もしも、この世に鏡がなかったら〜絵本「ふたごのき」を読んで感じた、比べない心
こんにちは、今日は「言の葉🌿日和」のひよりです。
我が家には、とても大切にしている1冊の絵本があります。
今でも、何回読んでも感動して涙してしまうほど、想いが心に沁みる本です。
今回はこの絵本『ふたごのき』から、「比べない心」をテーマにお話させてください。
この記事は「つい誰かと自分を比べてしまいがちな人」へ向けて書いています。
少し長めの記事となっていますので、お時間のあるときに読んでいただけると嬉しいです。
偶然とは思えない、2冊の絵本との出会い
もう何十年前かも忘れましたが、北海道にある「銭函駅」近くの喫茶店にふと立ち寄った時のことでした。
その喫茶店には、珍しく数多くの絵本が置いてありました。
私が手にしたのは、2冊の絵本でした。
そのうちの1冊が、今も多くの人に愛されているベストセラー絵本、
愛することや、生きることについて考えさせられる一冊です。
そして、もう一冊が今回紹介する、
姉崎一馬さんの写真に、谷川俊太郎さんが文を添えた『ふたごのき』でした。
昔から谷川俊太郎さんの詩が好きだったこともあり、
最初に『ふたごのき』を読みました。
その内容に、感動のあまり大泣きしてしまいました。
あいにく、喫茶店には私ひとりしかいなかったこともあり、涙がとまりませんでした。
絵本を読んだあと、心の中にひとつの問いが残りました。
「もしも、この世に鏡(自分を映すもの)がなかったら、私たちはどうなるんだろう?」
今日は、そんなことを考えてみたいと思います。
『ふたごのき』を読んで、心に残ったこと

絵本『ふたごのき』のモデルとなった木は、
北国の丘に寄り添うように立っている、2本のエゾヤマザクラ。
同じ場所から撮影された四季折々の写真と、アパとアピの会話によって物語が紡がれていく写真絵本です。
少し大きいほうがお姉さんのアパ。
小さいほうが弟のアピ。
そんな姉弟の何気ない会話が、どれも大切なことをおしえてくれます。
『ふたごのき』の中で、特に心に残ったのが、アパとアピが花について語り合う場面でした。
アピ「きみのはなが さいたよ」
アパ「あなたのはなも さいてるわ、アピ」
アピ「きみのはな とてもきれいだ。」
アパ「あなたのはなも、とてもきれい。」
アピ「じぶんのはなは みえないけど きみのはなが みえるから いいな。」
※『ふたごのき』は1985年にリブロポートから刊行され、2004年に偕成社から改訂版が出版されています。
そう、最後の
「じぶんのはなは みえないけど きみのはなが みえるから いいな。」
でした。
自分の姿がわからないということ
『ふたごのき』を読んでいて、私が感じたのは、
自分の姿は見えなくても、目の前にいる相手の姿を見ることができる。
そのことの豊かさでした。
自分がどんな姿をしているのかはわからない。
でも、目の前にいる相手が笑っている顔や、悲しそうな顔を見ることはできます。
「今日は楽しそうだな」
「何かあったのかな?」
そんなふうに、相手の姿を見て、その気持ちを想像することができる。
自分を見ることができないからこそ、相手を見る。
そんな姿が、とても印象に残りました。
そして私は、ふと思ったのです。
もしも、この世に鏡がなかったら
私たちは毎日、当たり前のように鏡を見ています。
朝、顔を洗ったあと。
出かける前。
髪型を整えるとき。
お風呂に入ったとき。
鏡に映った自分を見て、外見を知っている。
もちろん、鏡があることは悪いことではありません。
でも、もしも、
この世に鏡(自分を映すもの)がなかったら、
自分の顔を見ることも、自分の姿を確かめることもできません。
その代わり、目の前にいる人の姿は見ることができます。
嬉しそうな顔。
悲しそうな顔。
困っている顔。
もしかしたら、
今よりも、私たちは誰かの表情をじっくり見るようになるのかもしれません。
私たちは、知らないうちに自分を比べている
そして、私がもうひとつ考えたことがあります。
私たちは、鏡だけでなく、
いろいろなものを通して、自分と誰かを比べています。
容姿、暮らし、仕事、才能。
そして、SNSに並ぶ誰かのキラキラした毎日。
「あの人はいいなぁ」
「それに比べて私は…」
そんなふうに、自分と誰かを比べてしまうことはありませんか?
私は、あります。
そして、ときにはその苦しさから、
「この世に、自分を映すものがなかったら」
と本気で考えてしまいます。
でも、誰かと比べるからこそ、
自分に足りないものばかりが見えてしまうのかもしれません。
比べるから、「足りないもの」が見えてくる?
誰かと比べると、
「あの人にはあるのに、私にはない」
そんなふうに考えてしまうことがあります。
でも、少し立ち止まって考えてみると…
比べなければ、本当に「足りない」のでしょうか?
誰かが持っているものを、
自分も持っていなければならないのでしょうか?
きっと、そんなことはありません。
自分を見ることと、誰かと比べることは、同じではないのだと思います。
自分には自分の良さがある。
誰かには、その人にしかない良さがある。
それだけでいいのかもしれません。
自分を見るより、誰かを見る

『ふたごのき』を読んで、私は思いました。
自分のことばかりを見ていると、
見えなくなってしまうものも、あるのではないかと。
目の前にいる人が、
今日は少し元気がない。
いつもより口数が少ない。
笑っているけれど、どこか無理をしているように見える。
そんな小さな変化に気づくこと。
そして、
「どうしたのかな?」
「何かできることはあるかな?」
と、相手を思いやること。
相手を見ることは、相手を知ろうとすることなのかもしれません。
鏡があっても、比べない心は持てる
もちろん、鏡が悪いわけではありません。
鏡があってもいい。
SNSがあってもいい。
誰かを見て、「素敵だな」と思うことだってあります。
大切なのは、それを見て自分を否定しないこと
なのかもしれません。
「素敵だな」と思ったあとに、
「でも、私には何もない」
ではなく、
「私にも、私らしいものがある。」
そんなふうに、自分だけの持ち味を大切にできたらいいですよね。
ときには鏡から目を離して
もしも、この世に鏡がなかったら。
私たちは誰かと比べることなく、もっと優しく、もっと穏やかに、
人を思いやれるようになるのでしょうか?
答えはわかりません。
でも、ときには鏡から目を離して、顔を上げてみるのもいいのかもしれません。
そこには、自分の姿ではなく、
誰かの笑顔や、少し寂しそうな顔があるかもしれません。
自分を見ることも大切。
でも、ときには誰かを見て、思いやることも大切。
そんなことを、『ふたごのき』を読んで感じました。
さいごに
あの日、喫茶店で出会った2冊の絵本。
『100万回生きたねこ』と『ふたごのき』。
あとになって知ったことなのですが、『100万回生きたねこ』の作者である佐野洋子さんと、『ふたごのき』の文を書いた谷川俊太郎さんは、元ご夫婦だったそうです。
あの日、何気なく手に取った2冊の絵本に、そんなつながりがあったこと。
なんだか不思議な縁を感じました。
『ふたごのき』は、思いやる気持ちだけでなく、2本の木を通して、人生の奥深さや幸せについても考えさせてくれる素敵な絵本です。
もし書店や図書館、古書店などで見つけることがあれば、ぜひ手に取ってみてほしい一冊です。
「自分を映すもの」から目を離して
今日、あなたの目の前にいる人は、どんな顔をしていますか?
そんな小さな気づきから、誰かを思いやる気持ちが生まれるのかもしれません。
今日も、
「少しだけ顔を上げて、誰かの表情を見てみようかな。」
もし、自分の姿を知らなかったら、
私は、今よりももっと、目の前にいる人のことを見つめるようになるのでしょうか。
そして、その人の笑顔や悲しみに、今までより少しだけ気づけるようになるのかもしれません。
あなたも、ときには「自分を映すもの」から目を離して、
目の前にいる誰かを見つめてみてください。
そこには、
比べることでは見つけられない、大切なものがあるのかもしれません。
この記事を書いているのはどんな人?自己紹介など

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