メインコンテンツへスキップ
見出し画像

『やまのけそこのけ』第9話『水没リモコンそこのけ!山野家流・キャンセルハックVS水素の秒速Amazonポチ!』


    「おい、大変だ! REGZAのリモコンがお茶の水滴で水没した!」炭素パパの悲鳴がリビングに響き渡りました。手元にある東芝REGZAのテレビリモコンは、湯呑みからこぼれたわずかな水滴を吸い込んでしまい、内部の基盤がショートしかけています。画面の中では、映画の音量が自動で「大」に向かって爆音で上がり続け、あわててボタンを押すと今度は最小まで下がり出すという、完全な暴走状態に陥っていました。さらに、Amazonプライム・ビデオの画面に切り替えると、操作プロセッサに異常電流が流れているかのように、選択カーソルが「上」に向かって無限にスクロールし続けてしまいます。「パパ、それ完全に内部の接点が液体で導通しちゃってるよ。ボタンの抵抗値が狂ってる」あきれ顔でそれを見つめるのは、家族の中で最も軽快で合理主義な「水素」です。しかし、炭素パパの目は輝いていました。「フッ、甘いな水素。炭素の結合力と粘り強さを舐めるなよ。この暴走、完全に制御不能というわけではない。見ろ!」炭素パパは画面の音量ゲージがちょうど良い位置に来た瞬間、すかさず『チャンネルボタン』を鋭く押し込みました。すると、どうでしょう。無限にループしていた音量の増減がピタリと止まり、正常な音量で固定されたのです。「フハハハ! 暴走するパルス信号に対して、チャンネル切替の割り込み信号を特定のタイミングでぶつけることで、チャタリング出力を一時的にキャンセルして操作を受け付けさせるハックだ!」自慢げに胸を張る炭素パパ。だが、再びAmazonプライム・ビデオの画面に戻ると、またしてもカーソルが上にすっ飛んでいきます。その度に炭素パパは「今だ!」と叫びながらチャンネルボタンを連打しなければなりませんでした。水素は深くため息をつきました。「……ねえパパ。テレビ見るたびにそんな音ゲーみたいなタイミング合わせの面倒くさい操作、誰がするの? 時間の無駄よ。おとなしく新しいのを買いましょう」「くっ、身も蓋もないことを……。しかし、純正のREGZAリモコンを今すぐ手に入れるとなると……」炭素パパはスマートフォンを取り出し、即座に市場調査を始めました。「メルカリなら、出品者によっては動作確認済みの正規品が安く転がっている可能性がある。だが、内部の摩耗具合までは分からないな。かと言ってAmazonで『REGZA リモコン』と検索すると、見た目だけが似ている非正規品の互換品が大量にヒットして玉石混交だ。サイエンスファミリーたるもの、怪しいコピー品で妥協するわけにはいかない」「じゃあ、Amazonの公式ストアやメーカー正規品のページから直接注文すればいいじゃない」水素が画面を指差します。「なるほど、これか! REGZA公式マニュアルで推奨されている純正の型番なら間違いない。Amazonの正規販売ルートから注文すれば、互換品の怪しい挙動に悩まされることもないし、最短で明日には届く!」炭素パパはすぐさま購入ボタンをタップしました。こうして、山野家のテレビを巡る一時的な「チャンネルボタン・キャンセルハック」の戦いは終わりを告げ、スマートな新型リモコンの到着を待つことになったのでした。

    #創作大賞2026 #ファンタジー小説部門

    あなたへのおすすめ