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Photo bysatoshi_st

【掌編小説】どうしても行きたかった

     出会っちゃったなあ、そう思った。
     友達に誘われて初めていった地下アイドルのライブ。
    一眼で夢中になった。
     ヴァイオレット・ヴァイオレンスの、来栖メル、通称めるめるに。
     横ツインテールの髪、甘ゴス寄りの衣装、ロリ顔メイク、鼻にかかった甘い声。僕は一瞬で心を掴まれてしまった。

     他のメンバーにすら目もくれず、僕はめるめるを追いかけた。
     チェキ券は毎回何枚も買った。

     ある日。僕はライブに行く途中で、トラックに轢かれてしまった。

     ところが、次の瞬間、僕はライブ会場にいた。
     めるめるにかける僕の執念が、僕の意識だけをここに運んだのか。

     これが最後かもしれない。僕はめるめるのパフォーマンスを目に焼き付けた。

     そして終演後。チェキ列の横に僕がぼんやり立っていると、驚いたことに、めるめるが駆け寄ってきた。
    「ありがとう、来てくれて」
    「え、めるめる、僕が見えるの……?」
    「うん。嬉しいよ。幽霊になってまで会いにきてくれるなんて」

     こうして、僕は昇天した。



    ※『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』


    たらはかにさんの企画、毎週ショートショートnoteへの参加作品です。
    見切り発車で書き出したけど、なんとかなった……のか?

     
     
    Radiotalk自主企画「#お題で創作」で朗読した作品などを発表しています。朗読等二次利用については、出典を明記していただければご自由にしてくださって構いません。報告は必須ではないですが、してもらえると喜びます。アイコンはシンガーでイラストも描いているNeneNoneさん。

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