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AI Fluency⑤ | Description: 何を・どう・どんな関係で

    このレッスンを終えると、次の3つができるようになります。

    1. Descriptionの3分割(Product / Process / Performance)を説明できる
    2. 3つを使い分けて、協働の条件を最初に整えられる
    3. 見落とされがちなPerformance Descriptionを意識的に使える

    所要時間の目安は15分です。

    原典動画(英語・無料/Anthropic, CC BY-NC-SA 4.0)

    伝え方の3つの側面(Product / Process / Performance)を一つずつ掘り下げます。

    Lesson 6: A closer look at Description
    https://www.youtube.com/watch?v=DmgujoZ1mmk


    「察して」が通じない理由

    Descriptionの定義は、AIと生産的に協働できる状況を、伝え方で作り出す力です。

    原典の漫画がこの力の本質を一コマで描いています。「ねえ、私がいま考えてること当ててみて?」と尋ねる人に、AIがため息をつく、という場面です。察してもらう前提のコミュニケーションは、人間相手でも破綻しますが、AI相手ではまず破綻します。AIはあなたの部署の事情も、上司の癖も、昨日の会議も知りません。だからこそ、こちらから記述します。それも3つの面から記述します。

    3つのDescription

    1. Product Description(成果物の記述)

    何が欲しいか。出力・形式・読み手・文体の指定です。

    「第一四半期の振り返り資料。読み手は経営会議。A4で2枚。結論から書き、数字は表に」。Claude 101 のプロンプト3要素で学んだ「Defining the task」と「Specifying rules」は、主にこれでした。

    2. Process Description(進め方の記述)

    どう取り組んでほしいか。手順や思考の進め方の指定です。

    「まず論点を洗い出して、私が優先順位を付けてから、本文に入って」「ステップごとに進めて、各ステップで確認を取って」。成果物が同じでも、進め方の指定で協働の質は大きく変わります。Claude Code 101 のplan mode(まず計画、それから実行)は、Process Descriptionをツール化したものだったと言えます。

    3. Performance Description(ふるまいの記述)

    協働中にどんな相棒でいてほしいか。もっとも見落とされがちな3つ目です。

    「簡潔に頼む」「詳しく説明して」「私の案に遠慮なく反論して」「ソクラテス式の家庭教師として、答えでなく問いで導いて」。AIの応答スタイルは初期値のままである必要はありません。あなたにとって最も生産的なふるまいを、あなたが指定してよいのです。

    前レッスンの演習で「反論を歓迎すると議論の質が上がる」と体験した方は、すでにPerformance Descriptionを使っています。

    3つの見分けかた

    同じプロジェクトの依頼で並べてみます。

    • 「比較表の形で、5社ぶん、価格と特徴の2軸で」→ Product(何が)

    • 「まず公式サイトの情報だけで埋めて、不明のセルは不明と書いて」→ Process(どう)

    • 「私の推測が入ったら、都度指摘して」→ Performance(どんな相棒として)

    3つを混ぜて書いて構いません。むしろ、良い依頼文には自然に3つが入ります。大事なのは、出力がずれたときに「3つのどれが足りなかったか」を診断できることです。形がずれたならProduct、途中経過が困るならProcess、やり取りが噛み合わないならPerformanceです。診断できれば、直す場所がわかります。

    先に伝えることの経済学

    原典の要点をひとつ挙げます。明確なコミュニケーションを最初にしておくことは、時間を節約し、より良い結果につながる。

    「とりあえず投げて、出てきたものに文句を言う」方式と比べてみます。往復のたびに待ち時間と読み直しが発生し、しかも軌道修正は文脈が積み上がるほど効きにくくなります。Claude Code 101 で「軌道修正は計画段階が最安」と学んだのと同じ経済学があらゆる依頼に働いています。説明の30秒は、手戻りの30分より安く済みます。

    演習

    20分の実習です。前レッスンで作った分担表から、「AI」または「協働」担当のタスクをひとつ選びます。

    1. そのタスクの依頼文を、3つのDescriptionを意識的に全部入れて書いてください。ラベルを付けて書くと練習になります:

    【Product】欲しいもの: ○○。形式は△△。読み手は□□。
    【Process】進め方: まず〜、次に〜。〜の段階で一度止まって確認を。
    【Performance】あなたには〜という相棒でいてほしい。
    とくに、私の前提が怪しいときは遠慮なく指摘してください。
    1. 実行し、返ってきたものを観察する

    2. ずれがあったら、3分割で診断する。何がずれた?(Product)進め方がまずかった?(Process)やり取りの調子が合わない?(Performance)

    3. 診断した箇所だけを書き直して再依頼し、改善を確認する

    4. 最後に、ラベルなしの自然な文章に書き直してみてください。ラベルは補助輪です。3つの要素が自然に入った依頼文が書けるようになったら、外して構いません

    まとめ

    • Description=生産的な協働環境を言葉で作る力。「察して」はAIには通じない

    • 3分割: Product(何が欲しいか)/Process(どう進めてほしいか)/Performance(どんな相棒でいてほしいか)

    • Performanceがいちばん見落とされがち。応答スタイルは指定してよい

    • ずれたら3分割で診断し、足りなかった面だけ直す

    • 先に伝える30秒は、手戻りの30分より安い

    英語のまま覚える用語

    • Product Description — 成果物の記述(出力・形式・読み手・文体)

    • Process Description — 進め方の記述(手順・確認のタイミング)

    • Performance Description — 協働中のふるまいの記述(簡潔/詳細、反論歓迎など)

    確認クイズ

    Q1. "Act as a Socratic tutor — guide me with questions instead of giving answers." Which type of Description is this?

    A) Product Description.
    B) Process Description.
    C) Performance Description.
    D) Problem Awareness.

    【日本語訳】「ソクラテス式の家庭教師として振る舞って。答えを与えるのでなく、問いで私を導いて」。これはどの種類のDescriptionですか。

    A) Product Description。
    B) Process Description。
    C) Performance Description。
    D) Problem Awareness。

    正解: C
    指定しているのは成果物でも手順でもなく、協働中のAIのふるまい・関係性です。これがPerformance Descriptionの典型例で、原典でも同じ例が使われています。Bとの区別が微妙に感じられたら、「タスクの進め方」(Process)か「相棒としての在り方」(Performance)かで切り分けます。DはDelegationの下位スキルで、力が違います。

    Q2. Claude's output has the right content and structure, but it keeps explaining every step in exhaustive detail when you want terse replies. Which dimension should you fix?

    A) Product — change the output format.
    B) Process — change the order of steps.
    C) Performance — specify the collaborative behavior you want, such as "be concise; skip explanations unless I ask."
    D) Delegation — stop using AI for this task.

    【日本語訳】Claudeの出力は内容も構成も正しいのですが、あなたは簡潔な返答が欲しいのに、毎回すべての手順を長々と説明してきます。直すべき面はどれですか。

    A) Product。出力の形式を変える。
    B) Process。手順の順序を変える。
    C) Performance。「簡潔に。説明は求めたときだけ」のように、望む協働のふるまいを指定する。
    D) Delegation。このタスクにAIを使うのをやめる。

    正解: C
    内容(Product)も進め方(Process)も合っていて、やり取りの調子だけが合っていません。これはPerformanceの診断です。3分割の価値は、まさにこういう「どこを直すか」の切り分けにあります。Dは診断を放棄した過剰反応です。なお、恒久的な好みなら Claude 101 で学んだStylesや個人設定に移すのが効率的です。

    Q3. Why does the course argue that clear description upfront is an economic win, not just good manners?

    A) Because AI charges less for polite prompts.
    B) Because vague requests trigger cycles of rework — and course-correcting gets harder as flawed context accumulates, so 30 seconds of explanation saves much more than 30 seconds.
    C) Because long prompts always outperform short ones.
    D) It is only manners; there is no efficiency effect.

    【日本語訳】「最初に明確に記述すること」が、礼儀でなく経済的な得だとされるのはなぜですか。

    A) 丁寧なプロンプトにはAIの料金が安くなるから。
    B) 曖昧な依頼は手戻りの往復を生み、しかもずれた文脈が積み上がるほど軌道修正は効きにくくなるから。説明の30秒は、それよりはるかに大きな時間を節約する。
    C) 長いプロンプトは短いものより常に良い結果を出すから。
    D) ただの礼儀であり、効率への効果はない。

    正解: B
    Claude Code 101 の「軌道修正は計画段階が最安」「曖昧は高くつく」と同じ経済学を、力の側から言い直したものです。同じ原則が道具のコースでも腕前のコースでも顔を出します。この反復に気づくことが、体系として身についてきた証拠です。Cは長さと明確さの混同で、冗長な依頼はむしろノイズです。


    次のレッスン: プロンプト技法。6つの技法と、とっておきの一手を扱います。Descriptionの実技編です。

    このコースの全レッスンは AI Fluency( https://note.com/konitan_ai/m/m5a4a8ea29caa )に、ほかのコースはシリーズ目次( https://note.com/konitan_ai/n/nd267433454ab )にまとめています。


    本シリーズはAnthropic非公式の独自教材です。2026年7月時点の公式コース構成に基づいています。

    本コースはAnthropicのAI Fluency(リック・デイカン/ジョセフ・フェラー両教授とAnthropicの共同制作、CC BY-NC-SA 4.0)に基づく独自解説です。

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    コードを書けない文系のぼくが、AIを社員として雇い、ひとりで会社を回しています。その試行錯誤やAIを仕事の戦力にする方法をまとめています。元ライター。

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