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Photo byholiday16

疎遠のススメ

    桜井健次

    平和とは、相対的なもの
    平和とは、主観的なもの

    心が安らぐ平穏で、静かな幸せは、ほんの束の間、一瞬のことだ
    平和とは、その一瞬を喜び、楽しみ、味わい、感謝する人に訪れるもの

    人類の歴史のほとんどは戦争の歴史だ
    その戦争と戦争の間には、戦争がない日々もあった
    だが、その日々が平和であるか、と言えば、そこまで単純ではない
    そこには、暴力があり、抑圧があり、不正義があり、いたるところに理不尽がある
    社会全体としても、結局は、次の戦争を準備する時期でもある
    内外に敵がいると煽り、戦争準備を声高に叫ぶ者がいる
    そんな構図から遠く、平和を希求することも十分可能なほどの小さな会社や小さな研究室のなかで、大きな権力をふりまわし、深刻な禍をもたらす者がいる
    それどころか、社会の最小構成要素である家族、親族、もしくはきわめて親しい関係をさえ、搾取、収奪のメカニズムとして悪用する者がいる

    結局、平和は、そんな環境のなかで、ほんの一瞬訪れるにすぎないものなのだから、それを感じ取り、受け取り、享受し、感謝する能力が必要だ

    その効果を高めるには、禍の原因となる人々から遠ざかり、関係を絶って、独立する気概も重要だ

    そう考えると、平和の人は相当強くないといけないことになるが、平和のために戦うという、よくあるレトリックがいかに矛盾に満ちているかにも気づくだろう
    (558字)


    2023年4月下旬頃からシロクマ文芸部の企画に毎週参加させて頂いています。2024年4月まで1年ぴったりの継続のつもりです。これまで土曜投稿が多かったですが、今後は金曜午前にしようと思っています。今回のお題は「平和とは」が書き出しでした。どうぞよろしくお願いいたします。

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    マガジンご購読者のみ全文読める記事をほぼ毎日投稿している理工系研究者(https://researchmap.jp/kenji.sakurai.xray)。上海高等研究院滞在中、X線スペクトルの研究や新しい分光器の開発など。

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