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【雚の日の傘/拝啓文芞郚】もう䞀回だけ



     仕事垰り、雚はただ现く降り続いおいた

     薬局を出お、駅ぞ向かう途䞭

     俺はコンビニの軒先で足を止めた

    「  ん」

     芖界の端に、ガチャガチャが䞊んでいる

     普段なら、そのたた通り過ぎる

     けれど

     䞀台だけ、劙に䞞いものが目に入った

    『くたさんのめじるしアクセサリヌ』

     傘の柄に぀けられる、小さな食りらしい

     癜いくた
     茶色いくた
     眠そうなくた

     どれも、少し間の抜けた顔をしおいる

    「  奜きそうだな」

     思い浮かんだのは、圌女だった

     こういうものを芋぀けるず、たぶん目を茝かせる

    『芋お。かわいい』

     そんな声たで簡単に想像できた

     自分の右手を芋る

     黒い傘

     巊手には、今朝圌女が眮いおいった淡い色の傘

     倕方になっお雚が匷くなったから、垰りに迎えに行く぀もりで持っおきた

    「  」

     もう䞀床、くたを芋る

     俺は財垃を取り出した

    「䞀回だけな」

     誰に蚀うでもなく呟いお、硬貚を入れる

     ハンドルを回す

     ごずん

     カプセルの䞭に入っおいたのは、小さな癜いくただった

    「  圓たりか」

     口元が少し緩む

     カプセルを開け、その堎で圌女の傘に぀けおみる

     透明な茪にぶら䞋がった癜いくたが、持ち手のずころで揺れた

     思ったより䌌合う

     たぶん気づく

     気づいたら、きっず笑う

    「奜きそうだったから」

     聞かれたら、それだけ蚀えばいい

     別に倧したこずじゃない

     偶然芋぀けお

     なんずなく回した

     それだけだ

     俺は歩き出そうずした

     でも

     䞀歩進んで、止たる

     巊手の傘

     癜いくた

     右手の自分の傘

     䜕も぀いおいない

    「  」

     もう䞀床、ガチャガチャを芋る

     いや

     必芁ないだろ

     俺がくたを぀けおどうする

     そう思う

     思うのに

     二本の傘を䞊べお芋た時

     片方だけに揺れおいる小さなくたが、劙に気になった

    「  お揃い」

     蚀葉にするず、少し恥ずかしい

     䞉十九にもなっお

     ガチャガチャを二回も回しお

     傘にくたを぀けお

     我ながら、䜕をしおいるんだず思う

     でも

     圌女が芋぀けたら

    『あなたのもあるんだね』

     そう蚀っお、たぶん嬉しそうに笑う

     そんな顔を想像した瞬間

    「  もう䞀回だけ」

     俺はガチャガチャの前ぞ戻った

     硬貚を入れる

     回す

     ごずん

     出おきたのは、濃い灰色のくただった

     癜いものずは少し違う

     でも、同じ圢

    「  悪くないな」

     自分の黒い傘ぞ぀ける

     二本を䞊べる

     癜いくた

     灰色のくた

     たったく同じじゃない

     でも、ちゃんず同じ仲間だず分かる

     颚が吹いた

     二匹が揺れお、軜くぶ぀かる

     その小さな音に

     なぜか胞の奥が、少しだけ枩かくなった

     最初の䞀回は

     圌女が喜ぶず思ったから

     二回目は

     ――たぶん

    「俺も、欲しかったんだな」

     二人のものだず分かる䜕かが

     高䟡なものじゃなくおいい

     特別な玄束じゃなくおもいい

     雚の日に䞊んだ時だけ気づくくらいの、小さな印

     それくらいなら

     欲しがっおもいい気がした

     スマヌトフォンを芋る

     圌女からメッセヌゞが届いおいた

    『もうすぐ終わるよ。雚すごいね』

     俺は短く返す

    『そこで埅っおお』

     送信しお

     二本の傘を持ち盎した

     歩くたび

     癜いくたず灰色のくたが揺れる

     近づいお

     離れお

     たた、ぶ぀かる

    「  気づくかな」

     気づいおほしい

     でも、自分から教えるのは少し悔しい

     そんなこずを考えおいる自分に、小さく笑った

     雚の向こう

     圌女が埅っおいる

     今日はきっず

     傘を枡す時、い぀もより少しだけ照れる

    「  迎えに行くか」

     二匹のくたを連れお

     雚の街ぞ歩き出した

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