
鉾と盾
誰だって支えが欲しいに決まっている。
ただその支えは、簡単に手に入るものではない。
人は前を見据え、 右手に矛を持ち、 左手から盾を押し出し、 前へ進んでいく。
なぜ避けられる可能性のある前に盾を持つのか。
それは恐怖に打ち勝つためなのだろう。
なぜ気配しか感じられない後ろは無防備なのか。
それは背後にいるはずの誰かを信じているからだろう。
信頼を裏切る人ほど、後ろを気にして前がおろそかになる。 そして見えないはずの神を形にして、前を守ろうとする。
神に助けを求めたいこともあるだろう。
ただ、たやすく人に姿を見せるほど愚かではない。
神が人を裁くとき、姿を見せず後ろ手を取る。
なにに縛られたかわからない者たちの腕だけを後ろから取る。
神が人を助けるとき、姿を見せず後ろ盾となる。
前へ進もうとする者たちの背中を押し恐怖に打ち勝つ勇気を与える。
人は前を見据え、 右手に矛を持ち、 左手から盾を押し出し、 前へ進んでいく。
敵が怖れるのは、人が前を固めているからではない。
その後ろに控えている、信頼という光がまぶしいからだ。
自分を大事に想ってくれている人たちのことを、 大切にしている人には見える神など必要ない。
たくさんの後ろ盾を持っているのだから。
勇気を持てるのは、 神を感じることができるのは、友や仲間を信じる心を持つ者だけだ。