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Photo bysatoshi_st

照れくさそうに芋続けた父

    #創䜜倧賞2026

    #゚ッセむ郚門

    私は、こんな光景を芋た蚘憶がある。

    駅ぞ向かう歩道を、幌い女の子がカヌトを抌しながら歩いおいる。
    時折転びそうになったり、巊右にふら぀きながら、それでも歩むのをやめずに進んでいく。
    その息遣いが聞こえるような距離で、父芪が芋守るように歩いおいた。

    たるで䌌おいないが、嚘を芋぀める距離が䌌おいる。
    父ずただ幌かった効の姿だ。

    父は私ず男同士の䌚話に培しおいたようだ。
    小孊生の時は、颚呂堎で私の髪の毛を切りながら、母が買い物で父ず二人きりになったずきなど、笑いを亀えながら話した。
    どんな話でも「俺のようになるな」ずいう締めだった。
    芖線を倖しお、遠い目で䌚話が終わるこずが倚かった。

    効に察しおは、䞍噚甚だった。
    嚘ずどう付き合えばいいのか、わからなかったのかもしれない。
    ただそれが絶劙な距離感を生んだ。
    効が幌かったずきでも、自ら抱き䞊げるようなこずはしなかったが、来るこずは拒たなかった。
    膝の䞊に乗っおくれば、どかすこずもない。
    手を出されれば、぀なぐものの、どこか照れくさそうだった。

    どこの家庭でも、父芪は息子よりも嚘に甘いのかもしれない。
    効が座っお食事をずるようになるず、我が家はテヌブルず怅子の生掻に倉わった。
    正座をしお膝が出るず、かっこ悪くなるずいう理屈だった。
    効は、少し高めのテヌブルに顔だけをのぞかせお、ご飯粒を頬に぀けお笑っおいた。

    蚀葉にも違いはあった。
    「男は顔じゃない。䞭身だ」ず蚀い぀぀、
    「俺は顔がいいけど、お前は䞭身で勝負」ずからかうように笑った。

    効には、友達がかわいいずいわれおいじけお涙ぐんでいるのを芋るず、
    「今はいいんだ。倧人になっおキレむになればいい。かわいくなるぞ」
    ず励たしの蚀葉をかけおいた。
    ただ子䟛だった私は、接し方の違いに、少し腹を立おたこずを思い出す。

    父芪䌌の効は、やがお呚りからキレむだずいわれるようになった。
    父は圓然心配しおいたが、それを効に悟られるこずを嫌がった。

    高校生になり、効の垰りが遅くなるず母に、
    「ただ垰っおこないのか䜕時ぐらいに垰っおくるずいっおた」
    ず䜕床もむラ぀いおいるような声で聞いおいた。
    ただ効が垰っおくるず、泚意をする母の暪で笑っおいた。

    䌚瀟垰りの父ず孊校から垰宅する効が、同じ電車になった日があった。
    そしお私に「いい女がいるな ず思ったら、自分の嚘だった」ず笑った。
    同僚にも蚀ったずいうのだから、苊笑いを返すしかなかった。

    効が高校䞉幎生になるず、成人匏の話をしだした。
    「個性的な着物の方が合う」
    ずカタログを集めながら、効に勧めおいた。
    ただ成人匏どころか、高校の卒業匏を芋るこずもなく、父は逝っおしたった。

    父が亡くなり、遺品の敎理をしおいた時だった。
    お菓子の猶の䞭に、キャラクタヌの絵が぀いた叀い封筒が入っおいた。
    封筒には、バラバラの倧きさの文字で、
    「たんじょうびおめでずう」
    ず曞いおあった。
    父がその手玙を読みながら、自宀の隅で背䞭を震わせおいたこずを思い出した。

    『パパぞ。い぀たでも元気でいおね。お酒を飲みすぎないようにね』

    鉛筆で曞かれた幌い文字、「お酒」を「お配」ず曞き間違えおいた。
    父は圓時、この文字を滲んで読めなかったのかもしれない。
    いや、そんなこずはどうでもよかったのだろう。

    気が付くず、私は郚屋の隅にしゃがみ、あの時の父ず同じように背䞭を揺らした。
    そしおその手玙ずずもに入っおいた䞀枚の写真。
    もっずも密接な時間を過ごした、錻氎を垂らした効。
    父が䞀番芋おいた笑顔だ。

    効がいずれ距離を取る日が来たずきを思い、写真を残しおいたのかもしれない。
    ただ効に反抗期はなかった。
    高校生になっおもたずわり぀いおくる効に戞惑い、
    「こっちが恥ずかしいよ」
    ずそれでもうれしそうにしおいた。

    たどたどしい足取りで歩き、錻の䞋を”カピカピ”にしおいる効。
    良い関係のたた、父ず効は芪子関係を終えた。

    駅が近づき歩道が広くなったずころで、私はたどたどしく歩く女の子を抜いた。
    息を切らし、汗を少しかきながら、それでも前ぞ少しず぀進んでいく幌い女の子。
    その埌ろを歩く、父芪は黙っおそれを芋おいる。
    幌い女の子の足取りだけでなく、この関係性に惹かれお目に留たったのがわかった。
    父はい぀も、暪でも前でもなく、埌ろから効を芋おいた。

    父の目に映った効は、い぀たでも錻氎を垂らした幌子のたただ。
    今も錻氎は止たらないらしい。
    父に䌌た目を花粉症で腫らしお、
    「行っおきたす」
    ず錻声で蚀い、仕事ぞ行くため、ドアの向こうに消えた。

    ※䞀本ず぀独立した゚ッセむ。以䞋はテヌマが同じもののリンクです。」

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ①
    逃げ堎所は映画通

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ②
    芳芧車のあるビル

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ③
    星は嚁匵らない

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ⑀
    ”いい男”が墓参りに来なくなった日



     
     
     
    芳察型コラムニスト゚ッセむスト 詊合ず日垞の「流れ」を曞く 「スワロヌズ芳察日蚘」 「玘野涌のフリヌハンド」

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