暮らしの森|メイのお気に入り
メイの部屋は、いつもどこか散らかっている。
昨日の名残と、今日の途中が混ざったまま。
でも、ひとつだけ例外がある。
寝室にある、小さな一角。
メイのお気に入りが詰まった棚。
端から端まで、可愛いものが並んでいる。
同じように見える雑貨でも、メイには特別。
この子はここ、この子は少し離して。
わざと空けた隙間に、ひとつだけ置く。
新しいものが仲間入りした時は、
いったん全部を出して、軽く掃除してから置き直す。

メイはそれを、少し離れて眺めた。
「……うん、こっちの方が可愛い」
完成した棚を眺めてニヤニヤする。
「ここだけ、やけに整ってますね」
シレットが言う。
「まあね、お気に入りゾーンだから。
色々多いとさ、埋もれるじゃん」
メイはあっさり答えた。
テキパキが少し考える。
「ちゃんと、選んでるんですね」
「うん。全部かわいく見えるようにしてる」

◆
その日の夕方。
メイはキッチンの前で固まっていた。
冷蔵庫に調味料がびっしりと並んでいる。
使いかけもあれば未開封のものもあるが、
最後にいつ使ったか思い出せないものが多い。
「うーん……」
テキパキ:「止まりましたねー」
シレット:「思考停止」
テキパキが前に出る。
「メイさん、これ全部使ってますか?」
「全部使ってるよ!!」
「……たまに」
「……多分」
シレットが棚を見る。
「ここは選んでない」
「え?」
メイは軽く天井を見上げた。
「あー……」
テキパキが言う。
「色々あると安心なんですけどね。結局埋もちゃうんですよね」
シレットが続ける。
「見える方が、使える」
◆
その日の夜。
メイは期限が切れた調味料をいくつか処分した。
それだけで、どこに何があるかが少し分かるようになった。
見やすくなった冷蔵庫を、少し離れて眺める。
「うん!全部見える、見える♬」
メイは満足そうに頷いた。
メイの違う日の話⬇︎
