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【Legend of Lineage】第17話監芖者の咆哮ず、受け継がれし血の蚘憶第6章

第6章再䌚ず詊緎、空駆ける翌の予感

第17話監芖者の咆哮ず、受け継がれし血の蚘憶

【前回たでのあらすじ】

叀代船でりィンダミアぞ垰還したアルトリりス䞀行は、賢者ガレットより「邪神」の埩掻ず、䞖界を救う唯䞀の手段である「䞉぀の王章」の存圚を告げられる。

最初の王章を手に入れた䞀行の前に、か぀おの宿敵シルノァが珟れ、バルトロからの情報を䌝える。垌望ず䞍安が枊巻く䞭、船は黒い霧に閉ざされた䞖界の䞭心「アストラル・ピラヌ」ぞず舵を切る。

【登堎人物・甚語解説】

初めおの方や抂芁を確認したい方は以䞋の【ご玹介】をご芧ください。

【BGM再生】

※再生ボタンを抌し、音ず共に物語の䞖界ぞお入りください。BGM無しでもお楜しみいただけたす



1. 故郷の闇、血塗られた短剣の咆哮

 軍事郜垂メリディりスの囜境付近。そこは䞍気味な静寂ず、叀の呪術が混じり合う犁忌の地。歎史的には聖郜゜ラスが代々管理しおきた神聖䞍可䟵の領域でありながら、今や挆黒の霧で芆われ、近づく者を狂わせる「死の領域」ず化しおいた。その䞭心に、倩を呪うようにそびえ立぀魔塔アストラル・ピラヌ。

 ゞヌクはおもむろに懐から、あの「折れた短剣」を取り出した。月光すら届かぬ霧の䞭で、震える拳を癜くなるほど匷く握りしめる。

 この塔は、圌にずっお単なる攻略すべき障害ではない。ここは、か぀お圌が「監芖者」ずしおの誇りを持぀父ず共に暮らし、そしお、幌き日の圌の目の前ですべおが灰に垰した「故郷」そのものだった。

 ゜ラスの監芖者の䞀族に生たれた父は、ピラヌの異垞な魔力倉動をいち早く察知し、幌いゞヌクの手を匕いお調査に蚪れた。だが、そこで圌らを埅っおいたのは、闇から這い出した䞊䜍魔物による容赊のない蹂躙だった。

「  逃げろ、ゞヌクお前だけは、生き残れ」

 父の最埌の絶叫が、十数幎の時を超えお、今もゞヌクの耳の奥で激しくリフレむンする。

 父は党魔力で結界を匵り、ゞヌクをその倖ぞず匟き出した。鉄壁の結界。その透明で冷酷な壁の向こう偎で、魔物に匕き裂かれ、冷たい骞ぞず倉わっおいく父の姿。幌かったゞヌクは、ただ壁を叩き、喉が朰れるたで父の名を呌び、泣き叫ぶこずしかできなかった。

 その時の無力感、そしお父を䞀人残しお生き延びおしたったずいう消えない埌悔。それらから逃げるために、圌は「゜ラス」の名を捚お、監芖者の血筋を隠し、軜薄な詐欺垫の仮面を被っお攟浪の旅を続けおきたのだ。

「  芚悟はいいか䜕幎も埅たせちたったな  今なら、この呪われた結界の裂け目を、俺がこじ開けおやれるぜ」

 ゞヌクが獣のような咆哮ずずもに、折れた短剣を虚空ぞず突き立おる。その瞬間、圌の背埌から、圌の魂が具珟化したような光の柱が立ち昇り、挆黒の霧を物理的に匕き裂いおいく。

 それは魔導技術による解錠ではない。過去の自分を断眪し、守るべき仲間のために立ち䞊がるずいう「魂の決戊」の叫びだった。黄金の亀裂が空間を走り、䞀行は、止たっおいた時蚈を動かすべく因瞁の地ぞず螏み蟌んだ。

2. 亡霊ずの察峙、血の蚘憶

 塔の内郚は、あの日から時間が凍り぀いたかのような静寂に包たれおいた。

 石造りの回廊には、父を死に远いやった魔物たちの思念が、どす黒い亡霊ずなっおうごめいおいる。アルトリりスが光の剣で闇を切り裂き、゚リヌれが浄化の祈りで結界を維持しながら進む䞭、ゞヌクの足取りに迷いはなかった。圌は、自分の血が芚えおいるかのように、最短距離で最䞊階を目指した。

「ゞヌク、倧䞈倫  萜ち着きなさい、あんたの呌吞  さっきから異垞に乱れおるわよ」

 ゚リヌれの鋭い指摘に、ゞヌクは短く、熱を垯びた息を吐き出し、い぀ものように䞍敵に笑いながら蚀った。

「  ああ、分かっおるさ。ただな、お嬢様。ここに来るず、あの日の鉄の匂いず、錻に぀く血の臭いが  どうしおも離れおくれねえんだ」

 階段を䞀段䞊るたびに、忘れたはずの蚘憶が鮮明に、残酷に蘇る。父が自分を逃がした本圓の理由。それは単なる生存本胜ではなく、ゞヌクに「監芖者」ずしおの血脈を蚗し、い぀かこの塔に巣食う邪悪を止めおほしいずいう、未来ぞの唯䞀の垌望だったのかもしれない。だが、圓時の圌にはそれを受け止める勇気がなく、ただ重荷ずしお背を向けおきた。

 ぀いに蟿り着いた最䞊階の間。そこには、塔の魔力を統括し、歪んだ法を執行する守護階士「ピラヌ・ガヌディアン」が埅ち構えおいた。か぀お父を葬った力の化身を前に、ゞヌクの瞳に迷いを断ち切った光が宿る。

「  二床目はねえず蚀ったはずだ。あんたが守っおいるその王章、俺たちの未来のために、そしお芪父の魂を解攟するために  力ずくで奪わせおもらうぜ」

 ゞヌクが攟った短剣が神速で空を裂く。

「アルトリりス、今だ、頌む」

 アルトリりスの獅子の劂き猛進が䞀撃で守護階士の鎧を砕く。その連携に、もはや䞀寞の乱れもなかった。ゞヌクはもう、誰かに守られるだけの少幎ではなかった。圌は自らの意思で、運呜を切り拓く戊士ぞず矜ばたいおいた。

3. 受け継がれし監芖者の誇り

 守護階士を蚎ち果たし、再び蚪れた静たり返った祭壇。そこには、淡く玫の光を攟぀「二぀目の王章」が、運呜の到来を埅぀かのように浮遊しおいた。

 枊巻く圱に向け、ゞヌクが掲げた短剣ず王章が共鳎し、呚囲に眩い魔法陣が展開される。

「  俺の家は、このアストラル・ピラヌを監芖し、調埋する゜ラスの守護家系でな。代々、呜を賭しおここを守るのが矩務だったんだ」

 王章を掌に収めたゞヌクは、ようやく静かに、堰を切ったように語り始めた。父が死に際たで異倉を芋逃せなかったのは、それが゜ラスの民ずしおの誇りであり、愛する家族を守るための唯䞀の方法だったからだ。

「俺は、芪父を芋捚おお逃げた。結界の向こう偎で芪父が殺されるのを、指をくわえお芋おるこずしかできなかった  。だから、俺は監芖者なんお名前を呪っお捚おお、誰にも干枉されない攟浪の身を遞んだんだ」

 しかし今、圌は仲間のためにその隠しおいた力を䜿い、あの日入れなかった結界を自らの手で砎っおみせた。過去の臆病な自分を認め、父の想いを、ようやく「埌悔」から「力」ずしお受け止められたのだろう。ゞヌクの衚情は、どこか晎れやかだった。

「  苊劎しおたのね、あんたも。でも、あんたが私たちをここに連れおきおくれた。そしお、道が芋぀かったのよ」

 ゚リヌれはそう蚀うず、わざずらしく錻を鳎らした。

「ゞャガむモよりは少しだけ圹に立ったっお認めおあげるわ。  ありがずね、ゞヌク。あんたがいなきゃ、ここたで来れなかった」

 ぶっきらがうだが、心からの感謝を蟌めた蚀葉に、ゞヌクは柄にもなく頬をかき、い぀もの軜薄で、しかし枩かな笑みを䜜っおみせた。

「ぞっ、お嬢様にそんな殊勝な態床を取られるずは、明日には槍でも降っおきそうだ。ははは、これで貞し䞀぀だぜ」

4. 星の矅針盀が指す「未知なる移動島」ぞ

 アストラル・ピラヌの荒ぶっおいた魔力が沈静化するずずもに、二぀目の王章が゚リヌれの持぀「星の矅針盀」ず激しく共鳎を始めた。

 針はもはや定たった方角を指すのではなく、誰もいないはずの倖海を、たるで意志を持぀生き物のように激しく指し瀺しおいる。

「  アルトリりス、芋お。針が止たらない  。これ、おじいちゃんが昔、蚀っおいたの  。移動する島のお話  」

 ゚リヌれは、か぀おガレットが暖炉の前で語った、お䌜話のような蚀葉を思い出した。

『゚リヌれ、この䞖には「運呜の矅針盀」ずいうものがあっおな。その針が真の茝きを取り戻したずき、それは地図にない堎所、垞に海を圷埚い、姿を倉え続ける䌝説の「移動する島」ぞず導いおくれるんじゃよ  』

「ぞえ、運呜の矅針盀ねえ。たさしくそれがこの『星の矅針盀』っおわけだな」
「移動する島  。そこに、倱われた歎史の真実ず、邪神を止めるための最埌の鍵があるずいうこずか」

 アルトリりスは力匷く、迷いのない瞳で頷いた。ゞヌクもたた、父の墓暙であり、自らの再誕の地ずなったこの塔を背に、新たな芚悟を瞳に宿す。父が守りたかったのはこの冷たい石の塔ではなく、この先に続く、かけがえのない䞖界の未来だったのだ。

「よし、方針は決たりだ。矅針盀が指しおいるのは、ここからさらに南の倖海だぜ。居堎所も分からねえ島を探すなんお、詐欺垫の隠れ家探しより䜕倍も骚が折れそうだが  今の俺たちなら、どこぞだっお蟿り着けるだろ」

 䞀行は、もう二床ず振り返るこずなくアストラル・ピラヌを埌にした。背埌に立぀挆黒の塔は、もはや絶望の象城ではない。それは、䞀人の青幎が過去を乗り越え、真の監芖者ずしお目芚めた聖域ずしお、静かに倕闇の䞭に溶けおいった。

 䞉人の足取りは、もはや迷いに満ちたものではない。星の導きを頌りに、圌らは䞖界の境界を越え、未知なる「移動する島」ぞずその舵を倧きく切った。過去を乗り越えた䞉人を乗せ、叀代船は真実の海ぞず力匷く走り出しおいた。


▶第18話「絶望の海域ず、䞉぀の鍵」を読む

▶プロロヌグはこちら


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