
あなたが産まれてきた日(無痛分娩の出産レポ)
出産は、無痛でも大変であることには変わりない。
それでも私は、あの瞬間をもう一度味わいたいと思えるくらい、
楽しくて、素敵な時間だったと思っている。
※これはあくまで、私自身の体験と感じ方の話です。
予定日の一週間前、
土曜日の夕方に高位破水して入院。
予定していたのはオンデマンドの無痛分娩。
計画無痛ではなく、本陣痛を待ってから麻酔を入れるスタイルだ。
土日祝や夜間は出産費用が上がる。
翌週には祝日も控えていて、
勝手ながら「できれば平日の月曜日のお昼に産みたい」と思っていた。
破水しているので、横になれば漏れてくるし、
仰向けだとお腹が苦しい。
大したことないようで、地味にしんどい時間が、ただ続いていた。
日曜日の夜中、前駆陣痛が来た。
「もう少し待ってね」と赤ちゃんにお願いして、「深夜だから」と一度眠る選択をした自分に、
あとから少し笑ってしまう。
結果的に、よく眠れた。
赤ちゃんはちゃんと待っていてくれた。
産まれる前から、親孝行な子だなと思った。
朝起きたとき、自分でも「もうすぐ本陣痛になるな」と分かる感覚があった。
月曜日の朝一で促進剤が入り、
陣痛の間隔は一気に縮まった。
正直、無痛麻酔が入るまでの時間は、
やっぱり痛くてつらかった。
それでも、出産は体力勝負だと自分に言い聞かせて、分娩室で出された朝食を完食した。
麻酔が効いてくると、景色が一変した。
陣痛の数値は上がっているのに、呼吸ができて、
会話ができて、スマホを触る余裕まである。
そのとき、ふと思った。
ああ、私は本当にこれでよかった、と。
子宮口が全開になっても、
すぐに出産になるわけではない。
痛みは全くなく、呼吸をしながら、
赤ちゃんが下りてくるのを待っていた。
立ち会いが始まり、夫に写真の撮り方をレクチャーして、「そろそろいきみましょうか」と練習が始まる。
無痛でも、いきみは決して楽じゃなかった。
全身で踏ん張り、骨が動く痛みに耐えながら、必死だった。
会陰切開の気配に、少し身構えた。
でも次の瞬間、赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
バースプランに書くほど嫌だった会陰切開も、
その瞬間には、かすり傷のように思えた。
そんなことより、早く会いたかった。
無痛を選んだから楽だった、とは思わない。
でも、無痛を選んだから、落ち着いていられた。
そして、楽しい時間だった。
あの尊い時間を、余裕のある心で味わえたこと。
それが、私にとっての無痛分娩だった。
妊娠と出産という生命の神秘に、
痛みをできるだけ減らせる選択があるなら、
それを選んでもいいと思う。
楽しい思い出として残ったこの時間も、
ちゃんと、ひとつの出産のかたちなんだと思っている。