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Photo by4yournote913

心の重さ

    生まれたとき、人の心はきれいな球体をしている。
    その中には、希望や優しさが詰まっている。
    けれどその球体は重い。
    支える力がない幼子は、すぐに歩くことができない。

    だから人は心を少しずつ削りながら軽くし、 やがて立ち上がる。
    歩けるようになると、 少しずつ世界は広がっていき、 もっと知らない世界を見たくて、 心を削っていく。
    「冷たい」と顔を背けられ、
    「優しい」と笑顔が向けられる。
    「強い」と頼られ、 「弱い」となじられる。
    心は自分が削った場所や 他人に傷つけられたところによって、 その光の角度を変える。
    人によって優しく見えたり、強く見えたりするのは、 その光のせいだ。
    そしてどんなふうに見えたとしても、 すべて自分自身だと思うことだ。

    世界は優しいばかりではない。 立場の強さを利用して、 都合がいいように、心の形を変えようとする。
    傷つけるだけでなく、 言葉や態度で、 心をえぐるように、突き刺してくる。 流れ出す大切なもの。
    心は軽くなり、楽に生きていくことができるだろう。
    でも、一度失ってしまったものはもう戻らない。
    優しさは弱いことだと言う人がいる。
    もろいことだと言う人がいる。
    そうだろうか。

    どんな言葉を投げつけられても、 どんなひどい仕打ちを受けても、 それに耐えて、 流れでそうな大事なものを両手で押さえ、 心の重さに耐えながら、 一生背負っていく覚悟を決めている。
    そんな立ち姿は美しいだろう。
    本当に優しさを持つためには、強くあること。
    そうでなければ大事なものは守れない。
    大事なことを伝えられない。
    心の重さはそのことを教えてくれている。

     
     
     
    観察型コラムニスト/エッセイスト| 試合と日常の「流れ」を書く 「スワローズ観察日記R」 「紘野涼のフリーハンド」

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