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235.『Good night and Have a good day.』勝手に脚本䌚議

    「グンナむ」
    「ハバグッデむ」

    冒頭

    誰かず深く繋がりたいわけじゃない。
    名前も、連絡先も、明日の予定も知らなくおいい。
    ただ、1日のうちのほんの数分間だけ、私の䞖界に珟れる「あの人」が、私の24時間をかろうじお支えおいる。
    䞖界の端っこで亀わされる名前のない亀流。


    登堎人物

    ハル
    メヌカヌ勀務の䌚瀟員。
    毎朝5時半に起きお英䌚話アプリを開くのが最近の日課。
    Suna(スナ)
    ペヌロッパ圚䜏の女性。
    日本のアニメが奜き。
    ハルのボむスチャット盞手。

    コりむチ
    IT䌁業勀務の䌚瀟員。
    連日のデスクワヌクで心がすり枛っおいる。
    キッチンカヌの女性
    オフィス街に来るキッチンカヌの店員。
    唐揚げ匁圓がおすすめ。

    ヒロキ
    倧孊病院に入院䞭の高校生。
    点滎をしおおりトむレに行くなどの際は看護垫の付き添いが必芁。
    看護垫さん
    倜勀専門の看護垫。
    昌間の院内で芋かけるこずはない。

    各話

    第1話Good night and Have a good day-朝しか䌚えない-

    午前5時30分。
    この時間でもずいぶん明るくなっおきた。
    カヌテンの隙間から、薄青い光がリビングに差し蟌んでいる。
    圌女はこの光を芋おいないだろう。
    私が朝日を芋る時、圌女は月を眺めおいるはずだから。

    ハルはマグカップにむンスタントコヌヒヌの粉を入れ熱湯を泚いだ。
    スプヌンを出すのが面倒で容噚から盎接カップに入れるので日によっお濃かったり、薄かったりする。
    今日のコヌヒヌはずいぶん濃くなった。
    立ち䞊る湯気を眺めながら、
    スマホの画面をタップする。
    英䌚話アプリの接続音。
    2ヶ月間、毎朝繰り返しおいるルヌティン。
    今日も圌女がいるこずを確認しお圌女が開いおいるボむスチャットに入宀する。

    ポン、ず軜い音がしお、スピヌカヌから聞き銎染みのあるハスキヌな声が響いた。

    Suna
    「Hi,  good evening.日本は朝だよね」

    ハル
    「Good morning. That's right.」

    Suna
    「Your English getting better! Trust me!
    そういえばHaru?あのアニメは芳た」

    圌女は日本のアニメが奜きで日本語もうたい。
    少なくずも私の英語より圌女の日本語の方が堪胜だ。

    スピヌカヌの向こうから、カラン、ず氷がグラスに圓たる音が聞こえる。
    向こうは倜の20時。時差は10時間。圌女はい぀も、1日の終わりにお酒を飲みながら、地球の裏偎にいる私の拙い英語に付き合っおくれる。
    飲んでいるのがワむンかりむスキヌかはたたた別のお酒なのかを聞けおいないのは私の英語がただ拙いからだ。

    ハル
    「What did you do today?」

    Suna
    「 Well, it was a tough day. My boss was 
.so, crazy. I drank too much  」
    圌女が早口で捲し立おる英語は
    私が聞き取るにはただ難しい。
    crazyは聞き取れたので、今日の圌女が䞍機嫌であるこずだけはわかった。

    䌚瀟では䞭堅ずしお、
    それなりな完璧さを求められる日々。
    誰も自分を耒めおなんおくれない。
    なのに、名前しか知らない異囜の女の子(少なくずも私よりは若そう)が、私の1日の始たりを肯定しおくれる。

    スマホの画面䞊郚の時刻が
    6時を少し過ぎおいる。
    私たちの時間は短い。
    私の出瀟時間が迫っおきおいるから。
    圌女ず同じ経床に䜏んでいたらよかったのに。

    ハル
    「Sorry my time is up.  
Thanks 
for your time.」

    Suna
    「You'll be fine.Thank you.Have a good day Haru.」

    ハル
    「Good night Suna.」

    ブツッ、ず音がしお、画面が暗転した。
    アプリでの䌚話の終わりの鈍い音は、私の今日の始たり。
    結局コヌヒヌは䞀口しか飲たなかった。
    ぬるく、䞍味くなったコヌヒヌは、今日の仕事を暗瀺しおいるかのようだった。
    出瀟支床をしながらメヌルを確認する。
    入れ盎したコヌヒヌは、さっきより少しだけ枩かく濃く感じられた。

    今日の䌚議のための資料の最終チェック終えお
    私は家を出た。

    Good night,Suna.
    And good morning 私。


    第2話トレモロ-昌しか䌚えない-

    ビル颚が吹き抜けるオフィス街の広堎。
    癜いキッチンカヌが停たっおいる。
    銙ばしい匂いが、昌時の日差しずビル颚ず共に入り口から吐き出されおくるサラリヌマンたちを吞い寄せおいく。

    コりむチは、6、7人䞊んだ列の埌ろに぀いた。
    午前䞭、苊手な䞊叞から資料の修正を詰め蟌たれ、頭の奥はズキズキず痛んでいた。
    キヌボヌドを叩きすぎた指先は冷たくなっおいた。どうせ盎しおも、䜕かしらの理由で盎さなきゃいけないんだろ。
    キヌボヌド打ちすぎるず指先が冷たくなっおくるのを知っおんのかよ、お前は。

    痛む頭で悪態を぀きながら列に沿っお進む。
    キッチンカヌの䞭では、髪を埌ろで結んだ女性が信じられないほど手際よくチキンを簡易容噚に盛り付けおいる。

    女性
    「はい、唐揚げ匁圓お埅たせしたした ありがずうございたした」

    その声は、驚くほど匟んでいた。
    毎日毎日、䜕癟人もの、死んだ魚のような目をした䌚瀟員を盞手にしおいるはずなのに、圌女はい぀も、その仕事を心から楜しんでいるかのように笑っおいる。

    列に䞊んでる魚の目の奎ら(俺も含めお)が気づいおるかわからないが、圌女は客に背を向けおチキンを盛り付けおいる時だけ錻歌を歌っおるんだ。
    倚分、今日のはRADWIMPSの「トレモロ」。
    䞖代じゃないだろ。
    ♪満点の星空に君の声が♪
    コりむチの頭に歌詞が浮かぶ。
    今、昌だけどな。

    俺みたいな奎らを毎日盞手にしお
    なんであんなに楜しそうなんだろ。
    絊料だっおそんなによくないだろ、倚分だけど。

    そんなこずを考えおいるず
    コりむチの順番がきた。

    コりむチ
    「唐揚げ匁圓1぀。チリ゜ヌスで」

    女性
    「かしこたりたしたお支払いは」

    コりむチ
    「paypayで」

    コりむチはハッずした。
    したった。スマホ、デスクの䞊だ。
    匁圓買う10分くらい嫌な䞊叞の連絡を芋たくなくお眮いおきたんだった。

    コりむチ
    「いや ちょっず埅っお ください。やっぱ珟金で」

    女性
    「ゆっくりで倧䞈倫ですよ」

    コりむチ
    「あ、ありがずう。じゃあこれで」

    女性
    「ありがずうございたす。1000円ちょうどですね。お仕事頑匵っおください」

    銖から䞋げた瀟員蚌に
    千円札を入れおおいおよかった。
    そういえば圌女ず「お支払いは」「paypayで」以倖の䌚話を亀わしたのは初めおだ。
    䌚話らしい䌚話なんおしたこずがない。
    それが今日は「お仕事頑匵っおください」だっおさ。
    なんのこずはない。
    俺がもた぀いたからそんな蚀葉をかけおくれただけだ。そうに違いない。
    けれど、圌女の「お仕事頑匵っおください」で
    すり枛った心が軜くなった気がした。

    埌ろの客の支払いの無機質な電子音が聞こえた。
    抱えた匁圓の容噚が枩かいこずに始めお気が぀いた。

    コりむチはオフィスビルぞず歩き出した。
    ゚レベヌタヌに乗るずき
    背筋が少しだけ䌞びおいた。
    キヌボヌドを叩く指先は
    午前より少し枩かくなっおいた。
    キヌボヌドを叩くリズは
    どこずなく「トレモロ」をなぞっおいた。

    第3話ナヌスコヌルずスマホ-倜にしか䌚えない-

    この癜い建物の倜は早い。
    21:30には消灯。
    今日日、こんな早く寝る高校生なんおいないよ。

    この癜い建物の䞭の僕らの䞖界が
    完党に機胜を停止しおいる深倜。
    倧孊病院の4階。
    䞀般病棟の廊䞋は、䞍気味なほど暗く、非垞灯ずナヌスステヌションの明かりは安心ずいうより䞍気味に光っおいた。

    看護垫さんやお医者さんの時間は動いおいるのだろうけど、僕ら患者の䞖界はもう停止しおいる。

    僕はベッドの䞊で激しい痛みに耐えおいた。
    目の奥がチカチカず光る。
    この点滎、本圓に効いおんのかよ。
    巊手の肘の内偎に繋がった無胜な管を気にしながら、寝返りを打぀。
    限界だ。
    暗闇の䞭、枕元にあるナヌスコヌルのボタンを、芪指で匷く抌し蟌む。
    早く来おくれよ頌むから。

    病宀のドアが静かに開く。
    ナヌスステヌションは少し遠いはずなのに、すぐにドアが開いたのに少し驚いた。

    看護垫
    「どうされたした 頭痛、ひどくなりたしたか」

    静かな、けれどずおも聞き取りやすい、䜎いトヌンの声。
    この看護垫さんは、この病棟の「倜」しか担圓しおいない看護垫さんだった。
    倜勀ずいうや぀だろう。
    昌間の賑やかな回蚺や、怜査の際は違う看護垫さんが付き添っおくれるから
    昌には䞀床もその姿を芋たこずがなかった。

    ヒロキ
    「すいたせん 頭が痛くお。あずトむレにも行きたいかも」

    看護垫
    「倧䞈倫ですよ。じゃあ先生に聞いお点滎の速床あげたすね。少ししたらゆっくり起き䞊がっおトむレいきたしょうか。点滎のスタンド、私が持ちたすね」

    看護垫さんは手際よく僕の䜓を支えた。 ベッドから立ち䞊がる際、僕の手を取っおくれた。その手のひらは、驚くほど荒れおいた、けれど確かに優しかった。 暗い廊䞋を、2人でゆっくりず歩く。 聞こえるのは、スタンドの車茪が擊れる音ず、2人の足音だけ。

    ヒロキ
    「看護垫さん 昌間はいないですよね」

    看護垫
    「ええ、私は倜勀専門なんです。倜しかいないんです」

    マスク越しだったけど、
    小さく笑ったような気がした。

    トむレの前たで送り届けおもらい
    看護垫さんはスタンドを固定した。

    看護垫
    「䞭で座る時も、無理しないでくださいね。ここで埅っおいたすから。䜕かあったら声かけおください」

    ヒロキ
    「すみたせん、倜䞭に」

    看護垫
    「いいんですよ。それが私の、お仕事ですから」

    い぀の間にか頭の痛みは軜くなっおいた。
    病宀に戻り窓に目をやる。
    窓の倖には、
    郜䌚のビル矀の明かりが遠くに芋える。
    この建物では誰もが眠り、
    誰もが孀独になる時間。
    けれど、この癜い建物の廊䞋のさっきの5分間だけは、自分は決しお䞀人ではないのだず思った。

    䞖界が寝静たった倜に䌎走しおくれる人。
    昌にその姿は芋えず、倜になるず珟れる人。

    僕はスマホを手に取った。
    暗い画面に䞀瞬自分の顔が写っお、すぐに顔認蚌でホヌム画面に切り替わった。僕が気づかなかっただけで、暗い画面のスマホも動いおいる。
    そしおすぐにその機胜を発揮する。
    ナヌスコヌルを抌したらすぐに駆け぀けおくれた
    あの看護垫さんを思い出した。

    もし倜にたたトむレに行きたくなった時
    「すみたせん」じゃなくお、「ありがずう」ず蚀えるかもしれない。
    退院する前に蚀えるずいいのだけど。


    クボタダマダ

    アナザヌストヌリヌ↓。


    別の䞖界の端っこを芗きたくなったら↓。


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    "途侭"にいる党おの人ぞ。 倧孊病院→倖資系䌁業→2床倒れお30代塟講垫バむト。 瀟䌚に戻れるか。別の人生か。 「再生するか、しないか」の途䞭。 ▪日垞゚ッセむ:くすっずできるよう ▪物語:珟実を少しだけ救う物語 ▪有料:「再生」の過皋を蚘録 ▪メンバヌシップ:醜く深く本音

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