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Photo byplanetarian_t

流星

    人は生まれたとき、たくさんの矢と弓をもらうそうだ。
    誰もがそのやり方を知っていて、歩き出すとともに矢を放ち始める。

    幼いときは的を射ることは出来ず、放った矢はすぐ近くに落ちて、拾い集めることが出来る。
    背中にたくさんの矢を背負ったまま、自分の歩いていける範囲で遊び続ける。

    やがて力がつき、放たれた矢は天空に舞い上がり、どんどん遠くへ飛んでいく。
    的は増えていく。
    若い弓主は矢が少なくなることを気にせず、ただ的を射ることを信じて放ち続ける。
    けれど気づくと矢の本数は減っていき、代わりに背負うものが増える。

    少なくなった矢を、大事に一本づつ放つ人。
    背負うものの重さに耐えかね、矢を下ろす人。
    それぞれが選ぶことだ。

    陽射しに包まれている人。
    曇の下に身を置く人。
    風雨にさらされている人。
    持たされた時も立つ場所も、人は選ぶことは出来ない。

    ただ同じなのは、誰にも夜が訪れるということ。
    闇の中もう的は見えず、疲れ果てて弓を持つ手に力が入らなくなっていく。

    背負っている重さは感じるが、それが矢なのか他の何かなのかは、もうわからない。
    それでも手を背中に伸ばして、矢に触れることが出来たなら、精一杯の力で弓を引く。
    最後の一本になるまで。
    天に向かい弓矢を放つ。

    空を走る流星は、もしかしたら誰かの放った最後の矢の輝きかもしれない。

    紘野涼のフリーハンド紹介

     
     
     
    観察型コラムニスト/エッセイスト| 試合と日常の「流れ」を書く 「スワローズ観察日記R」 「紘野涼のフリーハンド」

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