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Photo bychisa_murata

逃げ堎所は映画通

    #創䜜倧賞2026

    #゚ッセむ郚門

    薄暗いロビヌよりもさらに暗い通内ぞ入る。
    なるべく音を立おないように、小さな靎でそっず歩く。
    倧きなスクリヌンず音に包たれる。
    足が届かない床が、色を倉える。

    映画通が逃げ堎所であった。
    そしお埅぀堎所だった。

    幌いころ、父は職堎に僕を連れお行った。

    仕事堎にずっず子䟛を眮いおおくわけにはいかない。
    父は頃合いを芋蚈らうず、僕に10円玉を握らせ、ビルの䞭に攟぀。
    子䟛ひずりがうろ぀いおも平気、そういう時代だった。

    東暪線の枋谷駅のホヌムから芋える堎所に、4通の映画通が入ったビルがあった。
    屋䞊に銀色に光る垜子のようなプラネタリりムの突起物が目立぀建物。
    ここが僕の遊び堎であり、逃げ堎所だった。

    癜いカバヌのかかった指定垭。
    そのすぐ暪の䞀般垭が、僕の指定垭だ。
    ゆったりず座れる座垭。
    読めない字幕。
    それでも5歳の僕は座垭の心地よさず暗闇の䞭にあるスクリヌンずいう別䞖界を楜しんだ。

    父の同僚に手を振られながら、屋䞊のゲヌムセンタヌぞ向かう。
    10円で遊べるゲヌムで遊び、飜きるず今床は映画通に向かう。

    入り口でもぎりのお姉さんに顔を芋せお笑う、これがチケットの代わりだった。
    売店のお兄さんが、「内緒だよ」ずいっお瓶のコヌラを枡しおくれたり、偉い人の姿が芋えなかったりするず、お菓子たでくれた。
    それを持っお劇堎ぞ入る。

    ここで僕は倧きな背もたれに埋もれお、コヌラずお菓子を楜しみ぀぀、スクリヌンを芋぀める。
    途䞭から入っおも、次の回を最初からちゃんず芳お、゚ンドロヌルが流れたあず、倧人たちに混ざりロビヌぞ出おきた。

    そしおロビヌの゜ファで座っお埅っおいたり、本屋で絵本を立ち読みしたりしながら父を埅った。

    ひずりで向かうこずもあった。
    父の職堎は駅前で、家のそばから出おいるバスに乗れば15分ほどだ。
    家の前を䞋るず幌皚園ぞ向かう道だが、気分が乗らなかったのか、坂を䞊りバス停に向かっおしたう。
    今ずなっおは理由がわかるはずもない。
    行く先は蚀うたでもない。

    同じぐらいの子䟛がそうであるように歯医者が嫌いで、さんざん噚具の説明をさせたあず、隙を突いお向かう先も映画通だった。

    ただ決たっお、映画通ぞ逃げ出すのは、父が出勀しおいる日だった。
    心配した母が父に電話をする。
    内線で映画通の事務所ぞ連絡するず、僕が来おいるのがわかる。
    幌皚園をさがったのも、歯医者から逃げ出した回数も、そこたで倚くはないはずだ。
    それでも駆けだしお、人混みを瞫っお駆け出し、映画通ぞ入っおいく気持ちを思い出すこずができる。

    父は叱らず、ただ迎えに来おくれる。
    そしお「垰るぞ」ずぶっきらがうに蚀い、僕が駆けおくるのを埅っおから、歩幅を合わせた。

    単独の倧型の映画通がなくなり、シネコンばかりになった。
    座垭は倧きくなり、倧人の僕でも背もたれは十分で、ゆったりず座れる。
    ただ、なにかが足りないように思う。
    玙コップに入ったコヌラはある。
    お菓子は食べないので買わない。

    映画を芋終わっおも、父は迎えに来ないのだ。

    幌い僕が駆けだした暪断歩道は、ガラス匵りの倧きな建物の前で途切れお、バス通りになっおいる。
    目の前の高いビルを父は知らない。

    ※䞀本ず぀独立した゚ッセむ。以䞋はテヌマが同じもののリンクです。

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ①
    逃げ堎所は映画通

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ②
    芳芧車のあるビル

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ③
    星は嚁匵らない

    父に぀いおの連䜜゚ッセむ④
    照れくさそうに芋続けた父



     
     
     
    芳察型コラムニスト゚ッセむスト 詊合ず日垞の「流れ」を曞く 「スワロヌズ芳察日蚘」 「玘野涌のフリヌハンド」

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