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Photo bysyuka_sakura

残り香

    時が止まる瞬間に、
    自分が立ち会うことはできない。
     
    だから人は、
    天を見ながら弱音を吐く。
    強がる気力もない。
     
    動く顔を見ることができない。
    声を聞き取ることができない。
    誰かの問いに、
    返事を残せない。
     
    時が進む側の住人も、
    同じ寂しさを抱える。
    かたちあるものは、
    静かに輪郭をぼかす。
     
    問いは通り抜け、
    息となって溶ける。
     
    寂しさを抱えたまま
    時のない世界へ。
    時が進む生活へ。
    それぞれが、
    別れていく。
     
    時が止まる瞬間に、誰かがそこにいる
    その人の残り香と手の温もりが
    いまも、教えている。

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    観察型コラムニスト/エッセイスト| 試合と日常の「流れ」を書く 「スワローズ観察日記R」 「紘野涼のフリーハンド」

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