雨の日にストライダー。わたしには、できないかもしれない。
昨日、雨の日に、車の中からある親子を見た。
2、3歳くらいの女の子が、カッパを着てストライダーに乗っていた。
横にはお母さん。大きな荷物を背負って、自分の傘を差しながら、もう一本の子ども用の傘を女の子に差しかけてあげていた。
小雨、という感じではなかった。
普通に、しっかり雨が降っていた。
それを見て、最初に思った。
……わたしだったら、できないかもしれない。
雨の日にストライダーに乗りたいと言われたら、たぶん最初に「今日はやめとこう」と言う。
濡れるし、滑ったら危ないし、帰ってから着替えさせるのも大変だし。
できることなら車で行きたい。なるべく濡れずに、なるべく大変じゃない方法を選びたい。
だから、あのお母さんの姿が妙に目に残った。
きっと女の子は、ストライダーに乗りたかったんだと思う。
「雨だから今日はなしね」と言われても、乗りたかったのかもしれない。
カッパを着せてもらって、それでも傘も持っていきたいと言ったのかもしれない。
本当のところは何も分からない。
たまたま、ああいう状況になっただけなのかもしれない。
それでも、大きな荷物を背負いながら、自分の傘と子どもの傘を気にして、ストライダーで進む小さな背中について歩くお母さんを見ていたら、なんだか胸がきゅっとした。
この光景って、きっとずっとは続かない。
今は「ストライダーに乗りたい」と言っているその子も、そのうち乗らなくなる。
少し前までお気に入りだったものを、ある日突然使わなくなるように。
「もうこれ、いらない」
そんなふうに言う日が来る。
親からしたら、今は大変だ。
荷物は多いし、雨の日くらい楽をしたいし、子どもの「これがいい」に全部付き合っていたら、とてもじゃないけど身がもたない。
うちの子たちにも、今だけの「どうしてもこれがいい」が、まだたくさんある。
もちろん、毎回答えてあげられるわけじゃない。
むしろ「今日は無理」「それはやめよう」と言う日のほうが多いかもしれない。
雨の日に「ストライダーに乗りたい」と言われたら、今のわたしならやっぱり断ってしまうと思う。
でも、昨日見たあの親子のことは、たぶんしばらく忘れない。
大きな荷物を背負って、傘を二本気にしながら、雨の中を進んでいたお母さん。
その隣で、カッパを着てストライダーに乗っていた小さな女の子。
大変そうだった。
それなのに、なんだかとても眩しかった。
子どもの「どうしてもこれがいい」に付き合える時間は、思っているより短いのかもしれない。
全部は無理でも。
あとで思い返したときに、「あのときくらい、付き合ってあげてもよかったな」と思わないように。
次にうちの子が「どうしても」と言ったとき、昨日のあの親子を、少しだけ思い出す気がする。
