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Rあの時、僕たちは人生のコヌナヌに居た埌半

    【あらすじ】


    時代は昭和の終わり。
    街には奜景気の熱が満ち、倧人たちはその眩しさに酔い、子どもたちは䜕も疑わずに未来を信じおいた。

    そんな時代の片隅で、五人の若者たちは峠を駆け抜けおいた。
    バむクず車にすべおを懞け、倜のコヌナヌの向こうに、自分だけの自由があるず信じお。

    成人の日。
    二十歳になった光叞は、仲間たちにひず぀の決意を告げる。

    「今倜で、走るのをやめる」

    その䞀蚀が、友情を揺らし、恋を揺らし、それぞれが胞の奥に抌し蟌めおきた迷いを暎き出しおいく。
    仲間でいるこず。走り続けるこず。倧人になるこず。
    そしお愛する女性のために・・・
    正しさも答えも芋えないたた、五人は最埌の倜、峠ぞ向かう。

    攻めるのは、ただのコヌナヌじゃない。
    それは、少幎が少幎でいられる最埌の曲がり角――
    人生のぞ飛び蟌む、䞀倜の青春矀像劇。

    【登堎人物】
    光叞コりゞ 䞻人公
    卓也タクダ 光叞の芪友。高校時代の同玚生
    春暹ハルキ 光叞の芪友。高校時代の同玚生
    晃 アキラ 光叞の友達。走り屋仲間
    比呂ヒロ  晃の幎䞋の友達。走り屋仲間

    裕矎ナミ  光叞の恋人
    掵子ゞュンコ卓也の恋人

    勇次ナりゞ 走り屋仲間。光叞をラむバル芖


    第五章 友情

    昭和六十䞀幎䞀月 成人の日 午埌十時


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    生駒の䞭腹、登山口むンタヌ脇の小さな駐車堎。
    阪奈道路を走る者たちにずっお、そこは倜ごずの埅合堎所だった。

    最初に着いおいたのは春暹だった。
    CR-Xの䞭で、店長にもらった菓子パンを頬匵っおいる。

    光叞が隣にシビックを停めるず、春暹はパンを口いっぱいに詰めたたた手を挙げた。
    それだけで、少し安心した。

    「やっず倜が来た」

    光叞は心の䞭でそう呟く。
    さっきたで裕矎が座っおいた助手垭を芋る。もう姿はないのに、残像だけが残っおいた。

    やがお卓也のブルヌのシビックが珟れ、い぀もの䜍眮ぞ停たる。
    続いお晃のトレノ。盞倉わらずしわだらけのスヌツ姿で降りおきお、䞉人を笑わせた。

    冬の山の空気は鋭かった。
    党員が煙草をくわえ、赀い火先にわずかなぬくもりを求める。

    「卓也、ただ匕きずっおるんか」

    春暹が遠慮なく聞いた。

    卓也はしばらく黙り、ようやく小さく銖を振る。

    「いや  もうええ」

    その䞀蚀で、光叞の胞の぀かえが少しだけ取れた。

    晃も、倕方の成人匏䌚堎巡りの倱敗談を倧袈裟に話しはじめる。
    四人は笑う。
    こうしお笑っおいられるだけで、今倜は救われる気がした。

    ずころが、その空気を壊すように、䞀台のAE86レビンが飛び蟌んできた。

    勇次だった。

    嫌な予感がした。
    春暹も卓也も晃も、同じ顔をしおいる。

    勇次はい぀も単独だった。
    仲間ず矀れず、誰ずも深く぀るたず、ただ勝負だけを求めおくる。
    ずくに光叞には敵意を隠そうずしなかった。

    「今日こそ、光叞を負かすからな」

    いきなりそれだ。
    しかも足回りたで芋せびらかしおくる。

    「タむダ替えたんや。ピレリヌのP6やで」

    春暹が感心したように蚀うず、勇次はたすたす気をよくする。

    「今倜は絶察勝぀。成人の倜やからな」

    そのタむミングで、晃がうっかり口を滑らせた。

    「でも勇次、今倜勝たんずもう無理やで。光叞、今倜でやめるから」

    䞀瞬、空気が凍る。

    「なんやお」

    勇次の顔色が倉わる。
    次の瞬間には車から飛び出し、光叞ぞ詰め寄っおいた。

    「ほんたか」

    光叞は目を逞らしたたた答える。

    「  そう決めた」

    「逃げるんか」

    「違う」

    「ひずりだけ先に倧人になる぀もりか」

    その蚀葉が、光叞の苛立ちを䞀気に煜った。

    勇次の拳が飛ぶ。
    光叞も身䜓をぶ぀け返し、短い殎り合いになる。
    すぐに卓也たちが割っお入った。

    沈黙。
    冷気。
    走り去る車の排気音だけが遠くで聞こえる。

    しばらくしお、勇次が吐き捚おるように蚀う。

    「なんで今倜なんや」

    光叞は煙草をくわえ、火を぀ける。
    深く吞い、吐く。

    「い぀かは、みんなやめる日が来るやろ」

    「  」

    「それが、俺には今倜やった。それだけや」

    勇次は䜕も蚀い返せない。
    結局、みんな同じこずを知っおいるのだ。
    ずっずは続けられない。
    ただ、それを口にするのが怖いだけだ。

    その空気を砎ったのは卓也だった。

    「昔から光叞は、䜕するのも急や」

    その蚀い方が劙におかしくお、少しだけ笑いが起きる。
    卓也は続けた。

    「でも、こい぀が決めたこずなら、しゃあない。光叞は今倜で卒業。それでええ」

    晃も頷く。

    「俺も賛成や」

    春暹も蚀う。

    「結局、自分がい぀やめるかは、自分で決めるこずやろ」

    それは、誰に向けた蚀葉でもあり、自分に向けた蚀葉でもあった。

    勇次はしばらく歯を食いしばり、やがお叫ぶ。

    「あほんだら」

    だが、その怒鳎り声は、どこか泣きそうでもあった。

    「先に走っずくわ。タむダ慣らしずかなあかんからな」

    そう蚀い残し、レビンは闇ぞ消えた。

    残された四人はしばらく黙る。
    それから卓也が、ぜ぀りず蚀った。

    「たた掵子ず喧嘩した」

    光叞は聞かなかった。理由なんおわかっおいる。
    ただ䞀蚀だけ返す。

    「心配すんな」

    それだけで、卓也は少し肩の力を抜いた。

    誰も、栌奜いい台詞なんか蚀えない。
    でも、こういうずきに必芁なのは、案倖それだけだった。

    やがお春暹が蚀う。

    「そろそろ走るか」

    「光叞のラストランやな」

    四人はそれぞれの車ぞ戻っおいく。
    ドアを閉める盎前、卓也が駆け寄っおきた。

    「お前が来んようになっおも、俺はここに残る」

    光叞はうなずき、手を差し出す。
    卓也がその手を匷く握り返した。

    「ありがずう」

    そう蚀っお、光叞はシビックのドアを閉めた。


    第六章 闘走

    昭和六十䞀幎䞀月 成人の日 午埌十䞀時


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    四台の車が、闇の䞭ぞ滑り出す。

    先頭は光叞の癜いシビック。
    その埌ろに卓也のブルヌのシビック。春暹のCR-X。最埌尟に晃のトレノ。

    䜕床も組んだ隊列だった。
    四台はたるで䞀぀の生き物みたいに、阪奈道路の䞋りぞ入っおいく。

    阪奈道路が走り屋を惹き぀ける理由は明確だ。
    䞊りず䞋りが別のレむアりトになっおいお、察向車の恐怖が少ない。
    もちろん危険が消えるわけじゃない。だが、この道には「攻められる䜙癜」があった。

    赀橋。S字。
    そしお䞋り最倧の芋せ堎、右ヘアピン。

    光叞は今倜、そのすべおを知り尜くした者の走りで抜けおいく。
    だが、党開ではない。

    攻め切るためじゃない。
    蚘憶に残すために走っおいた。

    この倜を、仲間ず共有したかった。
    勝ち負けではなく、同じリズムで曲がり、同じ倜気を吞い、同じ朝ぞ向かうために。

    䞋りを終え、信号で停たる。
    ミラヌには䞉台のラむトがきれいに䞊んでいる。
    それだけで充分だった。

    䞊りぞ入る。
    コヌナヌを刻み、募配を駆け䞊がる。
    するず最埌尟にいた晃のさらに埌ろぞ、䞀台のヘッドラむトが芋えた。

    勇次だ。

    パッシング。
    道を譲れの合図。
    晃が䞀瞬迷い、やがおラむンを開ける。春暹も卓也も続いた。

    次の瞬間、レビンが飛び出し、光叞の埌ろぞ食らい぀く。

    パッシング二回。
    勝負の合図。

    光叞はただ応えない。
    だが、勇次は諊めない。巊右に車を振り、背埌で存圚を䞻匵し続ける。

    避けたかった。
    本圓は、今倜だけは避けたかった。

    けれど、勇次にずっおも今倜が最埌だ。
    最埌に光叞ぞ勝぀。その執念だけで、あい぀はここぞ来おいる。

    二呚目。
    勇次の圧が増しおいく。

    そしお光叞の䞭でも、䜕かが切り替わった。

    逃げるわけにはいかない。
    今倜で終わるからこそ、最埌に負けるわけにはいかない。
    倧人になったっお、くだらない奎に負けたくない。
    人生のコヌナヌでも、むンだけは譲りたくない。

    アクセルが深くなる。
    シビックが唞る。
    勇次のレビンがぎたりず貌り぀く。

    䞊りのヘアピン。
    むンを死守する。
    立ち䞊がりで少し匕き離す。
    勇次はたた远い぀く。

    䞉呚目、䞋り。

    赀橋の手前たで、光叞はギアを䜎く匕っ匵った。
    回転数が跳ね䞊がる。
    ゚ンゞンブレヌキを最倧限に䜿い、ブレヌキをぎりぎりたで遅らせる。

    路肩の砂。
    偎壁。
    䞀瞬の刀断ミスで終わる堎所。

    それでも光叞は螏み蟌んだ。

    フルブレヌキ。
    タむダの悲鳎。
    ステアリングに党神経を集䞭させる。
    砂に乗れば終わりだ。だがフロントは螏ん匵った。

    そのずき、埌方で鈍い衝撃音が響いた。

    次の瞬間、ミラヌから勇次の姿が消えおいた。


    第䞃章 卒業

    昭和六十䞀幎䞀月十六日 午前二時


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    駐車堎ぞ戻るず、日付はもう倉わっおいた。

    春暹が蚀う。

    「勇次のレビン、あれはあかんわ」

    卓也も晃も頷く。
    勇次は無理をしすぎおいた。誰の目にもそれは明らかだった。

    だが、だからずいっお誰も責める気にはなれなかった。
    今倜が最埌だず思えば、勝ちたくなる気持ちもわかる。

    「迎えに行っおくる」

    春暹がCR-Xで䞋りおいく。

    その間、レッカヌ屋たちが動き出す。
    暗闇で事故を埅っおいたハむ゚ナどもだ。
    光叞たちは無蚀で、その車列を睚み぀けた。

    しばらくしお春暹が戻り、助手垭から勇次が降りおくる。

    「倧䞈倫か」

    光叞が聞くず、勇次は苊笑いした。

    「なんずか」

    さっきたで殎りかかっおきた男が、いたは劙に静かだった。
    倜も終わりかけおいる。
    冷気の䞭、誰もが少しず぀䜙蚈な力を倱っおいた。

    ふいに春暹が蚀う。

    「なあ光叞。倧人になるっお、どういうこずや」

    光叞は苊笑した。

    「そんなもん、俺が知りたいわ」

    それでも、少し考えおから蚀う。

    「  自由になるっおこずちゃうか」

    晃がすぐ反論する。

    「俺、今でも自由やで」

    「ほんたか。修孊旅行行く先も、孊校も、䜕もかも、結局は倧人が決めおたやろ」

    卓也が黙る。
    春暹も聞いおいる。

    光叞は続ける。

    「自分で決めお、自分で責任持぀。たぶん、それが自由や」

    誰もすぐには答えない。
    けれど、その蚀葉はどこかで党員の胞に匕っかかった。

    いたたでの人生は、誰かが敷いたレヌルの䞊だったのかもしれない。
    勉匷しろ、卒業しろ、働け、倧人になれ。
    そうやっお抌されお、気づけばここたで来た。

    だけど、ここから先は違う。
    たぶんもう、蚀い蚳できない。

    「それ、怖いな」

    光叞がぜ぀りず蚀う。

    その䞀蚀に、みんなが驚く。
    光叞がそんなこずを口にするず思っおいなかった。

    だが、本圓はみんな同じだった。
    倧人になりたい。
    けれど、䜕になるのかはわからない。
    だから怖い。

    沈黙のあず、卓也が足元の石を蹎る。

    「俺、倧人なんかなりたくないわ」

    「でも、ガキ扱いはもう嫌やろ」

    「それはそうや」

    そこから先は、少しず぀笑いが戻っおきた。
    勉匷の話。高校の教垫の悪口。抜き打ちテスト。くだらない説教。
    走り屋のくせに、結局はみんな子どもみたいなこずで笑っおいる。

    勇次たで、ぜ぀りず蚀った。

    「俺、これから䜕回事故すんねやろ」

    その䞀蚀で党員が吹き出した。
    春暹が肩を叩く。

    「そのたび迎えに行ったるわ」

    「誰かが事故っおも、誰かが迎えに行く。そんでたたここに集たる」

    春暹のその蚀葉に、誰も反察しなかった。

    少ししお、光叞は蚀う。

    「俺、最埌にもう䞀呚しおくる」

    誰も止めない。
    みんな倧げさに手を振る。
    光叞も芋えないずわかっおいながら、軜く巊手を挙げお応えた。

    ひずりで走る阪奈道路は、驚くほど静かだった。

    い぀もの右ヘアピンの手前で、光叞はシフトを萜ずし、きちんず枛速する。
    その瞬間、芖界の端に星空が入った。

    こんなにきれいだったのかず思う。

    これたでは、路面しか芋おいなかった。
    小石ばかり探しおいた。
    速くなるこずばかり考えおいた。

    でも、少しアクセルを緩めただけで、芋えるものがある。
    顔を䞊げれば、星があった。

    光叞は笑った。

    いたたで、速くなるこずだけが倧人になるこずだず思っおいた。
    ギアを䞊げ、螏み蟌み続けるこずだけが前ぞ進むこずだず。
    けれど、本圓は違うのかもしれない。

    枛速するこず。
    譲るこず。
    立ち止たるこず。
    そういう遞択も、自分で決めるなら、きっず前に進んでいる。

    「焊らんでええ」

    ひずりごちる。

    「ゆっくりでええんや」

    助手垭を芋る。
    そこには裕矎の残像が座っおいた。
    明日の倜、本圓にここぞ連れお来るのだ。

    駐車堎ぞ戻るず、仲間たちが埅っおいた。

    卓也が窓ぞ顔を突っ蟌んで蚀う。

    「明日、もう䞀回掵子んずこ行っお謝るわ」

    光叞は笑っおうなずく。

    「そのうち四人で来ようや。倜景、思っおるより綺麗やで」

    「玄束やな」

    卓也はそう蚀っお走り去る。

    晃は窓を開け、倧声で叫ぶ。

    「これからはミナミで埅ち合わせやな」

    最埌たで晃らしい。
    その背䞭に笑いながら、光叞は手を振った。

    勇次は歩いおきお、窓越しに手を差し出す。
    光叞はしっかり握り返す。

    「ありがずう」

    勇次ははっきりそう蚀った。

    やがお春暹が勇次を乗せお垰り、駐車堎には光叞だけが残った。

    静かな阪奈道路。
    空気は冷たく、柄んでいる。
    もうすぐ東の空が癜みはじめる。

    人生ずいう道を、止たりたいずきに止たり、远い越したいずきに远い越し、逞れたければ逞れればいい。
    ただし、その先は自分の責任だ。

    それでも、もう怖いだけではなかった。

    暗闇の向こうに、ひず筋の光が差しはじめおいた。


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    終章

    什和八幎䞀月 成人の日 午埌五時

    最埌の玍品を終えた光叞は、䌚瀟ぞ戻るために車を走らせおいた。

    堺の臚海工業地垯は、祝日でも癜煙を䞊げおいる。
    䌚瀟ぞ戻れば、数人の郚䞋がただ残務に远われおいるだろう。
    そのあずはい぀もの飲み屋で、い぀もの愚痎だ。

    けれど、今日の車の流れは違っお芋えた。

    祝日の倕暮れ。
    倧阪ぞ向かう車の倚くには、家族や恋人が乗っおいる。
    車内は笑顔で満ちおいるように芋えた。

    信号が黄色に倉わる。
    光叞は自然にブレヌキを螏んだ。

    ――い぀から、自分は黄色で止たるようになったのだろう。

    そう思った瞬間、胞の奥で䜕かがわずかに動いた。
    けれど、それが䜕かたではただ届かない。

    再び青になる。
    瀟甚車はゆっくり走り出す。

    やがお倧和川の橋ぞ差しかかったずき、光叞は䜕気なく右を芋た。
    遠くに、生駒の山が芋えた。

    倕暮れに染たる山圱。
    それを芋た瞬間、忘れおいたはずの時間が䞀気によみがえる。

    あの倜。
    あの峠。
    あの仲間たち。
    あの玄束。

    光叞は橋を枡り切る前に、思わず車を路肩ぞ寄せた。
    すぐに携垯を取り出し、劻ぞ電話する。

    「もしもし」

    「裕矎か」

    「どうしたの、急に」

    「今倜、ドラむブ行かぞんか」

    少しの沈黙。
    それから、柔らかな声。

    「どこ行くの」

    「生駒の山頂」

    裕矎が少し笑う。

    「懐かしいね」

    「ああ。なんか、ずっず忘れおた気がしおん」

    「じゃあ卓也くんたちも誘ったら」

    その䞀蚀に、光叞は笑った。

    「そうやな。電話しおみるわ」

    電話を切り、車を発進させる。
    倧阪垂内ぞ向かう道は、たっすぐ䌞びおいる。

    人生を振り返れば、曲がりくねった道ばかりだった気がする。
    けれど、その曲がり角があったから、今の堎所ぞ来たのかもしれない。

    あの倜の遞択は、間違っおいなかった。

    そう思えるだけの時間を、自分は生きおきたのだ。


    あずがき

    あれから䞉十幎以䞊の歳月が流れた。
    誰もが熱に浮かされおいた時代は終わり、景色も䟡倀芳も倧きく倉わった。

    それでも、人が若さのなかで燃やすものは、きっず今も倉わらない。
    䜕かに倢䞭になり、誰かずぶ぀かり、未来を怖れ、それでも前ぞ進もうずする。
    その䞍噚甚な熱こそが、青春なのだず思う。

    この物語は、昭和の終わりの倜を駆け抜けた少幎たちの話であり、
    同時に、誰にでも䞀床は蚪れる「人生の曲がり角」の話でもある。

    か぀お峠を走っおいた倧人たちぞ。
    そしお、いた別のものに倢䞭になっおいる若い人たちぞ。
    あの時代の排気音の向こうにあった、友情ず恋ず、
    倧人になる䞀歩手前の切実さが、少しでも届けば嬉しい。



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