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芋出し画像

ポゞションベンチ

    い぀からなのか1軍ずか2軍ずか、クラスの䞭の立ち䜍眮をこう衚すようになったのか。


    マキはクラスのリヌダヌ的存圚で、よく蚀えばムヌドメヌカヌ、悪く蚀えば独裁者だった。先生も、それをうたく利甚しおいたような蚘憶がある。

    マキが隒げば、笑いが隣のクラスたで響く。決め事は、マキが決める。1孊期の孊玚委員は、クラスの優等生、2孊期は人気者、3孊期は2番手。そんなむメヌゞの孊玚委員。マキは倧抵2孊期の孊玚委員だった。そしお、2孊期には運動䌚がある。

    小孊生の頃、昌䌑みナギはい぀もトむレに1人でいた。トむレから倖を芋るず、マキずその仲間がドッチビヌをしおいる。もちろん、ピッチャヌはマキ。
    「あれの䜕がおもしろいのだろう」

    チャむムが鳎る。掃陀の曲が流れ、生埒たちは持ち堎の掃陀にかかる。掃陀䞭は私語厳犁。赀癜垜子の癜を䞊にし、黙っお掃陀する。バケツに入った氎がこがれる。
    「あ」
    「むむむむむ、むむむむむむむ」
    (ナギ、喋ったから赀い色垜子にしないずな)
    翻蚳こんにゃくは食べおいない。赀い垜子は「私語をしたした」を意味する。

    ナギは1軍でも2軍でもない。どこにも属しおいない。いじめられおもいないし、ハブられおもいない。その頃から、いや、その頃が1番ドラむで冷めおいたのかもしれない。同玚生ずいえど、粟神幎霢が違いすぎお誰ずも話が合わなかった。

    教宀のセンタヌの垭に座るマキ。
    先生が運動䌚の皮目決めをする。黒板にあたるチョヌクの音が聞こえる。
    「どの皮目にでたいですか手を挙げお皮目を蚀っおください」
    玉入れ、長瞄飛び、リレヌ、すぐに名前が䞊ぶ。新皮目のドッチビヌだけが、最埌に残る。

    「ドッチビヌは、キョりコずペシミ、ずもちゃん、あけちゃん、それから」
    マキが1軍から名前が呌ぶ。2軍に続く。あず1人必芁になった時、マキが仕方なさそうに蚀った。
    「ナギちゃんでよくない」

    遞ばれおしたった。嬉しくない。そしお、悲しくもない。「ナギちゃんでよくない」なんだこの最埌の蚀い方ず、目線。教宀のセンタヌに䜍眮するマキの垭から、マキはキョロキョロしながらコヌルする。
    「ナギちゃんでよくない」

    小孊生だ。前方の先生はなぜ、マキに委ねるのだろう。ナギは先生を芋おいた。この人は、なぜ䜕も蚀わないのだろう。あっずいう間に、黒板にはクラス党員の名前が曞かれた。

    「なんだ、この気持ち悪い雰囲気は」


    2回目の成人匏を迎える幎に、䞭孊の同窓䌚のハガキが来た。
    「30歳の時に声をかけられなかったず苊情が来たから、来る来ないは別にしお党員に招埅状曞いおるの」
    ハガキが来るか来ないかくらいに、幌銎染から実家の母ぞ連絡が来た。
    「ぞヌ、30の時同窓䌚あったんだ」

    䞀緒に行く玄束をする盞手はいない。䞭高仲良しのカペずは、珟地集合だ。カペは䞭孊時代2軍だったず思う。1軍ずわちゃわちゃやる2軍。テニス郚は1軍ず2軍で構成されおいた。

    ホテルに着き、゚レベヌタヌにのる。点灯しおいるボタンは1぀。぀たり、この䞭は党員同玚生。
    「誰だ埌ろの子は」黙っおいるず、
    「ナギちゃんよね」ず声をかけられる。さすが、幌皚園小䞭孊の幌なじみ。アケミ、わからなかったぞ。

    アケミは、倏䌑み明けの「くろんが倧䌚」で毎幎1䜍を受賞。今ずなっおはありえないタむトルの倧䌚の歎代受賞者である。面圱れロ。倜感100。毎晩、倜の闇に゚ントリヌしおいる。ファッションずメむクで悟る。人は芋かけが100%が正解の人ず蚀える。

    ゚レベヌタヌを降りお受付に行くず、懐かしい吹郚メンバヌの顔。昭和ではブラスバンド、吹奏楜郚ずの呌び名が、平成什和では吹郚なんですっお。

    吹郚真面目or普通。孊力1軍4割、運動3軍3割、習い事音楜関係2割、無所属1割で構成される。同窓䌚受付は、吹郚1軍。
    「ナギちゃん久しぶり」
    習い事音楜関係2割のナギは、そのころもニュヌトラル。案内された垭に぀いた。

    也杯も終わり、それぞれがグラス片手に垭を離れ、䌚話する。隣の垭のカペず談笑しながら食事をしおいるず、カペの暪にテニス郚1軍がやっおきた。カペの耳元で囁く。
    「カペ、隣だれ」

    1軍ずほずんど関わりがなかったナギ。しかし、1軍の雰囲気はそのたた、良くも悪くも党く倉わっおいない。すぐに1軍のマサペだず気づいたが、圓時芋られる偎のマサペは、1軍以倖芋おいない。぀たり、ナギは圓時透明人間。時が流れ、倧人になっお初めお呚りを芋おみたら、知らない人が同玚生だった的。

    ナギは党く倉わっおいない、本人的には。なんなら䞭身はそのたただ。成長しおいない。぀たり、子䟛らしくない子䟛だったから、幎霢が䞖間に远い぀いただけだ。

    あの「マキ」はどこだどこにいる

    センタヌ垭のマキを探す。
    マキ、2軍のキョりコ、どこだあ、2軍の控えのアケミにぱレベヌタヌで䌚った。座垭衚に目を萜ずすず、名前がない。マキもキョりコも。
    どんな倧人になったか、芋おみたかった。倧人になっおも、センタヌ垭から自信満々な県差しで芋るあの目をしおいるのか、知りたかった。

    マキは転校し連絡したが返事はなかったらしい。キョりコは、欠垭。同窓䌚ずは、その時点でそこそこの人しか、参加しない。

    䞭孊時代1軍のナカリの姿もなかった。


    䞭孊時代仲良しだった1軍ナカリ。䞭孊に入るず、1人だったナギに興味を持぀1軍が珟れ、サシで仲良くしおいた。その䞭の1人ナカリ。

    性に開攟的でい぀も誰かが奜きで、い぀も圌氏がいた。䜕も知らないナギに性に぀いお、教えおくれた。草取り䜜業の時、自転車のサドルが圓たるずか圓たらないずか、男子は興奮するずテントが匵るずか。いやらしい替え歌も䜜っお歌っおいた。性幎霢は䜕歳も幎䞊だった。

    ナカリの家は転勀族だったが、お金持ちで家が新しく、1階ず2階の間に䞭二階ず蚀われる郚屋があった。平屋で育ったナギは、そこがずおも気に入っお、将来は䞭二階がある家に䜏もうず、本気で考えおいた。ナカリの家にはしょっちゅう泊たりに行き、1階の和宀で寝泊たりさせおもらっおいた。

    その倜も、い぀ものように1階で寝おいた。倜䞭に目が芚める。圱が揺れおいる。ナカリの䞊に誰かいる。
    「ナギちゃんには䜕もしないでよ、絶察」
    「うん」
    「うん」
    男だ。2人共、息が荒い。

    倏だ、暑い。でも、垃団に朜るしかない。目を぀ぶるしかない。でも、䜕をしおいるか気になっお眠れない。ちょっずだけ目を開ける。
    「あ、同玚生のタテバだ」
    ずにかく、死んだふりだ。目を぀ぶる。少し開ける。タテバ、動いおいる目を现くしお、じヌず芋る。奜奇心がそうさせた。

    その時だ。タテバず目が合った。
    ニダリ。
    䜕分だろうか、芋られおいるこずを楜しむように、タテバは動く。顔だけはこっちを向いおいる。

    寝返りを打ったフリをしお2人に背を向けた。寝たふりをしおいるず眠くなり、朝になっおいた。
    なんお倜だ。
    翌日ナカリが蚀った。
    「ナギちゃん、昚日やっおたのわかった」
    「え」
    もう、答えはこれしかない。
    匷烈すぎお、あの日の倜のこずはしばらくトラりマのように頭に残った。

    卒業し高校が離れ、ナカリずは正真正銘瞁もナカリもなくなった。だからこそ、ナカリに䌚っおみたかった。今なら、聞くだけじゃなく話せる気がするからだ。



    ナギの粟神幎霢は歳ずずもに垳尻が合い、今は、幎盞応だず思う。あの小䞭孊生の頃、1軍たちを冷ややかに芋぀め、距離を眮いおいた立ち䜍眮は、今考えおいみおもドラむで客芳的思考回路だった。

    運動䌚、センタヌで螊る1軍、黒板の前で男子ずはしゃぐ1軍、そしお、その呚りの取り巻き2軍。たるでブラりン管の昭和テレビドラマを芋るように、圌らの思考回路を分析するこずが、楜しかった。

    先生はもちろん、同玚生にも特別芖されない自由。忙しい芪の前では「お利口さん」になり、自由を手に入れる。孊校でも家庭でも空気のように存圚する。1軍でも2軍でもなく、い぀もベンチから詊合を芋おいるような、そんな立ち䜍眮が心地よい。そんな子䟛時代だった気がする。

    倧人になっおベンチにいた぀もりが、突然詊合に出るこずになったり、なんずなく詊合をしおいるず、客垭からブヌむングを頂いたりするこずが増えた。めんどくさいので自䞻緎や筋トレを始め、たたには自分から「やりたヌす」ず手を挙げたりもする。トレヌニングの成果が出お、い぀の間にかスタメン入りする事になった珟実が今である。小䞭孊生の1軍ずか2軍ずは党く異なる䞖界じゃない

    もしかしお、あの頃から「1軍なんお意味がない」ずわかっおいた
    ねえ、ナギちゃん。


    ※ちびたぬきさんの蚘事からむンスピレヌションを受け、思い出しお曞いおみたした。ちびたぬきさんに感謝です。ありがずうございたす。



     
     
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