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夢を思い出させてくれる叶えた者たち

    人は誰でも夢を持つ。
    幼い頃、自分の狭い世界の中で、夢に遊ぶ。
    しかしやがて、世界が広がり、楽しみが増えていくたびに、夢は変化をしていく。
    まだ変化ならいい。
    たいていの場合、夢は想い出のひとつとなり、心の中に留まったまま、小さな光を持ったまま固まっていく。

    人がスポーツに熱狂するのは、彼らが夢を叶えた特別な人たちだからかもしれない。
    ただ夢はかなった瞬間に現実となる。
    グラウンドで輝く人たちは、外から見る者にとっては、華やかであっても、彼らにとっては、それが現実であり、仕事。
    頂点に立てば、普通の生活では味わえない達成感を持つことは出来るが、ほとんどの日々は苦しさの積み重ねだ。

    しかしかなえた人である以上、彼らは例外なく夢を持った人たちだ。
    そしてそれを途中で捨てなかった人たちだ。
    夢がかなうことが、どれだけ素晴らしいことを知っている人たちだ。

    そんな中から選ばれた人たちが、今同じユニフォームに身を包み、グラウンドで躍動する。
    その舞台は、彼らにとって仕事ではない。
    まるで、子供だった時のように、少年だった時と同じように、他人のプレーを純粋に喜ぶことが出来る。
    普段は敵味方にわかれていても、今は同じ目的を持ち戦っている。
    ただ勝利だけを目指して、戦っている。

    「振り向くな後ろに夢はない」
    そう書いた作家がいた。
    大きなプレッシャーの中に包まれているが、これまで培った技術と蓄えられた体力で、目の前の試合に挑む。
    後悔はしても振り向かず、前を向いて進み。
    外にいる人たちは、それを目の前で見て感動を覚える。
    共に振り返ることはない。
    ただ、ただ「勝ちたいと」「勝ってほしいと」前を向いているだけだ。

    かなえた人たち、かなえられなかった人たちも、その場で夢を抱えている。
    諦めた夢も、届かなかった想いも、まだ心の中にあるままだ。
    「振り向くな後ろに夢はない」
    夢は、今立っている人の、心の中にそのまま残っている。
    想い出の中にあるのは、夢のかけらはほとんどこぼれてしまったのかもしれない。
    ただまだかすかにでも残っているはずだ。
    それを教えてくれるのは、目の前で躍動する選手たち。
    その姿に感動するなら、まだ夢は残っている。
    確かに誰の心の中にも。


     
     
     
    観察型コラムニスト/エッセイスト| 試合と日常の「流れ」を書く 「スワローズ観察日記R」 「紘野涼のフリーハンド」

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