
『死ぬなら、その身体をくれ。』エピローグ
白と灰色だけで構成された、防衛庁特殊管理局。
薄暗い司令室。
巨大なモニターには、日本各地の地図と、無数の識別番号が静かに明滅していた。
九条律は、一人の人物の前で静かに頭を下げる。
「六丸商事の件は聞いたよ。」
穏やかな声が部屋に響く。
「白石理人の容疑が取り消されたそうだね。」
「……はい。」
「計画に支障は出るかい?」
九条は一瞬だけ沈黙し、静かに答えた。
「問題ありません。」
「計画は予定どおり進行できます。」
「そう。」
それだけ言うと、相手は興味を失ったようにモニターへ視線を戻した。
画面には、複数の顔写真。
その横には、冷たい文字が並んでいる。
>HOLDER 候補者
>監察中
>優先監視対象
新たな一枚の写真が表示される。
白石理人。
その名前を九条は静かに見つめる。
「……面白くなってきたね。」
モニターが切り替わる。
全国各地に散らばる、新たな標的。
──Holder狩りは、まだ終わらない。