
住宅ローン2500万円残っています。公務員を辞められるのか本気で計算してみた
第1章:住宅ローン2500万円という「現実」
私は、現在46歳の地方公務員だ。
住宅ローンは約2,500万円残っており、毎月の返済は約10万円。
さらにボーナス月には30万円の追加返済がある。
退職まであと10か月。
「公務員を辞めたい」という気持ちは固まっている。
しかし、正直に言うと、一番不安なのはこの住宅ローンである。
「公務員を辞めて、自分の力で生きていきたい」
という想いと、
「ローンが払えなくなったらどうしよう」
という不安。
この葛藤が今の自分を縛り付けているような気がする。
公務員だからこそ組めた住宅ローン
振り返れば、今の住まいを購入した時、銀行は拍子抜けするほどスムーズに融資してくれた。
やはり公務員という肩書は、すごく信用力があると実感した。
しかし、いざ辞めるという決断を具体的にシミュレーションし始めると、この「ローン残高2,500万円」という数字の景色がガラリと変わった。
公務員という立場は、住宅ローンを組むときには大きな信用になる。
しかし、退職を考え始めると、その信用を前提に組んだ住宅ローンが、将来の選択肢を狭める存在として重くのしかかってくる。
「辞めること」への最大の見えない壁
一番の不安材料は、退職後のキャッシュフローである。
現在、私の手取り給与のかなりの割合が、住宅ローン返済に消えている。
これがもし、退職して収入が3分の1、あるいは不安定な事業収入のみになったとしたらどうなるか。
「本当に払い続けられるのか?」
「副業が軌道に乗るまで、どれだけの貯金を切り崩さなければならないのか?」
「もし計算通りにいかなかったら、家族にどんな苦労をかけるのか?」
税務や社会保険の知識があるからこそ、退職後の住民税や健康保険料といった「制度の落とし穴」も理解している。
だからこそ、楽観視できないのだ。
この記事は、成功者の体験記ではない。
同じように住宅ローンという「重石」を抱えながら、それでも「自由」を諦めきれない一人の公務員が、その重石をどうやって扱い、どうやって管理可能なリスクへと変えていくのか。
そのリアルな計算の記録を、ここに書き留めていく。
第2章:住宅ローン2500万円を前に、私が考えた3つの選択肢
退職まであと10か月となった今、私はこの「2,500万円の壁」を突破するために、いくつかのルートを比較検討してみた。
どの道を選ぶにしても、住宅ローンという固定費が家計を圧迫し続ける事実に変わりはない。
現在、私が頭の中で整理している選択肢は以下のとおり。
選択肢① 公務員をこのまま定年まで続ける
当然だが、これが一番安全な選択肢だ。
このまま定年(60歳~65歳)まで勤め上げれば、毎月の返済もボーナス払いも、今の生活レベルを維持したまま完済できる。
しかし、それには「時間」という莫大なコストがかかる。
自分が本当にやりたいことや、外の世界で挑戦したいという熱意を、あと何年、いや十数年とガマンし続けることに耐えられるのか。
安定というリターンと引き換えに、引き続き自分の人生の残り時間を差し出すという選択。
そもそも、それがイヤだから退職しようと決めたはずなので、できればこの選択肢は除外したいところだ。
選択肢② 退職金でローンを圧縮する
早期退職の際に受け取る退職金を、住宅ローンの繰上返済に充てる戦略。
これならば、背負うものが減るため、少し心が軽くなる気がする。
例えば、仮に退職金の一部として1,000万円を返済に回したとすれば、残債は1,500万円にまで減る。
月々の返済額やボーナス払いの負担も大きく下がるはずだ。
しかし、これは「現金の防波堤」を自ら削る行為でもある。
退職直後の生活は収入がゼロからのスタートである。
その貴重な現金を、借金の返済にすべて投じてしまって、突発的な支出や老後の備えは大丈夫なのか。
この「資金の枯渇」と「返済負担の軽減」のバランスをどう取るかが、最大の判断ポイントになる。
選択肢③ ローンを抱えたまま退職する
もっとも「リスキー」であるが、私にとっての「自由」に一番近い道である。
ただし、これを実現するには「ローン返済額をまかなえるだけのキャッシュフロー」を自力で作り出すことが必須条件となる。
副業、投資、そして新たな収入源。
これらが返済額を上回る目処が立たない限り、単なる無謀な賭けになってしまう。
私自身、この条件を満たせなければ怖くて退職できない。
なお、計画通りにいかなかった場合には、一度組織の外へ出た経験を活かして、改めて雇用という形で収入を確保するという道(再就職)も一つのセーフティネットとして想定している。
ただし、給料は今の半分になるだろうし、そもそも正社員として就職するとなるとそう簡単に再就職できるかどうかも不安が残るところだ。
私は、どのルートを選ぶのか
今の心境を正直に言えば、私は「選択肢③」を現実のものにするための準備を急いでいるという状況である。
しかし、まだ「これだ!」と100%決め打ちはしていない。
公務員という安定を捨て、ローンを抱えたまま生きる……という選択の先には、果たして本当に「自由」が待っているのか。
あるいは、計算を間違えて破綻の淵に立たされるのか。
次章では、実際に私が行った家計シミュレーションを公開する。
第3章:辞めたら家計は破綻するのか?(計算の全貌)
早期退職への不安を解消するために、私は退職後の収支を徹底的に見える化した。
税務・保険の担当として働いてきた経験をフル動員し、退職後の「2つの働き方」を比較してみた。
シミュレーションの前提条件
年齢:46歳
配偶者:あり(フルタイム勤務・手取り年収約500万円)
子ども:1人(高校生)
住宅ローン残高:約2,500万円
保有資産:約2,000万円(現預金・投資資産)
退職予定:退職金として約500万~700万円を見込み

住宅ローンより教育費がヤバイ
これまで私は「住宅ローン2500万円」を何とかしなくては、と思っていた。
しかし、こうして表に並べてみると、住宅ローンはあくまで計画的な返済が可能な「固定費」に過ぎない。
それよりも圧倒的にキャッシュフローを圧迫するのは、教育費(200万円)だった。
今の収入がなくなった瞬間、この費用が家計の重石になることは明白だ。
このシミュレーションには、まだ続きがある
実は、この数字は子どもが高校生である「現在の」ものだ。
大学進学後は、授業料や生活費(仕送り)などで、教育費は年間300万円程度まで増加する見込みだ。
つまり、現在のシミュレーションで黒字であったとしても、それだけで安心とは言えない。
手持ちの資産2,000万円と退職金は、いわば家計を守る最後の砦だ。
しかし、教育費のピークと退職時期が重なるという事実は、これを確実に削り取っていくことになる。
結論:本当に警戒すべき「敵」の正体
計算を終えて気づいたことがあった。
私はこれまで「住宅ローンが敵だ」と思っていた。
しかし、本当に警戒すべきだったのは、住宅ローンを抱えた状態で「教育費のピーク」と「退職時期」が重なることだった。
「無計画に勢いだけで退職したら、即座に破綻する」という現実を改めて突きつけられた。
確かにそれはわかっていたはずだ。
私と同じような状況の公務員の方も、辞めたいと思っていても辞められないのは、多かれ少なかれ「お金の問題」があるから。
しかし、「住宅ローンが怖い」という漠然とした不安から、「退職後の教育費のピークをどう乗り切るか」という具体的な課題へと、私の思考が切り替えられたのは良かったのかもしれない。
第4章:住宅ローンを「管理可能なリスク」に変えるために、私がとった行動
第3章で、「真の敵は教育費のピークと退職が重なることにある」と結論づけた。
では、私はその「敵」をどう管理可能なリスクに変えたのか。
誤解のないよう最初に断っておくが、私が実行してきた防衛策は、退職を決めた直後に慌てて始めたものではない。
住宅ローンを見直したり、投資の枠を広げたりといった行動は、ずっと以前から積み重ねてきたものだ。
ここからは、その「積み重ね」がどのように今の防衛戦略へと繋がっているのか、具体的な数字とともに公開する。
1. 住宅ローンの「借り換え」は実行済
私が住宅ローンの見直しに着手したのは、決して退職間際ではない。
もっと早い段階から、自身の収支を分析し、より有利な条件へ借り換えを進めていた。
実行したこと: 完済を急いで現金を減らすよりも、手元流動性を高めることを最優先し、利息負担を最小化する戦略をとった。
実数値: これまでの積み重ねによって総返済額は約120万円の削減となり、月々の返済額も約8,000円軽減できている。この「先回りした管理」が、今の私の生活を支える現金の防波堤となっている。
2. NISA・高配当株は「第2の給与」
退職後のキャッシュフローを補完するため、投資を単なる「資産運用」ではなく「第2の給与」と位置づけて、これも以前から継続してきた。
正直なところ、これが私の資産を大きく増やしてくれた立役者だ。
何せ、お小遣い制の私の資金が2000万円という金額まで膨らんだのは、ほとんど投資のおかげなのだから。
活用戦略: NISA枠を最大限使い、インデックス投資で着実に資産を増やす一方、高配当株で現金配当を狙うハイブリッド型。
生存戦略: 投資歴は長いが、退職直後に使う資金まで株式で持つ気はない。暴落時にパニックにならないよう、資産の一部はあくまで「現金」で確保する。この慎重な姿勢も、ずっと変わっていない私の生存戦略である。
3. 副業は「実験」から「経営」へ
この場では言えないが、様々な副業をやってきた。
そこそこ稼げたものもあるし、全く稼げなかったものもある。
現在の実績: 現時点では、note等の副業収入はまだ0円。現役であるが故、そもそも大っぴらに副業がやりにくいのもあるが。
退職後の見込み: とりあえず退職後1年目は年間10〜30万円を見込んでいる。退職後、本格的にビジネスとして取り組むことで収入増加を狙う。
4. 現金比率は「生存の防波堤」
すべてのアクションの前提となるのが「現金比率の維持」だ。
保有資産2,000万円のうち、一定割合は必ず現金で確保している。
万が一の再就職までの期間、あるいは教育費のピーク時に、株価を気にしながら資産を売却するような事態だけは避けなければならないからだ。
これがあるからこそ、ようやく「起業という選択肢」を現実的に検討できる土俵に上がることができたと思う。
私が実行していることは、すべて「退職のための防衛」である
こうして借り換えや投資、副業を並べてみると、すべてがひとつの目的のために繋がっている。
住宅ローンを管理し、教育費に対する準備を進め、現金で生存率を高める。
ただ、これらの準備を経ても、私は「退職しても破綻はしない」という甘い確信を得たわけではない。
しかし、「退職後のリスクの正体は何か」「それに対して何を準備すべきか」という、何が危険か分からない状態からは抜け出すことができたと思う。
第5章:それでも、なぜ私は「組織の外」を目指すのか
ここまで、住宅ローン、教育費、そして投資や副業といった具体的な数字と向き合ってきた。
正直に言えば、今の私の手元には「退職しても絶対に大丈夫」という自信はない。
「やはり、2000万円ではまだ足りないのではないか?」
今の率直な気持ちはこれだ。
世間では「5000万円貯まったからFIREしました」という人や、
「いやいや、最低7000万円はいるでしょ?」とか
「1億円あったら年4%の配当で400万円あるから安心だよね。」
などという意見が飛び交っている。
確かに、私も1億円あれば、今すぐにでも辞める。
ただ、そこまで貯まるまで待ってたら、結局辞めることができるようになるのは60歳以降になってしまう。
「計算」の先にあるもの
多くの人がFIREや早期退職に憧れを抱きながら、結局は組織に留まる選択をする。
その理由は明白だ。
「辞めた後に待っているのは、暗闇かもしれない」という恐怖があるからだ。
未来を完全に予測することなど誰にもできない。
この世に「100%安全な道」など存在しない。
私が執筆してきたこの記録は、現状の確認だ。
住宅ローンの返済、教育費のピーク、そして退職後の収支。
自分の資金と今後のキャッシュフローを知ることで、今はまだ退職には時期尚早なのか、もしかして退職できるのではないか、ということがわかる。
組織の外に求める「もう一つの豊かさ」
なぜ、ここまでして退職を目指すのか。
それは、単なるお金の問題ではない。
私は公務員として20年以上のキャリアを積み、税務や国民健康保険といった行政の深部に触れてきた。
そして、管理職となり、今は市役所という組織で働くことに魅力を感じなくなってきている…というかやりがいが無くなってきた。
プレーヤーからマネージャーという変化。
職場環境の悪化。
上層部の考え方。
いろいろと思いはあるが、ここにきて「もっと自分に合う、いや自分がやりたい仕事があるのではないか?」と思うようになった。
今の私には、守られるべき「安定」よりも、自分の力で誰かに価値を提供し、その対価として得られる感謝の言葉を受け取る方に魅力を感じている。
副業収入が0円の今、それを語るのはまだ早いかもしれない。
しかし、この0円を1円に変えるという、極めて泥臭いプロセスこそが、私にとっての「新しい人生の始まり」なのではないかと思う。
退職を検討しているあなたへ
もしあなたが、かつての私のように、住宅ローンや将来の不安に押しつぶされそうになっているなら、まずは「計算」をしてみてほしい。
不安の正体は、多くの場合「数字」の中に潜んでいる。
私自身、最初は住宅ローンこそが最大の敵だと信じていた。
しかし、実際に電卓を叩いてシミュレーションしてみると、本当に警戒すべきは、教育費のピークと退職時期の重なりであったことが分かった。
計算したからといって、不安が消えたわけではない。
ただ、「何に備えるべきか」「どこまでが許容範囲か」が明確に見えるようになった。
面倒でも
・今の自分にはどのくらいの資金があるのか
・辞めた後の収入はどうなるのか
・今後の支出はどのぐらいになるのか
を把握すれば、辞めどきが見えてくると思う。
結びに
私にとっての退職へのカウントダウンは、残りあとわずかだ。
今回、ここまで数字を洗い出してみて、ひとつ正直な気持ちがある。
このシミュレーションを終えて、むしろ以前より退職への迷いが大きくなってしまった。
計算する前は、「住宅ローンさえ何とかなれば辞められる」と考えていた。
しかし実際には、教育費のピークや社会保険料の負担など、想像以上に大きな壁が見えてきた。
本当に10か月後に退職するのか。
あるいは数年先送りするのか。
今の時点では、まだ答えは出ていない。
ただ一つ言えるのは、計算する前の不安と、今の不安はまったく別物だということ。
以前は、退職することが漠然と「怖い」と感じていた。
しかし今は「何が怖いのか」がわかっている。
何に備え、何を管理すべきかが明確になったからこそ、残りの10か月で何をすべきかも見えてきた。
この記録は、私自身の意思決定のプロセスそのものだ。
10か月後、私はどんな結論を出しているのか。
あるいは、計算を重ねた結果、別の選択肢を選んでいるのか。
その結果も、また正直に書こうと思う。
どうか、この記録が今まさに同じような不安の中で電卓を叩いているあなたの背中を押す、ささやかな道標になれば幸いです。