
うねりの残滓 | あとがき
という、いいわけ。
『うねりの残滓』を最後まで読んでくださった皆さま、
本当にありがとうございました。
そして、まだ作品は読んでいないけれど、このあとがきを開いてくださった方にも感謝しています。もし少しでも興味を持っていただけたなら、心の片隅に留めていただけたら嬉しいです。
この作品は、僕が初めて最後まで書き上げることができた小説です。
きっかけは、本当に些細なものでした。久しぶりにFacebook(作中ではRinqbook)を開いたとき、自分の中に生まれたある感情が、この物語の始まりでした。思いつきでプロットを書き始め、「これは面白くなるかもしれない」という手応えだけを頼りに、少しずつ形にしていきました。
しかし、実際に書き始めると簡単ではありませんでした。展開や構成、物語の長さ、公開までのスケジュール。そのどれにも悩み、何度も書き直しました。公開した今でも、「やっぱりここを直したい」と思う場所はあります。
それでも最後まで書き切ることができたのは、
この結末を、自分で見届けたかったからです。
この作品には、あえて答えを出さなかったことがあります。
田島は何だったのか。
相良と三俣、そして竜美家にはどんな繋がりがあるのか。
竜美は、あの場所で何を背負っていたのか。
そして、若命はどうなったのか。
そんな疑問を抱いた方もいるかもしれません。
実は、『うねりの残滓』には前日譚のプロットがあります。物語の背景や登場人物たちの繋がりも、その中ではある程度決めています。ただ、それらをこの作品にすべて盛り込んでしまうと、『うねりの残滓』という物語が持つ曖昧さ、そしてメタ的な要素が薄れてしまう気がしました。
だから今回は、あえて引き出しにしまいました。
作中には、少しだけ遊びも入れています。
僕という現実の存在。
十六枚の鏡。
十六章という構成。
そして、六月十六日に公開するという、自分の中だけの目標。
正直に言えば、「十六」という数字に特別な意味があったわけではありません。ただ、その数字をひとつの目標に決めたことで、不思議と言葉が前へ進んでいきました。後から振り返ると、自分でも少し面白い目標だったなと思っています。
若命という「僕」は、この物語と現実の境界に、小さなノイズを生む存在になれたらいい。そんな実験でもありました。
もし次に前日譚を書くことができるなら、今度はもう少し、小説そのものと丁寧に向き合ってみたいと思っています。
そして、この作品を公開した理由は、もう一つあります。
「自分にも小説を書き上げることができた」
その事実を、誰よりもまず、自分自身が認めたかったからです。
もし『うねりの残滓』が、どこかで誰かの記憶に残ってくれたなら。
そのとき、この物語にも、小さな「残滓」が生まれたのだと思います。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
若命 宏一