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Photo bymiki2021_th

都会のモグラ

    迷わないようにと懸命に
    心を描いた地図なのに
    くだらないと捨てられた

    こういうふうに描くんだと
    見せられた地図はごまかしで
    だけどこれが正しいのだと
    まねするように責められた

    嘘も必要なんだと笑われて
    それはごまかしでしょうと答えたら
    嫌なら出てけとなじられた

    自分を隠して
    書いた言葉は
    虚しさだけを残して通り過ぎていく

    都会のモグラは
    空が見たくて外に出た
    アスファルトの隙間から外へ出た

    日傘は陽射しを遮るけれど
    風当たりは避けられない

    空を見ようと顔を上げたら
    思ったよりも青くない
    だから
    誰も見上げない

    転がるたびに汚れた地図を
    きれいにたたんで持っている
    新しい地図を描く気はない
    もう消すことは出来ないものだから

    破れた地図など捨ててしまえと
    新しい紙を渡された

    バレなきゃいいんだと笑ってる
    割れた鏡に映った顔にそっくりだ

    都会のモグラは外に出た
    アスファルトの隙間から外へ出た

    しばらくたって戻ってみたら
    隙間はきれいに埋まってた
    夜空に星が光っていた
    だけど誰も見ていない

    都会のモグラは階段を降りた

    そこでも人波に押されて
    箱の中に押し込められ
    息苦しいと逃げだした

    箱が向かうのは暗闇の中
    窓の向こうには何も見えず
    割れた鏡に写った顔に
    似ているとは思えない

    嘘はモグラにとってただの音
    光から目を逸らすモグラは
    価値を感じることがない

    モグラが
    また地上に出る時に
    光る星が見えるのか?

    紘野涼のフリーハンド紹介・ほかのエッセイはこちら


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