
Claude Code 101⑥ | context管理
このレッスンを終えると、次の4つができるようになります。
contextが何で埋まっていくのかを説明できる
/compact・/clear・/context の3コマンドを使い分けられる
「同じ機能の続きは /compact、新しい機能は /clear」の原則で判断できる
contextを節約する3つの習慣を実践できる
所要時間の目安は15分です。
contextを埋めるもの
contextはClaudeの作業記憶です。ここに載るのは、あなたのプロンプトだけではありません。Claudeが読んだファイルの中身、実行したコマンドとその出力、tool callの結果まで、すべてが同じ机の上に積まれていきます。
長いセッションでは、この机は確実に埋まります。上限が近づくと、レッスン2で学んだ自動 compaction が走り、重要な内容を要約しながら不要なtool callの結果を捨てて空きを作ります。便利な仕組みですが、要約された分だけ細部は落ちます。自動に任せきりにせず、自分でも記憶を整える手段を持っておきます。
3つのコマンド
/compact: その時点までの内容を手動で要約圧縮します。これまでの経緯の記憶は保ちたいが、空きも作りたいときに使います。
/clear: 空のcontextで新しい会話を始めます。いまの会話の内容は引き継がれません(前の会話は `/resume` で呼び戻せます)。
/context: いまのcontextの健康診断です。使用量と、どのカテゴリがどれだけ占めているかの内訳が出ます。「最近、答えの精度が落ちてきた」と感じたら、まず/contextで机の上を見直すのがおすすめです。
使い分けの原則: 続きか新規か
/compactと/clearの使い分けは、一つの問いに集約されます。いまから始める仕事は、直前までの仕事の続きか。
続きなら /compact。同じ機能の作業中に上限が近づいたケースです。文脈のつながりが大事なので、要約して保ちながら空けます
新規なら /clear。次の機能に移るときは、まっさらが適切です。理由は容量だけではありません。前の会話の内容は、新しい仕事に思い込み(バイアス)を持ち込みます。前の機能の設計判断が、無関係な次の機能の判断に混ざることがあります。それを避けるための仕切り直しです
セッションをまたいで残したい知識もあります。その受け皿が CLAUDE.md です。会話をリセットしても、CLAUDE.mdに書いたことは毎セッション読み込まれます。短期の文脈は会話に、恒久の知識はCLAUDE.mdに置く。/clear が切るのは現在の会話の文脈だけです。
contextを節約する3つの習慣
習慣1: 具体的な依頼
曖昧で短いプロンプトは、かえって高くつきます。指示が曖昧なほどClaudeはコードベースを広く探索し、推測を重ね、その探索の履歴がすべてcontextに積まれます。最初から具体的なプロンプトのほうが、全体でははるかに軽くすみます。軽さを決めるのは指示の短さではなく具体性です。「短い指示=軽い」ではなく「曖昧な指示=あとで重い」と考えるほうが実態に合います。
習慣2: 不要なMCPサーバーの停止
MCPサーバー(第1章レッスン8で学んだconnectorの土台)は、接続しているだけで全ツールの定義がcontextに載ります。使っていなくても載るので、いまのプロジェクトに関係ないサーバーはオフにしておくのがおすすめです。似た働きをする Skills は、必要になるまで中身を読み込まない方式で、context効率の面では有利です。
習慣3: subagentへの委任
「認証のエンドポイントはどこにある?」のような答えだけ欲しい調査は、subagentに任せます。subagentは完全に別のcontext windowを持って並行して動くので、探索の長い道のりは向こうの記憶で完結し、メインの机には短い要約だけが戻ります。本題の文脈を保ったまま、調べものだけを外に出せます(subagentの作り方はレッスン9で扱います)。
演習
15分の実習です。
しばらく作業したClaude Codeのセッションで /context を実行し、内訳を眺める。何が一番多く占めているか、予想と合っていたかを確認してください
/compact を実行し、もう一度 /context で差を見る。圧縮の効果を数字で確かめます
次に新しい仕事を始める場面が来たら、意識的に /clear してから始める。「前の会話を引きずらない」を1回実践する
自分の.mcp設定(またはconnector一覧)を見て、いまのプロジェクトで使っていないサーバーがないか点検する。あればオフにして、/context の変化を見る
最後に自問してください。「今日、私が打った一番曖昧なプロンプトはどれで、それはClaudeにどれだけの探索をさせたか」
まとめ
contextは、プロンプト・読んだファイル・コマンド出力・tool結果のすべてで埋まる。あふれる前に自動compactionが走るが、細部は失われうる
3コマンド: /compact(要約して続行)//clear(空のcontextで新規開始)//context(健康診断)
原則は「続きは/compact、新規は/clear」。/clearの狙いは容量でなくバイアスの持ち込み防止
セッションをまたぐ知識はCLAUDE.mdへ。/clearは現在の会話の文脈を切るだけ(前の会話は/resumeで戻せる)
節約3習慣: 曖昧に頼まない(曖昧は高くつく)/使わないMCPサーバーを切る/答えだけ欲しい調査はsubagentへ
英語のまま覚える用語
/compact — 手動で要約圧縮。経緯を保ちつつ空ける
/clear — 空のcontextで新規会話を開始(前の会話は/resumeで復旧可)
/context — context使用量と内訳の表示
MCPサーバー — 接続だけで全ツール定義がcontextに載る点に注意
subagent — 別のcontext windowで動く子エージェント。要約だけが戻る
確認クイズ
Q1. You finished feature A and are about to start unrelated feature B in the same session. What does the course recommend, and why?
A) /compact — to keep a summary of feature A's decisions for feature B.
B) /clear — because carrying the previous conversation introduces bias into unrelated new work; anything worth keeping across sessions belongs in CLAUDE.md.
C) /context — it automatically prepares the session for new work.
D) Nothing — more history always helps.
【日本語訳】機能Aを終え、同じセッションで無関係な機能Bに取りかかろうとしています。コースの推奨と、その理由はどれですか。
A) /compact。機能Aの判断の要約を機能Bに引き継ぐため。
B) /clear。前の会話を持ち込むと無関係な新作業にバイアスが混ざるから。セッションをまたいで残す価値があるものは、会話でなくCLAUDE.mdに置く。
C) /context。実行すると自動でセッションが新作業向けに準備される。
D) 何もしない。履歴は多いほど常に役立つ。
正解: B
新規作業の前は会話のリセットが原則で、狙いは容量よりバイアス防止です。Aは「同じ作業の続き」のときの選択で、無関係な機能への引き継ぎはむしろ害になります。Cの/contextは内訳を表示するだけのコマンドです。Dは「context=多いほど良い」という誤解で、このコースが一貫して否定してきた発想です。
Q2. Why can a vague, short prompt end up consuming more context than a detailed one?
A) Short prompts are automatically expanded into long ones.
B) Vague instructions force Claude to explore the codebase widely and reason on its own, and all of that exploration accumulates in context.
C) The context window charges a penalty for short messages.
D) It cannot — shorter is always cheaper.
【日本語訳】曖昧で短いプロンプトのほうが、詳細なプロンプトよりcontextを多く消費してしまうことがあるのはなぜですか。
A) 短いプロンプトは自動的に長い文章へ展開されるから。
B) 曖昧な指示はClaudeに広い探索と自前の推測を強いることになり、その探索の履歴がすべてcontextに積み上がるから。
C) context windowには短いメッセージへのペナルティ料金があるから。
D) そんなことは起きない。短いほうが常に安い。
正解: B
支払うのはプロンプトの長さではなく、そのプロンプトが引き起こす探索の総量です。曖昧さは探索を増やし、探索はcontextを消費します。だから「具体的に書く」ことは、品質の話であると同時に、節約にもなります。A・Cのような仕組みはなく、Dは因果を見落としています。
Q3. Your main session's context keeps filling up with long search results whenever you ask "where is X implemented?" What practice does the course recommend?
A) Ask shorter questions so the results are shorter.
B) Delegate such lookups to a subagent, which explores in its own separate context window and returns only a summary.
C) Disable file reading permanently.
D) Run /clear after every single question.
【日本語訳】「Xはどこに実装されている?」と聞くたびに、長い検索結果でメインセッションのcontextが埋まっていきます。コースが勧めるやり方はどれですか。
A) 結果が短くなるように、質問を短くする。
B) その種の調べものはsubagentに任せる。subagentは自分専用のcontext windowで探索し、要約だけを返してくる。
C) ファイル読み取りを恒久的に無効化する。
D) 質問のたびに/clearを実行する。
正解: B
「答えだけ欲しい調査」はsubagentの典型的な使いどころです。探索の道のりは向こうの記憶に収まり、こちらには結論だけが届きます。Aは質問の長さと結果の長さを混同しています。Cは道具を壊す対処で、Dは経緯の記憶まで毎回捨てる過剰反応です。
次のレッスン: gitまわりの時短3点。レビュアー役subagentの作り方、コミットからPR作成までの一括依頼、そして --from-pr でのセッション再開を扱います。
contextを守る手はもうひとつあります。探索や調査をsubagentに任せ、要約だけを受け取る分業です。専用コース Intro to Subagents(有料・全4レッスン)で、走りすぎないsubagentの設計から、委任すべきかを1行で見分ける決定則までを扱っています。
本シリーズはAnthropic非公式の独自教材です。2026年7月時点の公式コース構成に基づいています。