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夢のかけらの上に立つ者

    ほんの一瞬の出来事。
    そんな風に思えた。
    君が積み上げて来たものなど、いとも簡単に飛び越え、彼は横を駆け抜け、そしていつしか届かないところまで行ってしまった。
    才能の違い、運の強さ、すべてが自分と違う輝き。
    同じ場所に立っていた者として、悔しさや虚しさが君の心に宿ったことだろう。

    ただその時、君は気付いたはずだ。
    過去に自分も夢を抱えた人たちを追い抜いて行ったことを。
    今の君と同じように、輝きに打ちひしがれた人たちがいたことを。

    だから君は、もう一度スタートを切ることにした。
    自分の背中には、たくさんの人の想いがあることに気付いたから。
    声援を送ってくれる人たちだけでなく、自分を見て夢を諦めた人たちに、納得したもらうため。
    まだやめられない、余力を残したままでは。

    たくさんの夢のかけらの上に君は立っている。
    そこへ立てるのは選ばれたものだけ。
    もう出来ない体が動かなくなるまで。
    心が光を求めなくなるまで。
    そして足元にある夢のかけらが温かい光を浴びるときまで。
    もう一度、自分を信じられるまで走り続ける、君自身が選んだ道を。


     
     
     
    観察型コラムニスト/エッセイスト| 試合と日常の「流れ」を書く 「スワローズ観察日記R」 「紘野涼のフリーハンド」

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