
スマホ(iPad)ひとつで医学部の暗記を乗り越える話
医学部に入って最初に思ったのは、「覚えることが多すぎる」という当たり前の事実だった。
解剖学の筋肉の名前と起始・停止、生理学の数値、薬理学の薬と作用機序——次々と降り注いでくる暗記事項に、最初の頃は紙の単語帳や教科書への書き込みで対応しようとしていた。でも量が増えるにつれて、それが続かなくなっていく感覚があった。
今回は、スマホを中心にした勉強法に切り替えてから自分なりに落ち着いてきた話を書いていこうと思う。
最初にやってみたこと
まず試したのは、教科書に付箋を貼る方法。重要な数値や用語に蛍光ペンを引いて、繰り返し読む。一見効率よさそうに見えるけど、問題があった。同じ場所を何度読んでも「知っている気がする」状態になるだけで、実際に問題を解こうとすると出てこない。
そこで単語帳アプリを使い始めた。Ankiが有名だということは知っていたので入れてみたのだが、設定が複雑でカードを作るまでに時間がかかりすぎた。慣れれば問題ないのかもしれないけど、自分は結局なじめずに使うのをやめた。
そういう試行錯誤を重ねて、最終的には自分でアプリを作ることにした。
スマホで勉強することのメリット
話を少し戻すと、そもそもなぜスマホで勉強するのかという話をしておきたい。
一番大きいのは「隙間時間に溶け込める」という点だと思う。
医学部の勉強は量が多いので、まとまった勉強時間だけに頼るのは難しい。電車に乗っている5分、昼休みの10分、ちょっとした待ち時間——こういった断片的な時間を積み重ねていくことが、長丁場を乗り越えるカギになってくる。
紙の単語帳を持ち歩くことも一応できるけど、複数科目分を持ち運ぶのは現実的ではないし、ページを探す手間もある。スマホなら常に手元にあって、開けばすぐ問題が出てくる。これは実際にやってみると、かなり違う。
また、繰り返しの管理がしやすいという点も大きい。「この単語は昨日覚えた」「これは3日前に間違えた」という情報を人間が手動で管理しようとするのは現実的でなく、結果的に全体をざっくり繰り返すか、苦手だけ何となく多めにやるくらいになる。
エビングハウスの忘却曲線という考え方がある。記憶は時間とともに指数関数的に薄れていくが、忘れかけたタイミングで復習することで定着率が上がる、というものだ。スマホアプリはこの「忘れかけたタイミング」を自動で判断して出題してくれるので、勉強の密度が自然と上がる。
きおくまを使い始めてから変わったこと
前述の試行錯誤の末、自分で作ったアプリが「きおくま」だ。医学部の勉強で自分が困っていた点を解決しようという動機でできている。
iPhoneだけでも普通に使えるので、スキマ時間の復習はほぼこれで完結している。電車の中で数問解いて、間違えたカードを記録する——それを繰り返す日常になった。
iPadでも使えて、そちらではGoodNotesと並べて開くことがある。講義ノートや解剖図を見ながら、気になった部分をその場でカードにしていく流れが作れる。画像も複数枚貼れるし、Apple Pencilで手書きメモを加えることもできる。iCloudで同期されるので、iPadで作ったカードをiPhoneでそのまま復習できる点もありがたい。
スマホで医学の勉強をする、というと「ながら勉強でいいの?」という印象を持つ人もいるかもしれない。自分もそう思っていた時期がある。でも、暗記という作業においては、まとまった時間にドカッとやるより、忘れかけたタイミングで何度も繰り返す方が実際に定着する。電車の中の5分をそこに使うことに、理にかなった根拠がある。
App Storeで「きおくま」と検索するか、以下のリンクからダウンロードできます。
続けるためにいちばん大事なこと
ツールの話をずっとしてきたけど、最終的に続けるかどうかを決めるのはツールではなく習慣だと思っている。
いいアプリを入れても、使わなければ意味がない。逆に言えば、使い続けさえすれば、どんなツールでも効果は出てくる。
スマホを使う利点はここにもある。日常の中にすでにあるデバイスだから、特別な準備や気合なしに開ける。通知が来た流れでついでに数問解く、くらいの感覚で続けられる。
医学部の勉強は長い。CBT、OSCE、国試と続いていく中で、「今日やる量」を意識しすぎるより「毎日少しずつ積み上げる」仕組みを作る方が自分には合っていた。
同じように悩んでいる人の参考になれば嬉しいです。