メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bysmap1104

月

    月は平等に照らしてはくれない。
    光が当たらない努力は、影を生み出すこともできない。
    満ち足り、欠け、ときには雲に隠れ、姿を見せない。
    そんな月のせいにしてしまうことがある。

    すべて0に戻り、並んでスタート。
    そういわれる季節が来る。
    ただ、全員が並んでいるわけではない。
    いつも最後尾、そこから始めなければならない、そんな立場にいる男がいる。
    『ツキがない』
    『月がない』
    どちらも闇の世界だ。

    何故、好調な時に、こんな目に合うのか?
    体の痛みより、心に突き刺さる想いが辛い。
    せっかく抜き去ったライバルが、何もできない自分の横を駆け抜けていく。
    心が折れそうになる。
    もしあの時…そんなことを思ってしまう。
    受け入れることは簡単じゃない。

    今度もスタートは最後方。
    そこには、月の光がない。
    照らされたライバルをうらやましく思っても、追いつく力を得られるわけじゃない。
    受け入れることが出来ないなら、受け止めてみようと思う。
    避けて後ろへ逸らすより、前に弾く力を持つ。
    そんな想いを受け入れよう。

    月は平等に照らしてくれない。
    でも隠れているだけだと信じよう。
    暗い夜空であっても、雲が抜けたときに見える月は、満ちたものかもしれない。
    月は空にある。
    もがきながら。
    這いつくばっても。
    自分の影を映し出してくれるところまで。
    きっとそこにたどり着けば「自分の居場所」への道筋が見えてくるはずだから。

    他の作品はこちら
    紘野涼のフリーハンド紹介


     
     
     
    観察型コラムニスト/エッセイスト| 試合と日常の「流れ」を書く 「スワローズ観察日記R」 「紘野涼のフリーハンド」

    あなたへのおすすめ