
ハンドパペットが驚いた日│小さなおはなし│ぬい活
僕はハンドパペットのゾウ、ゾウ太🐘。
この家に来て、何年になるだろう。
なのに、ずっと5歳。
そういう設定らしい。
フェ。(ゾウ太の口癖)
ハンドパペットは、おなかが空っぽだ。
お尻もないし、ゾウなのにしっぽもない。
人間は勝手だ。
だけど、主のコヤギ🐐には感謝している。
歩けない僕たちをリュックに入れて、何度も旅に連れていってくれるのだ。
春には、みんなで広島へ行った。
かわいい、かわいい、と言って写真を撮ってくれた。
ふーん、特別に何も着ていないし。
動物のハンドパペットだから別にこだわることもないけれど、たまにはおしゃれをしてみたい。
🐘「僕、服が着てみたい」
何度かコヤギにお願いしたことがある。
似合わないからやめておいたほうがいい、と軽くあしらわれるだけだ。
主のコヤギが編み物にハマっていた頃、またお願いしてみた。
🐐「適当にやってみるけどいい?」
本当に作ってもらえると思わなくて、僕はうれしくて飛び上がる気持ちだった。
――パンツだった。
驚いた。
毛糸のパンツか。
フェ。
ひと呼吸おいた。
僕のグレーの体に赤い毛糸のパンツが良く似合う、そう思った。

早速穿かせてもらった。

🐐「やっぱり似合わないな」
主のコヤギのひと言に、僕はしょんぼりした。
写真を見せてもらったけれど、僕の良さが消えていた。
しかたがないので、仲間のハンドパペットのこぐま、ココ🐻に穿いてもらうことにした。

僕より似合っている。んー、やっぱりイマイチだ。
せっかく作ってもらったのにな、あーあ。
僕たちが6歳になったら、かっこよくパンツを穿きこなせるようになるのかな。

🐐「君たちは、十分そのままでかわいいよ」
ココ🐻のつぶやき
毛糸、あっつい。(暑い)


※この挿絵はLETTERCUTOUT STUDIOを
利用しました。