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Photo byrun_rumiko

日記|「ありがとう」を飴玉にしたい



    今日はひとつ、「ありがとう」をもらった。


    手渡されたわけでも、紙に書いてあったわけでもない。
    ただ、まっすぐな声で言われただけの、短い言葉。

    それなのに、胸のあたりに、やわらかくてあたたかいものが、じんわりと留まっている。
    その場所だけ、ほんの少しくすぐったい。


    こういう「ありがとう」は、時間が経つと輪郭がぼやけてしまう。
    声の温度も、表情も、少しずつ思い出のほうへ引いていく。


    だから思う。
    人からもらったばかりの「ありがとう」を、飴玉にできたらいいのに。


    透明で、ほのかにあたたかい飴玉。
    ポケットの奥にしまっておける、小さなひと粒。


    辛くなったとき。
    うまく呼吸ができなくなる夜。
    自分なんて、と心が沈みこんで、どこまでも落ちていきたくなるとき。

    そんなときに、そっと口に含む。

    すぐに気持ちが変わるわけじゃないかもしれない。
    でも、ゆっくり溶けていくあいだ、
    「わたし」に向けられた言葉が、確かにあったことを思い出せる。


    甘すぎなくていい。
    強い味じゃなくていい。

    胸の奥に留まっていた、あのやわらかなぬくもりを、
    もう一度、舌の上でたしかめられたら、それでいい。


    そうすれば、ほんの少しだけ、顔を上げられる気がする。





     
     
     
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