
寓話👻見えない何かにすがる
私、個体識別番号を持たない幽霊でございます。特に呪いや恨みはございません。
それよりも聞いてください。
私が生きていたある日、虹の下にもう一つ虹が見える現象に出くわしました。ダブルレイボーです。
これはきっときっといいことが起こる!
大した才能も実力もない私は、そんな力強い兆しにすがりたくなったのです。
もう人生が終わった今、答え合わせをすると、特にいいことは何も起こりませんでした。
そう言えば流れ星や、彩雲を見た時もそうでした。
でも、ダブルレイボーも流れ星も、どんなだったかはあまり覚えていないのです。きっとこの世の神秘だと感じるぐらい美しかったのでしょうね。今となっては、それを“見る”ことすら叶いません。見たという記憶が、もう夢のようです。
後悔すべきは一つだけ。いつも未来を見て先を願うだけで、その瞬間を目に焼き付けていなかったのです。
