暮らしの森|お嬢様の誕生日|街の住人紹介
今日は何やら、
楽しそうな催しが開かれているみたいです。
ちょっと寄り道していきましょう。
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お嬢様の誕生日

小さなアパートの部屋には、今日はいつもと違う、華やかなごちそうが並んでいた。
テーブルの真ん中を飾るのは大きな苺ケーキ。
その周りには、マカロンやクッキーが並んでいる。
今日は、カレンの誕生日。
久しぶりに誰かと過ごす記念日に、
カレンはそわそわしていた。
「まあ……!ずいぶん豪華ですわね」
カレンは、嬉しそうにテーブルを見渡した。
「今日は、お嬢様の誕生日ですからね」
テキパキは、最後の料理をテーブルに並べながら笑った。
「……もう、お嬢様でもないのに。
なんだか、くすぐったいですわね」
カレンが少し照れたように言う。
「いえいえ。お嬢様はお嬢様ですよ」
テキパキが笑う横で、シレットが一つ目の箱をカレンの前へ差し出した。
「これは、私からです」
「まぁ。シレットありがとう」
カレンが包みを開ける。
中から出てきたのは、フリルの付いたエプロンだった。
「まあ!可愛いらしい」
カレンはエプロンを広げ、嬉しそうな表情を浮かべた。
「お嬢様、お似合いですよ。
最近はお料理も頑張っていますもんね」
そこへシレットが一言。
「今お使いの物は黒を越えて炭です。もう限界かと」
「もう、シレットったら。
最近はだいぶ焦さなくなりましたわ」
三人は顔を見合わせて笑った。
「では、次は私からもお渡ししますね」
テキパキが、もう一つの箱を差し出す。
「今度は何かしら?」
カレンが開けると、中には小さなティーカップが入っていた。
「あら?これってもしかして……」
「はい。以前お嬢様が欲しがっていたカップです」
「まぁ……覚えていてくれたのね」
「ありがとう……2人とも」
カレンはティーカップを両手で包み込むと、
しばらくのあいだ見つめていた。
「……嬉しいですわ」
カレンはそう言って、そっと目元をぬぐった。
テキパキとシレットは、何も言わずに微笑んでいた。
「では、そろそろケーキにしましょうか」
「なら、紅茶はわたくしが淹れますわ」
「お嬢様、大丈夫ですか?以前はお湯を沸かすだけでも危なっかしかったですからね」
「まあ、テキパキったら」
「事実です」
「もう、シレットまで」
カレンは慣れた手つきでポットを傾けた。
温かい紅茶が、新しいティーカップに注がれる。
「お誕生日おめでとうございます、お嬢様」
「ありがとう」
カレンは、目の前の小さなケーキを見つめた。
「とっても美味しそう」
屋敷にいた頃は、ケーキは珍しいものではなかった。

でも、今目の前にあるケーキは、なんだか特別なもののように感じられた。
カレンは目の前のケーキを一口、口に運んだ。
甘いクリームと苺の酸味が、口いっぱいに広がる。
「おいしいですわ」
以前よりずっと小さな部屋に、三人の笑い声が響いていた。

この3人の物語は
暮らしの森|シーズン2にまとめてあります。
3人に会いに行ってみてください🐾
