
花粉症が楽になった話
最近つながったフォロワーさんが話題に出していて、ふと思い出した。
そういえば私、花粉症なのである。
以前はけっこう重度な方だったと思う。
ひどい時期は鼻詰まりが深刻で、口を開けていないと呼吸ができない。
なのにどこからか落ちてくる鼻水は滝のように水っぽいから、
すすることすら不可能で、箱ティッシュをスマホ代わりに携帯していた。
呼吸ができないから睡眠も浅く、連日まともに眠れない。
朝起きると目ヤニががっちりこびりついて、目が開かなくなっている。
お湯で丁寧にまつ毛を洗い、目を開けるところから一日がスタートする。
その他にも、アレルギー反応のためか微熱。
鼻詰まりからくる頭痛、肩こり。
連日の睡眠不足による倦怠感……。
かくも苦痛にまみれた日々を、花粉シーズンが来るたび毎年送っていた。
来ると分かっていて、避けようのない地獄が来るのだ。
もはや拷問である。
そんな私がどうやって、マトモな日常を送れるまでになったか。
――舌下治療だ。
この治療で使われる薬は、普通の薬のように水と一緒に飲むのではない。
舌の下に挟みこみ、唾液で溶かしてゆっくりと飲み込むのだ。
ゆえに「舌下」治療と呼ばれている。
これを私が知ったのは、もう四年は前になる。
毎年恒例の花粉症シーズンの耳鼻科通い。
引っ越したばかりの土地で、適当に通いやすい場所にある病院を選んだ。
待合室においてあった冊子で、花粉症にも対処法だけでなく
治療法があることを知った。
とはいえその効果は100%保証されるものではなく、
ほとんどの人は効果が出ても、花粉症の症状自体は残る。
あくまで症状を軽くするための治療だという。
それすら万人に通用する治療ではなく、
何割かの患者には効果自体がさほど実感されない。
さらに、治療には365日、4年間の服薬が求められる。
旅行中も、体調不良の日も、できるかぎり同じ時刻の服薬を。
毎月の通院の労力だけでも相当なものだ。
治療にそれなりの費用と時間がかかり、効果は保証されない。
毎年の拷問により追い詰められていた私は、それでも良しと頷いた。
かくして4年間の通院生活が始まったのである。
途中、別の病気が発覚しての入院や通院時期などもあった。
けれどその間もせっせと通院と服薬を続けた。
さすがに手術から数日間の服薬はサボったけれど。
その治療が去年の末に祝4周年を迎えたのだ。
ほぼ毎月見ていたはずの先生は塩顔で、いまだに眼鏡以外の顔を思い出せない。不義理な患者だ。
訛りの残るアルトの声は、朗らかに私に告げた。
「もう毎月の通院はしなくてもいいですよ」
治療の効果は4年経った瞬間突然ではなく、緩やかに現れる。
だから1年を過ぎた頃には薄々気づいていたのだ。
この舌下治療は、私にも効果がある。
最終的に、花粉症の症状は、完全にはなくならなかった。
今でも軽いアレルギーがある人と同じ生活をしている。
シーズンになったら通院をして、アレルギーの薬を貰う。
ちなみになぜか、治療が終わった今になって、
初回に検査をした際の結果をプリントした紙がもらえた。
ハウスダスト、犬アレルギー、ヒノキ、シラカバ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ……。
アレルギービンゴ大会があったら景品を持って帰れる側だと思う。
あわよくば温泉旅行とか当たらないかな。
中でも赤で印字された「スギ クラス5」の文字。
先生! こいつが犯人です!
残念なことに舌下治療はスギに対してしか存在しないらしいから
その他の花粉症はまだ私の中に普通に残っている。
それでも、過日の地獄に比べると、今は天国のようだ。
もし本当に花粉症で困っている方がいたら、対処療法だけでなく
治療を検討してみるという選択肢もあることをお伝えしたい。