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なぜ氎深10cmの甚氎路でも溺れるのか 物理で読み解く氎難事故の危険性

いた、公立の小孊校・䞭孊校では氎泳の授業が瞮小・廃止されおいたり、民間に委蚗されたりしおいたす。

スポヌツ庁が幎ごずに行っおいる調査[1]によるず、什和3幎床時点では小孊校で87%、䞭孊校で65ずなっおいた孊校プヌルの蚭眮率が、什和6幎床の時点では小孊校で83%、䞭孊校で63%ずなっおいるこずが刀明したした。

孊校プヌルの蚭眮率が䜎䞋しおいる背景には、斜蚭の老朜化が進み、曎新に倚額の費甚がかかるこずや、維持管理業務が教員の倧きな負担になっおいるこずなどが挙げられたす[2]。

䞀方、笹川スポヌツ財団が什和6幎に行った調査[3]では、党囜1140自治䜓のうち「すべおの小孊校でプヌル授業を実斜しおいる」ず回答した自治䜓は93.4%でした。このうち、民間事業者に委蚗しおいる小孊校は玄2割、公共斜蚭などで実斜しおいる小孊校は玄4割に達しおいたした。

小孊校における氎泳プヌル授業の実斜状況垂区町村/
笹川スポヌツ財団最終閲芧日2026.7.14

実は、孊校にプヌルが蚭眮されおいるのは䞖界的に芋るず珍しく、プヌル授業があるオランダやドむツでは、公営プヌルで授業を行っおいたす[4]。

日本では、い぀ごろから孊校でプヌル授業を行っおいたのでしょうか

日本の孊校プヌルず氎泳授業は「呜を守るため」に始たった

むメヌゞ

日本最叀のプヌルは玄200幎前の江戞時代に䌚接藩や長州藩の藩校に蚭眮された「氎緎堎」だず蚀われおいたす。

日本は海に囲たれ川も倚く、戊の際に銬ずずもに氎泳の技法が呜運を分けるずされおいたした。そのため、「波を立おない」「刀を持ちながら」などの特色がある叀匏泳法が発達し、珟圚、日本氎泳連盟が認めるものだけでも各地に13流掟も残っおいたす。

日本囜内の孊校でプヌルの授業が行われるようになったのは、第二次䞖界倧戊埌の1947幎のこずですが、この圓時は遊びの芁玠が匷く、氎に芪しむこずに重点が眮かれおいたようです。

その埌、本栌的に氎泳の授業が採甚されるようになったのは1955幎になっおからです。

この幎、高束沖で修孊旅行䞭の小䞭孊生を乗せた連絡船「玫雲䞞」が沈没し、168人が犠牲になった氎難事故が起きたした。[4]

この事故を重くみた文郚省圓時が、氎泳を習埗するこずが呜を守るこずに぀ながるずしお、孊校指導芁領のなかに「党囜の小䞭孊校ぞのプヌルの蚭眮ず氎泳授業の取組み」を明蚘し、それが珟圚に至るたで続いおいたす。

氎難事故はどこで発生しおいる 

譊察庁が氎難事故に぀いおたずめた「什和幎における氎難の抂況等」[5]によるず、平成1516幎ごろたでは事故件数が枛少しおいたすが、その埌は珟圚に至るたで暪ばいの傟向が続いおいたす。

氎難事故発生件数の掚移/什和幎における氎難の抂況等/
譊察庁最終閲芧日2026.7.14

什和2幎から什和7幎に぀いお具䜓的に芋おみるず、この6幎間で亡くなった、たたは行方䞍明ずなった䞭孊生以䞋の氎難事故の党件数は167件で、決しお少なくはありたせん。そのうち堎所別で芋るず、たずえば河川で96ä»¶(箄57%)、甚氎路で13ä»¶(箄7.8%)ずなっおいたす。たた行為別で芋るず、たずえば氎遊び䞭が75ä»¶(箄45%)、魚ずりや釣りをしおいる最䞭が16ä»¶(箄10%)、歩行䞭が7ä»¶(箄4%)でした。

死者・行方䞍明者䞭孊生以䞋の堎所別数/什和幎における氎難の抂況等/
譊察庁最終閲芧日2026.7.14

京郜倧孊の実隓で分かった「氎深10cm」の危険性

流れのある川で事故が起こるこずは想像ができたす。氎遊びをしおいるずきに事故が起こるこずも想像はできたす。しかしそれだけでなく甚氎路のような小さな流れでも幎平均2件皋床の事故が、それも死亡たたは行方䞍明ずいう倧きな事故が起きおいたす。

甚氎路での事故に関連するものずしお、京郜倧孊の岡宗䜑らの研究グルヌプによる、「溝や甚氎路で発生する氎難事故の危険性に関する実隓的研究」[6]ずいう非垞に参考になる研究があり、氎深10 cm皋床の甚氎路でも氎難事故が起きる可胜性が瀺されおいたす。

以䞋すべお実スケヌルで蚘したすが、実隓条件は以䞋のようなものです。

  • 氎路は幅40 cmず80 cmの2皮類を甚意

  • 流れる氎は、流速60 cm/秒から1.0 m/秒たで、10 cm/秒ごずに倉曎できる

  • 氎深は6 cmから10 cmたで1 cm刻みに倉曎できる

ここに7才児の子どもに芋立おた身長120 cm、䜓重23 kgの着衣状態の人䜓暡型を、「立䜍」「座䜍」「臥䜍」の3通りの姿勢で眮いお、さたざたな枬定を行いたした。なお、立䜍に぀いおは論文内に䜓の向きに぀いおの蚘述がありたせんでしたが、「座䜍」「臥䜍」のずきには、人䜓暡型をそれぞれ、次のように眮いおいたす。

  • 座䜍のずき人圢の前面を䞊流に向け、その足を䞊流偎に䌞ばした状態

  • 臥䜍のずき頭が䞊流偎に、足が䞋流偎になるように暪たわらせた状態

姿勢ず氎路の幅でこれだけ違う 人䜓が受ける「力」

この論文には、流氎が人䜓に䞎える力(流䜓力)の枬定倀が蚘されおいたす。氎路幅が40cmず80cmのそれぞれに、流速を1.0 m/秒に限定、氎深は6 cmず10 cmに蚭定しお流氎を流したずきのデヌタです。数倀は孊術的な単䜍で曞かれおいたしたので、ここでは kg単䜍に換算しお䞋の衚にたずめたした。kg単䜍ずいうのは、たずえば䞋の衚の2行3列目の0.588であれば、0.588 kg (= 588 g)の物を持ち䞊げるのず同じ力を、䞊流から䞋流に向かっお人䜓が受けおいるこずを衚しおいたす。

この実隓結果から、人の姿勢が3皮のいずれであっおも、氎路幅の狭い方が流䜓力が倧きいこずが分かりたした。たた座䜍の堎合に぀いおは、䜓で流れが遮られお暡型の䞊流偎で氎䜍が䞊昇(せき䞊げ)、぀たり䜓の前ず埌で氎深差が生じるこずが確認されたした。

この研究によるず、流速が60 cm/秒、氎深が8 cmで氎を流した堎合や、流速が80 cm/秒、氎深が6 cmで氎を流した堎合でも、䜓が流されおしたう危険性があるず結論づけおいたす。

さらに、溺死の芳点からの分析も行われおいたす。人䜓暡型が臥䜍の堎合(䞊蚘の通り頭郚が䞊流偎)、氎路幅が40 cm、流速1.0 m/秒、元の氎深が10 cmのずきにせき䞊げにより頭郚付近の氎深が20 cmを超えたした。これがこの研究の状況蚭定範囲内では最倧倀でした。

たた、この研究では、次のようなこずも分かっおいたす。

  • 氎路幅が40cm
    流速60cm/秒・氎深6cmの堎合 → 頭郚偎の氎深が10cmを超える

  • 氎路幅が80cm
    流速1.0m/秒・氎深6cmの堎合 → 頭郚偎の氎深が10cmを超える

おそらく子どもの頭の倧きさをもずにしたのでしょうが、この論文では、仰向けであれば氎深20 cmで、暪向きに倒れおいる堎合では氎深10 cmで、それぞれ溺死する可胜性があるずいう刀断をしおいたす。

流䜓力の衚から、元の氎深が10 cmのずきには、氎路幅が80 cmであっおも座䜍で3 kg匱、臥䜍で4 kg匱の力を子どもは流氎から受けるこずになりたす。氎路幅が40 cmのずきには座䜍で5 kg匷、臥䜍で8 kg匱の力を受けたす。5 kg入のお米の袋を想像するず、これらは子どもにずっおは非垞に倧きな力で、流されないように䜓を支える、あるいは立ち䞊がる、などの行動が非垞に困難になるこずが想像されたす。

むメヌゞ

氎路内が苔や藻などで滑りやすくなっおいるこずも考えられたす。あるいは氎路ず道路の高䜎差が倧きい堎合もあり、手を぀くこずができる堎所がコンクリヌト補の垂盎な壁であるため、子どもは壁に぀かたるこずができずに立ち䞊がれない可胜性がありたす。流量が少ないから、あるいは小さい(぀たり幅の狭い)氎路だからず蚀っお䟮るこずは危険だずいうこずがわかりたす。

なぜ狭い氎路の方が匷い力がかかるのか

実隓では幅の広い氎路よりも狭い氎路の方が流䜓力が倧きくなっおいたすが、それは次のように考えるず良いでしょう。

たず、座䜍や臥䜍の姿勢の堎合、人の䜓は流氎にずっお障害になりたすので、氎は暪に逃げお流れようずしたす。氎路の幅が広いず氎が逃げる堎所も広がりたすので、氎は䜓の暪を緩やかに流れおくれたす。しかし氎路の幅が狭いず氎が逃げる堎所が狭くなり、䜓の䞊流にはせき止められた氎が溜たっお䞋流ずの氎䜍の差が倧きくなり、たた狭くなっおいる䜓の暪を氎が勢いよく流れおいくこずになりたす。

氎が流れる勢いは、ホヌスを䜿っお庭に氎をたくずきに出口を狭めるず勢いの匷い氎が、広げるず勢いの匱い氎が、それぞれ流れ出るこずず同じです。䜓が受ける力の源は、䞊流ず䞋流の氎䜍差から生じる氎圧ず、氎が流れるこずで生じる抵抗力です。氎路の幅が狭いず氎䜍差が倧きくなるため䜓が受ける氎圧も倧きくなり、流速も速くなるので抵抗力も倧きくなる ずいう盞乗効果で流䜓力が倧きくなりたす。

氎の流れはどう䜓を抌すのか─粘性抵抗ず慣性抵抗

氎圧に぀いおは埌で蚘すこずにしお、ここでは流氎による抵抗力に぀いお考えおみたしょう。これは座䜍よりも臥䜍の方が、たた幅の広い氎路よりも狭い氎路の方が、流䜓力が倧きいずいう結果ずしお衚の数倀にも珟れおいたす。流氎による抵抗力は、「粘性抵抗」ず呌ばれるものず「慣性抵抗」ず呌ばれるものに分けるこずができたす。

「粘性抵抗」ずは摩擊力の䞀皮で、氎に觊れる面積が倧きいず力も倧きくなり、たた流速に比䟋しお倧きくなりたす。座䜍よりも臥䜍のほうが氎に觊れる面積が倧きいので、粘性抵抗は倧きくなりたす。京郜倧孊の実隓では着衣を想定しおいたすので、衣服の存圚により粘性抵抗はさらに倧きく圱響したす。前述のように、幅の広い氎路よりも狭い氎路の方が䜓の暪を流れる流速が速くなりたすので、人䜓に働く粘性力も倧きくなりたす。これが氎路の幅が広いずきよりも狭いずきの方が流䜓力が倧きくなる理由のひず぀です。

では「慣性抵抗」ずはなんでしょうか。
今回の実隓ではあたり倧きな圱響を䞎えおいないかもしれたせんが、流れが速くなるず䜓(だけでなく流れの䞭にある物䜓なら䜕でも)よりも䞋流偎で枊ができるこずがありたす。このずきに働く力が慣性抵抗です。

力の倧きさは流速の2乗に比䟋したす。本来なら䞋流に流れ去っおゆく氎を䜓の近くに匕き止めるこずになるので、匕き止めるために必芁な力を䜓が抵抗力ずしお感じるこずになりたす。なお、䞋流偎の枊は䞊䞋巊右に予枬の難しいでたらめな動きをしたすので、慣性抵抗が働くずそれに匕きずられお䜓も䞊䞋巊右にでたらめに揺れるこずになりたす。

氎難事故ずは盎接の関係はありたせんが、スポヌツの䞖界では、サッカヌの無回転シュヌト、バレヌボヌルの無回転のサヌブ、野球のナックルボヌルなど、ボヌルがランダムに揺れお萜ちる珟象の原因はここにありたす。

倒れるず流されやすくなる理由

さお、京郜倧孊の論文では、流氎力だけでなく、摩擊力ず浮力を考慮しお䜓が䞋流に向かっお流される可胜性を指摘する考察がありたした。

手足で螏ん匵るこずができるようになるたでの間に流䜓力によっお流されないためには、摩擊力が倧きくなければいけたせんが、その摩擊力は人ず氎路の底ずが接觊しおいる面(接觊面)に掛かる力に䟝存したす。たずえば荷物が入っおいる段ボヌル箱が床の䞊にあっお、床の䞊をすべらせお箱を移動させようずするずき、軜い箱よりも重い箱の方がすべらせるのが倧倉になりたす。これは単に重いからではなくお、箱が重くなるず箱ず床ずの間の摩擊力が倧きくなるために、それだけ倧きな力を加えないず摩擊力に打ち勝぀こずができないからです。

そうは蚀っおも流されないようにするために、すぐに䜓重を増やすこずはできたせん。ここに浮力が関わっおきたす。䜓重から浮力を匕いたものが氎路の底の接觊面に働く力ですが、浮力の倧きさは氎に浞かっおいる郚分の䜓積に比䟋したす。

぀たり、立䜍だず流氎力が小さいだけでなく浮力も小さいので、摩擊力は倧きくなり、䜓は流されにくくなりたす。座䜍だず䞊半身の倚くは氎の倖に出おいたすので、臥䜍よりも氎に浞かっおいる䜓積が小さくなり、それだけ浮力は小さく、そのため摩擊力は臥䜍の時よりも倧きくなりたす。流氎力は座䜍よりも臥䜍のほうが倧きく、逆に摩擊力は座䜍よりも臥䜍のほうが小さくなりたすので、その盞乗効果で座䜍よりも臥䜍のほうが䜓が流されやすくなりたす。

京郜倧孊の論文では最埌の方に、浅い流れであっおも溺れる可胜性が指摘されおいたした。私たちは「溺れる」ず聞くず、党身が氎に沈んでいるず考えおしたいがちですが、実際には「口ず錻が氎面䞋に入った状態」になるず呌吞がしにくくなるため溺れる可胜性が高たりたす。氎䜍が10 cm皋床でも溺れる可胜性があるこずには十分に泚意が必芁だず思いたす。

氎圧ずは

むメヌゞ

「氎圧」ずはなんでしょうか
氎圧ずは物䜓の䞊にのしかかる氎の重さによる圧力のこずです。

組䜓操の「ピラミッド」を思い浮かべおください。圓たり前のこずですが、䞀番䞋の人が䞀番重さを感じおいたす。その珟象が氎の䞭でも起きおいたす。氎の浅いずころでは、自分の䞊にある氎が少ないため軜く、深く朜れば朜るほど、自分の䞊にある氎の量が増えるため、どんどん重くなりたす。

ただし氎圧は䞊䞋方向だけでなく氎平方向(前埌巊右方向)にも働きたす。机の䞊にスラむムや粘土を眮いお手のひらで抌しお朰すず、手のひらず机の隙間から暪に広がっおゆくこずを思い浮かべおみおください。氎圧もこれず同じです。なので、実行はちょっず難しいかもしれたせんが、立った状態のたた氎䞭に朜るず、䞊䞋に朰されるだけではなくお前埌巊右からも抌されたす。実はこれは悪いこずではなくお、䞊䞋から人䜓に加わる圧力をこの力が支えるように䜜甚したすので、人は力を入れなくおも氎䞭に朜っおいるこずができたす。せいぜい耳が痛くなるぐらいです。

氎圧は、ちょっずした実隓で䜓感できたす。
手にポリ袋をかぶせお、「パヌ」の状態のたた氎の䞭に手を入れおみおください。
どうなるず思いたすか

氎の䞭に手を入れた瞬間、「ポリ袋がピタァァァ」ず、たるで真空パックされたかのように手の圢に匵り付いおきたす。これが「氎圧」です。

空気䞭ではポリ袋の䞭の空気ず、倖偎の空気が抌し合う力が同じため、袋はフワフワずしおいたす。䞀方で、氎䞭ではポリ袋の倖偎から「氎を抌し返そうずする匷い力氎圧」がかかりたす。そのため、袋の䞭の空気が䞊から抌し出され、逃げ堎をなくしたポリ袋が手にぎったりず抌し付けられおしたうのです。䞊䞋方向だけでなく、氎平方向にも氎圧が働きたすので、ポリ袋は手や腕にピタリず匵り付くのです。

ここでもう䞀床、京郜倧孊の実隓を芋盎しおみおください。たずえば座䜍のずき、氎路の幅が狭く流速が倧きいずきには、䜓よりも䞊流偎がせき䞊げによっお氎䜍が䞊昇した状態になりたした。氎圧は䞊䞋方向だけでなく氎平方向にも働きたす。぀たり、䞊流偎ず䞋流偎で氎䜍に差がある堎合、䜓の前から氎に抌されたずき、背䞭偎には支えおくれるモノがありたせん。単玔蚈算では、15 kg分の重さの氎を前方から受けるこずになりたす。実際には15 kg分すべおが人にかかっおくるわけではありたせんが、少量の氎ず思われる堎合でも流れがあるず危険床が増す理由のひず぀がここにありたす。

流れる氎はなぜ危険

むメヌゞ

川や甚氎路などのように氎の流れおいる堎所ず、プヌルや池など氎の流れがない堎所を比范した堎合、もちろん氎の流れがある堎所の方が、事故が起きる危険性が高くなりたす。ただ、「流れがあるず䜕倍くらい危険なのか」ずいう点に぀いおは、氎深や氎枩、流れの速床など倚くの芁因に巊右されるため、具䜓的な数倀は明らかになっおいたせん。

河川財団は氎の流れがある堎所で事故が起きやすい理由ずしお、次の4点を挙げおいたす。[7]

  • 流れによっお䜓力を奪われる

  • パニックになりやすい

  • 障害物に巻き蟌たれる

  • 流れの匷さが芋た目で分かりにくい

実は、氎深がひざ皋床の浅さでも流れが速い堎合には倧人でも流される可胜性がありたす。たずえば、流速0.5 m/秒皋床(時速玄1.8 km)でも歩行が難しくなるこずがありたす。時速1.8 kmずいうのは、発達段階にもよりたすが、3歳児皋床の歩行速床です。

もちろん氎の流れが早ければ、それだけ危険床が増したす。

氎の流れが流速0.5 m/秒ず仮定した堎合、氎深が成人男性の足銖くらい(æ°Žæ·±1020 cm)であれば歩行に困るこずはありたせんが、ひざ䞋くらい(氎深玄30 cm)になるず歩きにくくなり、氎深が50 cmになるず転倒のリスクが高たりたす。

子どもの堎合は氎深が30 cm皋床でも流される可胜性がありたす。

流速が2倍になるず力は4倍 足元をすくう氎の゚ネルギヌ

流速0.5 m/秒ずいうのは、芋た目にはかなり緩やかな流れです。
しかし、氎深50 cm皋床でも、実際には足だけではなく倪ももや䜓幹郚分にも流れを受けるこずになりたす。そのため成人男性でも片足あたり1 kg盞圓の暪向きの力を受けおいるこずになりたす。流速が1 m/秒であれば力は4倍、流速2 m/秒であれば16倍の力が働きたす。

「氎難事故2026」をもずに䜜成

぀たり、流速0.5 m/秒の堎合には1 kg、流速が1 m/秒の堎合には4 kg、流速が2 m/秒になるず15 kg盞圓のオモリを足にひず぀ず぀付けおいる状態になりたす。

地䞊であっおも片足に15 kgものオモリを぀けお歩くこずなどできないかもしれたせん。それが、氎の䞭 ずなるず倪ももや䜓幹にも氎の流れが圓たったり、川底の石によっお摩擊が䜎䞋したり、滑ったり 。流れのある氎の䞭で歩くこずがいかに危険で、バランスを厩す可胜性が高いこずが分かりたす。

氎䞭で立ち䞊がれない3぀の理由

お颚呂やプヌルで思いがけず足がツルッず滑っお「うわぁ」ずなった経隓はありたせんか 氎の䞭ですべったずきに立ち䞊がれなくなる原因には、䞻に次の぀が挙げられたす。

  • 浮力

  • 氎の抵抗

  • 摩擊䜎䞋

氎の䞭に入るず、䞋から䜓をフワッず浮かせる力「浮力」が働きたす。たずえばプヌルなどで肩たで氎に浞かった堎合には、䜓重が10分の1くらいたで軜くなりたす。䜓重が軜くなるず、足の裏が床を螏みしめる力が匱くなり、摩擊たさ぀が枛っおズルズルず滑っおしたいたす。

たた、氎は空気よりもずっず密床が高いため、動きが制限されたす。

たずえば、氎の䞭で手を動かすず、氎を抌しのけながら進たなければならないため、手は反察向きに抌し返されたす。これが「氎の抵抗」です。氎を受ける面積が倧きいほど抵抗は倧きくなるため、氎の䞭で「グヌ」で動かすよりも、「パヌ」で動かした方が重く感じたす。氎難事故のずきにも、同じこずがおきおいたす。぀たり、服を着たたた泳ぐず袖やズボンが広がり、䜓が氎を受ける面積が増えお、思うように動けなくなりたす。

立ち䞊がろうずしお䜓を䞊に起こしたり、䞋に足を䌞ばそうずしたりするたびに、目に芋えない氎の壁を抌し退けなければならないため、どうしおも動きがスロヌモヌションになり、立ち䞊がりにくくなる ずいうこずです。

さらに、溺れかけお手足を倧きく動かすず、今床は「䜜甚・反䜜甚」の法則が働きたす。これは「䜕かを抌すず、同じ力で抌し返される」ずいう物理のきたりです。立ち䞊がろうずしお慌おお氎を前に抌すず、その跳ね返りで自分の䜓がさらに埌ろぞ抌し付けられおしたい、たすたす起き䞊がれなくなっおしたうのです。

着衣泳の誀解「䞊手に泳ぐ」ではなく、「浮いお埅぀」 

日本は䞖界的に芋おも溺死・溺氎事故が倚い囜のひず぀です。[8]
運河の倚いオランダやむギリス、オヌストラリアなどでは、服を着たたた泳ぐ「着衣泳」の教育が競泳よりも重芖されおいたす。それに察しお日本は、むギリスず比范するず溺死率が玄5倍になっおいたす。

「溺死 10䞇人あたりの死亡率」をもずに䜜成

文郚科孊省は、平成5幎に「氎泳指導の手匕き」を発行し、着衣泳を含む安党教育を掚進しおいたす。ただ、実斜率は公衚されおいないため、実際に孊校珟堎でどれくらい指導が進んでいるのかは䞍明です。しかし、スむミングクラブなどでの着衣泳の指導は少しず぀ではありたすが広たっおきおいたす。

「着衣泳」ずは、「服を着たたた䞊手に泳ぐこず」を目的ずしたものではありたせん。クロヌルなどのなんらかの泳ぎの圢でもありたせん、[9]

着衣泳ずは、服を着た状態で浮いたり、移動したりしお自分の身を守るための技術です。

服を着たたたでは、服が氎を吞っお䜓にたずわり぀き、氎の抵抗が倧きくなるため、手足が思うように動かなくなりたす。オリンピックに出堎経隓のある氎泳遞手でも、服を着たたたの状態で泳ぐのは簡単ではありたせん。

着衣泳の指導では、たず、溺れたずきには「浮いお埅お」ずいうこずを教えおいたす。

ラッコのように仰向けでプカプカ浮いお、足の先を䞋流に向けお流されるのが䞀番安党だからです。こうしお足を浮かせおおけば、川底の岩に足が挟たっお動けなくなる危険フット・゚ントラップメントを防ぐこずもできたす。

着おいる服や靎は邪魔ではありたすが、服や靎の浮力を利甚するこずで、浮かびやすくなりたす。服を着おいるこずを最倧限に生かしお、無駄な動きをせずに、できるだけ長く浮いお、助けを埅぀こずが、着衣泳のもっずも重芁なポむントです。

溺れおいる人を芋぀けたずきに、たずするこずは

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では、溺れおいる人を芋かけたずきはどうすればいいのでしょうか[10]

そもそも、誰かが溺れおいるずしおも、氎の䞭は抵抗があるため、䜓をパシャパシャず動かすこずができたせん。぀たり、「あの人、溺れおいる」ずいうこずが、呚りにいる人からはあたり分からないのです。30秒ほど経過しお、ようやく「やばいっ」ず気が付いお慌おる ずいうこずが倚いのだそうです。

溺れおいる人がいるこずに気が付いたずきには、助けようず思っお氎の䞭に入っおはいけたせん。どんなに泳ぎが埗意な人でも、蚓緎もせずに人を救助するこずはできたせん。

たずは「浮いお埅お」ず声をかけお、119番に電話しおください。そしお手近にある浮きそうなものを近くに投げ入れおください。カバン、ペットボトル、傘、ランドセル いろいろなものが浮きたす。ランドセルは䞭に教科曞が入っおいおも浮きたす。

ペットボトルを投げるずきは、少し氎を入れおフタを締めおから投げるず、遠くたで飛びたす。レゞ袋は空気を入れお膚らたせれば、持っおいるだけでかなり浮きやすくなりたす。

もし呚囲に人がいたら、その人にも声をかけお手䌝っおもらうずいいかもしれたせん。「浮いお埅お」ができおいれば、救助が来るたで埅぀こずがベストです。

さいごに

氎難事故は、川や海、プヌルなど、氎䞭で遊んでいるずきにばかり起きるわけではありたせん。近くを歩いおいお、なんらかの拍子に萜ちた ずいうこずも十分に考えられたす。実際、河川財団の調査によるず、氎難事故の割近くは河畔でのスポヌツ、キャンプ・バヌベキュヌなどをしおいる際に起きおいたす。

子どもず川で遊ぶずきには、倧人はあらかじめ䞋流偎に立っおください。子どもより䞊流偎にいた堎合、流されたずきに救助が間に合いたせん。

そしお、流されおしたったずきには、立ずうずしないこず、元いた堎所に戻ろうずしないこずが倧切です。元の堎所に戻ろうずするず流れに逆らっお泳ぐこずになるのでリスクが高たりたす。流れの緩やかな堎所を芋぀け、そこたで移動できるのであれば、それがベストですが、それができない堎合でも立たずに浮いお埅っおいおください。そうするこずで救助の可胜性が高たりたす。

川遊びをする際には、しっかりず情報を集めお、準備を敎えお川遊びを存分に楜しんでくださいね。

最埌になりたしたが、今回、「物理」に関する郚分は、koedoにご寄皿いただいたこずのある物理孊が専門の「カラフルな䞀歩」様に倧幅に加筆・修正しおいただきたした。お忙しいなか、ご協力いただきありがずうございたした。


【参考文献】

  1. 什和幎床䜓育・スポヌツ斜蚭珟況調査の結果抂芁/スポヌツ庁

  2. 孊校プヌル瞮小に「氎泳は呜を守る授業」元代衚の投皿に反響。芪の共感、珟堎の苊悩 萩原智子「氎の教育は転換点」/CHANT WEB

  3. スポヌツ振興に関する党自治䜓調査 2024/笹川スポヌツ財団

  4. 䞖界的に珍しい孊校のプヌル、熱心な氎泳授業は歊芞が由来 芋盎される孊ぶ目的/読売新聞オンラむン

  5. 什和7幎における氎難の抂況等/譊察庁生掻安党局生掻安党䌁画課

  6. 「溝や甚氎路で発生する氎難事故の危険性に関する実隓的研究」/岡宗䜑岡本隆明當麻泰史戞田圭䞀枡蟺力什和2幎床 京郜倧孊防灜研究所 研究発衚講挔䌚 P109 (Feb., 22-24, 2021)

  7. 氎難事故2026/公益財団法人河川財団

  8. 溺死 10䞇人あたりの死亡率/World Life Expectancy

  9. 着衣泳を広めるプロゞェクト

  10. 着衣泳で䞀番倧切なこず・知っおおくべきこず


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