
『ボーンズ・シリアルキラー』 第1話 診察室の死神 骨継ぎのコレクション
「あぁ、そこが痛みますか。大丈夫、すぐに楽になりますよ」
昼間、整骨院の院長・久世(くぜ)は、穏やかな笑顔で患者の肩を揉みほぐしていた。彼の指先は魔法のように的確で、どんな痛みも消し去ると評判だ。だが、彼の真の「触診」は、筋肉のこわばりではなく、会話の端々に潜む絶望に向けられていた。
「もう、いっそ死んじゃいたいですよ……」
独り身の老人や、借金に追われた男。ふとした瞬間に漏れるその一言が、久世にとっての「招待状」だ。彼はその場で「特別な治療」の予約を入れる。
夜。久世は「管理物件」と書かれた空き家の鍵を開ける。家主が海外にいて数年は戻らない、地図からも忘れられたような古い洋館だ。
トラップに誘い込まれた獲物は、逃げ場のない部屋で久世と対峙する。昼間の柔和な笑顔のまま、彼は外科手術のような手際で獲物を「解体」していく。
「骨を扱うのは慣れていましてね。関節を外す時の感触が、一番落ち着くんです」
調理された肉は、彼の胃袋へと消える。そして、残された頭蓋骨。
それは丁寧に煮沸消毒され、空き家の地下室にある隠し棚へと並べられる。
「次は、どこの関節を外しましょうか……」
月明かりに照らされた棚には、同じような空虚な眼窩(がんか)がずらりと並び、持ち主だった者たちの絶望を、静かに、永遠に語り続けている。
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