
AI Fluency⑥ | プロンプト技法
このレッスンを終えると、次の3つができるようになります。
1. 基礎のプロンプト技法6つを、使う場面と一緒に説明できる
2. 応答がずれたときのトラブルシュートができる
3. secret weapon(AI自身にプロンプトを磨かせる技)を使える
所要時間の目安は15分です。
原典動画(英語・無料/Anthropic, CC BY-NC-SA 4.0)
プロンプトの精度を上げる技法をまとめて扱うDeep Diveです。
Lesson 7: Effective prompting techniques
https://www.youtube.com/watch?v=2YCaBqP8muw
prompt engineeringの正体
仰々しい名前がついていますが、正体はこうです。prompt engineeringとは、AIシステムに対する効果的な指示の設計のことです。人間同士の明確なコミュニケーションの原則に、AI特有の考慮を少し足したものにすぎません。魔法の呪文集ではなく、前レッスンのDescriptionを実技に落とした道具箱です。
基礎技法6つ
1. 文脈を与える(Give context)
何が欲しいかだけでなく、なぜ欲しいか、背景は何かまで具体的に。「販促メールを書いて」より「既存顧客向けの更新案内。前回の値上げで解約が増えたので、押しつけがましさを避けたい」。理由を知ったAIは、指示の行間を正しく埋められます。
2. 例を見せる(Show examples)
欲しい出力の実物を見せる。文体の見本、フォーマットの見本、良かった過去の成果物。言葉で説明しにくい「うちらしさ」は、例がいちばん正確に運びます。
3. 制約を明示する(Specify constraints)
形式・長さ・その他の要件をはっきりと。「A4で1枚」「箇条書き禁止」「専門用語には説明を付ける」。制約は創造性を損なうものではなく、探索範囲を絞って精度を上げる道具です。
4. 複雑な仕事は手順に分割する(Break complex tasks into steps)
多段の仕事は、段階を明示して導く。「まず論点を列挙→私が選ぶ→選んだ論点だけ深掘り」。一度に全部を頼むより、確認点を挟むほうが、ずれの早期発見にもなります。
5. まず考えさせる(Ask the AI to think first)
結論の前に、検討の過程を求める。「答える前に、選択肢を比較検討してから結論を」。Claude Platform 101 で学んだextended thinkingは、この技法の機械化でした。API機能がなくても、頼み方だけで近い効果が得られます。
6. 役割・口調を定義する(Define the AI's role or tone)
「経験豊富な編集者として」「初心者に教える先生として」。前レッスンのPerformance Descriptionの実技です。
secret weapon: プロンプトをAIに磨かせる技
原典が「secret weapon」と呼ぶ方法をひとつ紹介します。うまく頼めないときは、頼み方自体をAIに相談します。
これからあなたに頼みたいことがあるのですが、まず頼み方を良くしたいです。
下の依頼文を読んで、(1) 曖昧な箇所、(2) 足りない情報、(3) 改善版の依頼文
を出してください。
依頼文: [あなたの下書き]Claude 101 のResearch(依頼文を先に磨かせる)でも使った技の一般形です。プロンプトの上達がAI自身との協働でできる、という再帰的な事実は、覚えておくと長く役立ちます。
うまくいかないときの型
成功するプロンプトには共通パターンがあります。明確なタスクの全体像、形式の指定、明示的な制約、関連する背景情報です。逆に、応答がずれたときの直し方も、型として持っておくと役立ちます。
ずれの種類を診断する(前レッスンの3分割: Product / Process / Performance)
6技法のどれが欠けていたかを確認する(文脈?例?制約?)
そして反復を前提にする。1回で完璧を狙わず、出力を見て磨く。ときにはAIと一緒に磨く
演習
20分の実習です。
自分のプロジェクトの依頼文の中から、前レッスンで書いたものをひとつ選ぶ
6技法のチェックリストで自己採点する(文脈/例/制約/分割/考えさせる/役割。各1点で6点満点)
3点以下だったら、足りない技法を2つ足して書き直す
secret weaponを使う: 書き直した依頼文をClaudeに見せて、上の相談テンプレートで改善案を出させる。自分の改善とAIの改善を見比べる
仕上げに「劣化テスト」をひとつ。完成した依頼文からわざと文脈だけを削って実行し、出力がどう変わるかを見る。技法の効果は、外したときにいちばんよくわかります
まとめ
prompt engineering=効果的な指示の設計。呪文でなくコミュニケーション
6技法: 文脈を与える/例を見せる/制約を明示する/手順に分割する/まず考えさせる/役割を定義する
secret weapon: 頼み方そのものをAIに磨かせる
ずれたら、3分割で診断→欠けた技法を補う→反復を前提に磨く
英語のまま覚える用語
prompt engineering — AIへの効果的な指示の設計
Give context / Show examples / Specify constraints — 技法1〜3(文脈・例・制約)
Break into steps / Think first / Define role — 技法4〜6(分割・熟考・役割)
secret weapon — プロンプト改善をAI自身に手伝わせる技
確認クイズ
Q1. You cannot quite articulate the writing style you want, but you have three past documents you love. Which technique fits best?
A) Specify constraints — list rules about the style.
B) Show examples — provide the three documents as models of the desired output.
C) Define the AI's role.
D) Break the task into steps.
【日本語訳】欲しい文体をうまく言語化できませんが、気に入っている過去の文書が3つあります。もっとも適した技法はどれですか。
A) 制約の明示。文体のルールを列挙する。
B) 例を見せる。3つの文書を、望む出力の見本として渡す。
C) 役割の定義。
D) 手順への分割。
正解: B
言語化できない質感は、例がいちばん正確に運びます。Aは「言語化できない」という前提と矛盾します(ルール化できるならAも有効です)。見本の提供は、Claude 101 のProjectsの「見本にしてほしい過去の成果物を置く」、Claude Code 101 のCLAUDE.mdの発想ともつながる、一貫した技法です。
Q2. What is the "secret weapon" described in this lesson?
A) A hidden model that writes better prompts.
B) Asking the AI itself to critique and improve your prompt before you run it.
C) Typing the prompt in all capital letters.
D) Paying for a premium prompt library.
【日本語訳】このレッスンで紹介された「秘密兵器」とはどれですか。
A) より良いプロンプトを書いてくれる隠しモデル。
B) 実行する前に、プロンプト自体の批評と改善をAIに頼むこと。
C) プロンプトをすべて大文字で打つこと。
D) 有料のプロンプト集を購入すること。
正解: B
上達の道具が目の前のAI自身である、という再帰的な技です。とくに「何が曖昧か」「何が足りないか」を指摘させる形にすると、自分の依頼文の癖(毎回文脈が薄い、など)にも気づけます。A・C・Dのようなものはありません。
Q3. Your prompt asks Claude to "analyze the survey, identify segments, propose actions, and draft an email to leadership" all at once, and the result is shallow on every front. Which technique most directly addresses this?
A) Define the AI's role.
B) Break the complex task into steps, with checkpoints between analysis, segmentation, proposals, and drafting.
C) Show more examples.
D) Ask for a longer output.
【日本語訳】プロンプトで「アンケートを分析し、セグメントを特定し、施策を提案し、経営向けメールまで下書きして」と一度に頼んだところ、全部が浅い結果になりました。もっとも直接に効く技法はどれですか。
A) 役割の定義。
B) 複雑なタスクの手順への分割。分析→セグメント→提案→下書きの間に確認点を挟む。
C) 例をもっと見せる。
D) より長い出力を求める。
正解: B
4つの仕事を1回に詰めると、注意が分散して全部が浅くなります。段階に割り、各段階で確認を挟めば、深さも軌道修正の機会も手に入ります。Claude Platform 101 の「単純タスクにthinkingは無駄」と対になる話で、複雑なタスクには構造を与えるのが正解です。Dは浅さを長さで薄めるだけです。
次のレッスン: Discernment、そしてDescription-Discernmentループ。見極めの3分割と、このコースの中心にある「往復」を、自分のプロジェクトで実際に回します。
このコースの全レッスンは AI Fluency( https://note.com/konitan_ai/m/m5a4a8ea29caa )に、ほかのコースはシリーズ目次( https://note.com/konitan_ai/n/nd267433454ab )にまとめています。
本シリーズはAnthropic非公式の独自教材です。2026年7月時点の公式コース構成に基づいています。
本コースはAnthropicのAI Fluency(リック・デイカン/ジョセフ・フェラー両教授とAnthropicの共同制作、CC BY-NC-SA 4.0)に基づく独自解説です。
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