あの日の自分を、
少しだけ好きになれた気がします。
 
 
  

AI Art Museum DAY3『夏は憶えている』



ー ー ー お わ り ー ー ー



あとがき


HSPや繊細さんの中には、
人の多さや喧噪、花火の音や光などに、
強い刺激を感じる方がいます。


その場にいることが、
少しずつしんどくなってしまったり。


その時は楽しめても、
終わったあとにどっと疲れて、
何もしたくなくなってしまったり。


楽しいはずの時間や場所なのに、
苦しく感じてしまって。


そんな自分を、つい責めてしまいます。

 
 
「付き合いが悪いと思われないかな」
「周りを嫌な気持ちにしてしまってないかな」
 
 

といった不安を抱えてしまうかもしれません。


でも、
それはあなたが悪いからではないのです。


あなたが、
少しだけ多くのことを感じ取っているから。

それだけなんです。



周りの人が当たり前に楽しめていることを、
自分も同じようにできなければいけない。


いつの間にか、そんな高い基準を、
自分に課していないでしょうか。


そして、その基準に届かない自分を、
必要以上に低く見ていないでしょうか。


高すぎる理想と、
低くなってしまった自尊心。


その差に苦しくなってしまうことがあります。


自尊心をすぐに高くすることは、
簡単ではないかもしれません。


だからまずは、自分に向ける基準を、
少しだけ優しくしてみませんか。


「たくさんは無理だけど、これはできた」
「頑張ったから、休む時間が必要なんだな」


そうやって、
自分の状態を認めるところから。


あの日のボクがそうだったように。
  


さいごに

  
今回の物語は、 orivieさん  が、
7/18(土)~20(月)の間にXで開催した、

「AI Art Museum」

というプチイベントから生まれました。

▼orivieさんの振り返りnoteはコチラ

AIイラストのクリエイターさんと、
noteのクリエイターさんは、
普段それぞれの場所で活動しています。


その垣根を超えて交流し、
お互いのアイデアを共有できたとおもいます。

素敵な企画をありがとうございました!
 

🐳🐳🐳


アイキャッチは、
こゆきちさんのプロンプトをお借りしました。
ありがとうございます!

イラストのタッチだけ、生成後に編集しました。

▼他にもプロンプトがたくさん詰まっています!



最後まで読んでいただいて、
ありがとうございました。

あなたが、あなた自身を
少し好きになれる時間がありますように。


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