
光を読むスナップ撮影術。
僕は写真を撮るとき、よく光と会話をする。君はどんな顔、性格をしていて、いつ去っていくのか。そんなことを光に尋ねている。(もちろん、声に出して会話をしているわけではない。ひっそりと心の中で会話している。)
こんなことをするようになったのは「光」というものが写真表現において、重要な立ち位置であることを知っているからである。
写真を始めた当初、美しい写真を撮りたい一心で幾度となく街へ出ては、何も掴めないまま帰る日々を繰り返していた。技術は思うように伸びず、募るやるせなさに辟易としていた。
打開の一手となったのは「光」を読むことだった。
彼らと会話することで、表現したいものがスッと写真に落ちていく感覚があった。



ここで言いたいのは単に「標準露出で撮ること」が全てではないということだ。スナップの分野において重要なのは、光をいかに自分好みに表現するかだと考えている。その中には、白飛びや黒潰れを含む写真も多く存在することだろう。
実際、都度状況が変わる街の中で、全ての景色が標準露出として視界に入ってくるわけではない。強烈な光に眩むような描写も、暗闇を彷徨っているような描写も、多々存在する。適切に捉えられない景色、その場で感じた衝動や感覚を写真に落とし込むのも表現の一つだ。
もちろん、基礎が大切なのは言うまでもない。F値、シャッタースピード、ISOの扱いなど、基本を知った上で自己表現に立ち返るのが良いと考える。



さて、こういった考え方は自由であるということを前提に、なぜ光を読むだけで格段に写真の質が向上したのか、実践したことをいくつか話していく。
冒頭に掲載した写真に少しでもときめきを感じてくれた方は、ぜひモデルケースの一つとして参考にしてほしい。