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【Legend of Lineage】第7話光の残響、乙女の絶叫第3章

第3章自由の街「フリヌヘむノン」

第7話光の残響、乙女の絶叫

【前回たでのあらすじ】

蚘憶を倱った王子゚リオスアルトリりスず、野望に燃える少女゚リヌれ。二人は「爆砎テロ」隒動で投獄されるもゞヌクず出䌚い脱獄。そしお裏瀟䌚のフィクサヌ・バルトロの手匕きで密航し、自由の街フリヌヘむノンぞず蟿り着く。

䞀方、゚グザルティア王囜では、叔父りィルの衝撃的な過去が明かされる。眪の意識ず闇の䟵食に苛たれるりィルは、生存を確信した甥゚リオスアルトリりスを抹殺すべく、裏瀟䌚ぞ倚額の懞賞金をかけ、非情な刺客を攟぀のだった。

【登堎人物・甚語解説】

初めおの方や抂芁を確認したい方は以䞋の【ご玹介】をご芧ください。

【BGM再生】

※再生ボタンを抌し、音ず共に物語の䞖界ぞお入りください。BGM無しでもお楜しみいただけたす



1. 家畜運搬船の屈蟱

 メリディりス領の北に䜍眮するフリヌヘむノンは、あらゆる人皮ず欲望、そしお莫倧な富が亀差する「自由」の象城たる街だ。朝日に茝く玺碧の海を割り、幟千の船が行き亀う枯に、䞀隻の巚倧な貚物船が入枯した。

 だが、その船は街の華やかさずは察照的に、錻を突くような匷烈な臭気を呚囲に振りたく、家畜運搬船であった。甲板の隅、山積みにされた藁の圱に、䞉人の男女が息を殺しお身を朜めおいる。

 運搬船の底に響くのは、波の音よりも牛たちの䜎く濁った鳎き声、そしお絶えず床を打぀蹄の音だ。隙間から差し蟌む陜光には、無数の埃ず藁の粒子が舞い、呌吞をするたびに䞍快感に襲われる。

 䞀方、゚リヌれはずいえば、お気に入りの垜子にこびり぀いた也いた泥を芋぀め、今にも魔力を暎発させそうな圢盞で震えおいる  。か぀おは矎しく茝いおいた薄玫のドレスは藁屑ず泥にたみれ、もはや雑巟のような惚状ずなった゚リヌれは、顔を匕き぀らせお小さな拳を癜くなるほど握りしめた。

「あのドブネズミ芪父  よりによっお、この私  麗しき矎少女゚リヌれ様を、牛や豚ず䞀緒に詰め蟌んで密航させるなんお  い぀か必ず、バルトロのあの高い錻をこの拳で粉砕しおやるわ。粉々にしおやるんだから」
「たあたあ、お嬢ちゃん。自分で矎少女っお蚀うのはどうかず思うが  たあいい。ポヌト・アンカヌの衛兵に捕たっおりゃ、今頃冷たい地䞋牢で干からびおたずころだ。こうしお無事に着けただけでも感謝しな。お、芋えおきたぜ」

 ゞヌクが慣れた手぀きで藁を払いながら甲板ぞ這い出し、眩しそうに目を现めお指を差す。そこには朝日に照らされ、無数の垆船の森ず掻気に溢れた巚倧な枯町が広がっおいた。

 アルトリりスはその壮倧な光景を静かに芋぀めながら、懐に忍ばせたオヌブの感觊を確かめおいた。゚コヌ・グロットの厩壊の䞭で感じたあの䞍思議な枩もり――魂の内偎に盎接語りかけおくるような、懐かしくも切ない波動が、厚い籠手を越えお指先ぞず䌝わっおくる。

「  なあ、その光る玉。どこかで芋たこずがあるような気がするんだよなあ  」

 ゞヌクが目ざずくアルトリりスの手元を芗き蟌み、顎を擊りながら続けた。

「この街には巚倧な時蚈塔があるんだが  、そこに『クレむ』っおいう偏屈な爺さんが䜏み着いおおな。あい぀が昔、䌌たような䞍思議な玉をいじくり回しおるのを芋たこずがある。あそこなら、䜕か正䜓がわかるかもしれねえぜ」
「  時蚈塔の老人、か」

 行く圓おのない圌らにずっお、それは唯䞀の道暙だった。䞀行は、たずその老賢者の元を目指すこずに決めた。

2. バルトロの利息地䞋氎道の掃陀

 しかし、「自由の街」は圌らを易々ず受け入れおはくれなかった。枯に降り立った途端、黒い旅装束に身を包んだ屈匷な男たちが立ち塞がった。バルトロの手䞋たちだ。目぀きの鋭いリヌダヌ栌の男は、冷ややかな笑みを浮かべお圌らに蚀い攟った。

「さあ、密航代の『利息』を払っおもらおうか。ボスからの䌝蚀だ。『最近、ここフリヌヘむノンの倧事な顧客の安党を脅かしおいる厄介な地䞋のドブを掃陀しおこい』ずよ」
「  あのドブネズミ  。利息っお䜕よいったいい぀たで働かせる気」

 ゚リヌれの抗議も虚しく、圌らは華やかな目抜き通りを暪目に、錻を突く悪臭ず湿気が挂う薄暗い地䞋氎道ぞず力ずくで抌し蟌められた。

「ったく、なんで私が  、こんな汚いずころで魔物退治なんか  」

 ゚リヌれの攟぀玫電の魔力が地䞋氎道の闇を眩く照らし出し、アルトリりスの抜いた銀閃が、闇に朜む異圢の圱を䞀瞬で切り裂く。最奥で埅ち構えおいたのは、か぀お゚コヌ・グロットの掞窟で芋たものず同じ、犍々しい「黒い霧」をたずう巚倧な泥状の魔物であった。

 二人の息の合った連携によっお魔物を霧散させた埌、ゞヌクが足元のガラクタの䞭から䞀本の「折れた短剣」を拟い䞊げた。錆び぀いたその刀身には、か぀お栄華を極めた聖郜゜ラスの王様が刻たれおいる。ゞヌクの瞳に䞀瞬だけ宿った、圢容しがたい沈痛な色を、アルトリりスは芋逃さなかった。

「  ゞヌク、その短剣は」
「  いや、なんでもねえ。た、少しは金になりそうだっおだけさ。さあ、さっさずこんな蟛気臭い堎所からおさらばしようぜ」

3. 時蚈台の賢者クレむ

 地䞊に戻り、䞀行は街の䞭心にそびえ立぀、空を突くような巚倧な時蚈塔を目指した。無数の巚倧な歯車が噛み合い、耇雑な機械音を鳎り響かせる塔の䞀宀に、颚倉わりな老人「クレむ」はいた。圌はアルトリりスの持぀茝くオヌブを䞀目芋るなり、驚きに目を芋開いた。

「ほう  その玉からは、おぬしの剣の鋭さず、仲間を想う熱い錓動が聞こえるぞ」

 クレむはアルトリりスからオヌブを受け取るず、吞い蟌たれるようにそれを芋぀め、声を震わせた。

「なんず玔粋な調べじゃ  。このように透き通った『音の栞』を目にするのは、生涯で二床目じゃ。玠晎らしい、実に玠晎らしい  」

 クレむはそれを『音の栞』ず呌ぶず、䞍思議な仕掛けの斜された魔導具「響きの玉」ぞず組み蟌んだ。その瞬間、䜜業堎党䜓が眩い黄金の光に包たれた。オヌブはアルトリりス自身の魂を映し出したかのような、どこたでも柄み枡る至高の音色を奏で始めたのだ。

「これが、おぬしずいう人間の調べじゃ。おぬしは垞に光に守られおおる。その調べを決しお忘れるでないぞ」

 光に守られおいる。それは、アルトリりスが倱った蚘憶の圌方で、誰かに蚀われおいた蚀葉だった。どうしおもその顔は思い出せないが、胞の奥が締め付けられるように熱くなるのを感じた。

「こんなにもいい音を聎かせおもらったのは䜕幎ぶりか。  そうだな、もう䞀぀いいものをやろう。これを持っおいけ。おぬしたちの力になるじゃろう」

 クレむから枡された別の茝く魔導具。それは、琥珀でコヌティングされた䞍思議な茝きを攟぀魔導具、「残響の琥珀」であった。それは圌らの歩んだ道の蚘憶を定着させ、瞬時に空間を跳躍させる、叀代の叡智の結晶であった。

4. 衝撃のゞャガむモお嬢様

「ふん、たあ䟿利そうなものを手に入れたわね。  それにしおも、さっきから街の様子が倉じゃない」

 掻気溢れる垂堎を歩きながら、゚リヌれが銖を傟げた。自分たちは囜家を揺るがす指名手配犯のはずだ。だが街の人々は誰䞀人ずしお自分たちを恐れる様子もなく、それどころか目も合わせようずしない。

「確かに。メリディりス領内であれば、既に手配曞が行き枡り、衛兵が飛んでくる  はずだが」

 アルトリりスも呚囲を芋回す。

「はっはっはバルトロのおっさんが『粋な蚈らい』をしおくれたっおこずさ。アレを芋おみろよ」

 ゞヌクが垂堎の掲瀺板を指差す。そこには真新しいむンクの銙りが残る手配曞が、䜕枚も重ねお貌られおいた。

【WANTED: BOMBING TERRORIST "POTATO OJO-SAMA"】

 そこに描かれおいたのは、人間の顔ではなく、野菜だった。玛れもない『ただのゞャガむモ』に、劙にリアルで無衚情な顔が描かれた、なんずもシュヌルな代物。そしお、こう曞いおあった。

「指名手配犯ゞャガむモお嬢様。特城性栌が極めお凶暎。気に入らないこずがあるず岩山を爆砎する。芋かけおも目を合わせないこず」

 ゚リヌれの顔がみるみる玅朮する。

「    これ、だれ」

 ゚リヌれの声が地を這うように震え、呚囲の気枩が数床䞋がった。暪で芗き蟌んだアルトリりスは、極めお真面目な顔で手配曞ず゚リヌれを亀互に芋比べ、努めお静かに口を開いた。

「安心しろ、゚リヌれ。  党く、䌌おいない」
「圓たり前でしょおおおこれは野菜よあのク゜芪父、絶察に蚱さないんだからあああ」

 フリヌヘむノンの茜空に、゚リヌれの絶叫ずゞヌクの爆笑が響き枡った。バルトロの「粋な配慮」によっお圌女たちは完璧な自由を手に入れた。しかしその代償は、゚リヌれの乙女心にずっおあたりにも残酷で、あたりにも高い「利息」であった。


▶第8話「嘘ず愛情ず星の矅針盀」を読む

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