
流星
人は生まれたとき、たくさんの矢と弓をもらうそうだ。
誰もがそのやり方を知っていて、歩き出すとともに矢を放ち始める。
幼いときは的を射ることは出来ず、放った矢はすぐ近くに落ちて、拾い集めることが出来る。
背中にたくさんの矢を背負ったまま、自分の歩いていける範囲で遊び続ける。
やがて力がつき、放たれた矢は天空に舞い上がり、どんどん遠くへ飛んでいく。
的は増えていく。
若い弓主は矢が少なくなることを気にせず、ただ的を射ることを信じて放ち続ける。
けれど気づくと矢の本数は減っていき、代わりに背負うものが増える。
少なくなった矢を、大事に一本づつ放つ人。
背負うものの重さに耐えかね、矢を下ろす人。
それぞれが選ぶことだ。
陽射しに包まれている人。
曇の下に身を置く人。
風雨にさらされている人。
持たされた時も立つ場所も、人は選ぶことは出来ない。
ただ同じなのは、誰にも夜が訪れるということ。
闇の中もう的は見えず、疲れ果てて弓を持つ手に力が入らなくなっていく。
背負っている重さは感じるが、それが矢なのか他の何かなのかは、もうわからない。
それでも手を背中に伸ばして、矢に触れることが出来たなら、精一杯の力で弓を引く。
最後の一本になるまで。
天に向かい弓矢を放つ。
空を走る流星は、もしかしたら誰かの放った最後の矢の輝きかもしれない。