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【まだ答えが見つからない人】選べないまま進む夜 ― 26歳、動き出す前の電話

    【まだ答えが見つからない人】選べないまま進む夜 ― 26歳、動き出す前の電話

     

    立ち止まっていても、何も変わらないことはわかっている。
    だから、少しだけ動いてみることにした。

    まず、先輩に聞いてみた。
    鉱山開発部門への異動は、どうしても一、二年後になってしまうのか。

    答えは、やはり変わらなかった。
    どうしてもそのくらいはかかるだろう、ということだった。

    今どき、国家プロジェクトといっても大げさではない規模の案件は多くない。
    希望者はそれなりに多く、プロジェクトが立ち上がりそうなタイミングを見ながら、人を補充していく。
    だから、今すぐにという話にはならない。

    頭では納得できる説明だった。
    けれど、どこかで期待していた自分もいたのだと思う。

    次に、母に父の状況を聞いてみた。

    父は、もともと糖尿病を抱えている。
    その状態があまり良くなく、体力的にかなりきついらしい。

    これまで醸造のほうは杜氏任せだったが、そのチーフ杜氏が引退した。
    その分、父が関わらざるを得ない場面が増えている。

    営業と両方をこなすのは正直しんどい。
    だから、早く帰ってきて営業だけでも肩代わりしてほしい。
    醸造のほうも、時間はかかっていいから補助として関わってほしい。

    そんな話だった。

    余計なことかもしれないと思いながら、上司にも話してみた。
    山形の東京事務所長という打診が来ていることを。

    上司は少し考えてから、こう言った。

    そういう活動は夢がある反面、不安定でもある。
    だが、当社が輸入している乳製品を山形のスーパーに卸す調整と、
    山形の乳製品を当社で扱う調整とを、団体と当社で契約できるなら、
    東京事務所長は当社からの出向という形にしてもいいのではないか。

    団体のプロジェクト自体がどうなるかわからない中で、
    お前の雇用という面では悪くない。
    団体にとっても、東京事務所長の給与が補填されるなら悪くない話だろう。

    確かに、団体にとってもチャンスではある。
    けれど、そもそも県の力を借りることもよしとしていない団体だ。
    こういう話に、前向きな反応が出てくるかどうかは正直わからない。

    うかつに、これ以上踏み込める話でもない。

    会社。
    山形。
    実家。
    海外。

    どれも話はあるのに、どれも決まらない。

    どうも、八方ふさがりだな。
    どうしたらいいんだろう。

    そう思ったとき、ふと、あのチラシのことを思い出した。

    自分一人では、もう限界なのかもしれない。
    誰かに聞いてもらうだけでも、違うのかもしれない。

    鞄からチラシを取り出し、もう一度読んでみた。

    「これからのことを一緒に整理します。」

    その一文が、前よりも少しだけ、近くに感じられた。

    ――お願いしてみるか。

    そう思って、終業後、私はその番号に電話をかけてみることにした。

     
     
    終活と建設業許可など許認可を専門とする行政書士。ミドルシニアの第二の人生選択を得意とするキャリアコンサルタント。

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