
ダン・サリット『Fourteen』変質していく関係性と変わらない友情
人生ベスト。批評家であり映画監督でもあるダン・サリットの長編5作目となる本作品は、対照的な二人の若い女性の長年に及ぶ関係性の緩やかな摩耗を描いた作品である。面倒見が良く頼りがいのあるマーラ、辛辣で聡明だが常に悩みを抱えているジョーは一見なんの接点もないように思えるが、14歳の時に出会ってからの親友同士。冒頭のマーラは保育園教師として忙しくも充実した日々を送っているようだが、ジョーは既にソーシャルワーカーとして仕事を続けるのに苦労している。ある時は申請書を書くジョーの手助けをし、ある時は深刻に落ち込んだジョーの部屋の前で彼女の元カレに追い返され、ある時はダブルデートでバーに行き、ある時は塞ぎ込んで実家に預けられたジョーを見舞いに行き…と、マーラの人生の中でジョーに関連している挿話を抜き出したような形で進んでいく。
映画は彼女たちやその恋人たちとの間にある日常風景と日常会話で構成されており、時が流れてその関係性が徐々に変質していっても失われることのない友情のダイナミズムを克明に描写している。また、一つのカットで数ヶ月から数年スキップすることもあり、場面が切り替わると二人の恋人が変わっていたりすることもしばしば起こる。特に後半の序盤と同じ感覚/温度で数年が経過してしまう寂寥感は凄まじい。まるで慣性のみで回るコマが次第に速度を落としていくという、どうしようもないが必然的な終焉を見させられているかのようだ。
気分の浮き沈みの激しいジョーは困ると頻繁にマーラに電話を掛け、会う約束をするのだが、マーラがやって来るまでにすっかり心変わりしてしまい、約束をすっぽかしたり自室に籠もってしまったりとマーラを振り回し続ける。物語は基本的にマーラの視点で進むので、画面外にいるジョーの生活が荒れていくのは彼女の感知できる範囲でしか分からない。だからこそ、我々も決定的な決別がないにも関わらず疎遠になってしまった人々をジョーに重ねてしまうのかもしれない。
マーラの娘が"あのジョーじゃん"と言ったことで、心に仕舞い込んだ感情が溢れ出し、編集がその余韻をドライに封じていく感じが素晴らしかった。人生を"別れの物語"とするなら、本作品は間違いなく人生の縮図であり、どれだけ悲しみがあっても残された人間の人生は続いていく。
追記
多分テイストはミア・ハンセン=ラヴ『すべてが許される』とかカテル・キレヴェレ『Suzanne』に近い。どちらも日本語字幕を付ける作業をしながら鑑賞を見送ってるので早く観なければ…

・作品データ
原題:Fourteen
上映時間:94分
監督:Dan Sallitt
製作:2020年(アメリカ)
・評価:100点
本作品は2020年新作ベスト10で4位に選んだ作品です。