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とても好みな少女漫画に出会った - 榛野なな恵『卒業式』感想


まったく知らない作家・作品。実家の母親の本棚にあり興味を持った。友達に薦められて買ったがまだ読んでいないらしい。


高騰してる!!



2025/5/19

卒業式

1994年発表

このままいったら 後ろ向きの追いかけっこで 一周しちゃう

この言語センスすき


権力は「鬼島」を中心とした円になってる
ぐるぐる ぐるぐる

目覚まし時計の追いかけっこってこれの前振りだった!??

やや変わった優等生の中3主人公が、学校および町の権力構造と陰謀を調査して立ち向かう系の少女マンガ
私TUEEE系のフンイキを感じる

それじゃまるきり大人の縮小コピーじゃない!
子供としてのプライドは無いのっ?

マジで主人公の台詞の切れ味が良い
"子供としてのプライド" て

「少女」を搾取する男権社会のグロい構造に真っ向から立ち向かおうとしている直球にフェミニズム的な話。これがエロゲだったら主人公は敗北陵辱されて終わりだが、少女マンガなので…… こんな少女マンガもあるんだなぁ。そりゃあるか。
エロゲ『魔法少女消耗戦線』の少女マンガver. とはいえるか。

私SUGEE系主人公が、その天才性を正しく反-権力構造のために行使しているために、鼻持ちならなさを受けず、素直に応援できる。こういうパターンがあったか。

平凡が一番とかそれが自然なんていう言葉は壁みたいなものだと思う
そこで思考をストップさせてしまうための都合のいい壁
私はその向こうにあるものを見たいの 聞きたいの 知りたいの 先生
そうじゃなかったらどうしてこんなめんどうな勉強をするの? 難しい本を読む必要があるの?

うおおおお最高!!!
桃川清良(せら)かっこよすぎる!!!! これぞ正義のヒーロー、いや、まさしくヒロイン。
正義のエゴイストが我が道を突き進むさまに、こんなに見てて胸打たれるとは。

角を曲がっちゃったね 先生
その横道の名前は「ひきょう者」って言うんだよ
私 弱い人間はしかたないって思うけど
ひきょう者は許せない

本当に格好いい すること語ること全てが
少女マンガの主人公が「失恋」=幻滅して、次の恋でもなく、ただひたすらに自分の反体制の道をゆく。

うおおお 卒業式の答辞の権利を得るために3年間成績のトップを狙い続けたのか…… 本番が楽しみすぎる

たとえコップの中の嵐でも 一滴くらいは外にこぼしたいものだ

かっっけぇ〜〜!!! 完全にハードボイルドもの
ミステリではないが「探偵もの」ではある 少女探偵

人の思いというのは大きく深く とても一つの言葉で収めることなどできないと感じるからです
もどかしさだけがつのります

ジグソーパズルをこわしちゃったね
さあ 逃げようか
ううん逃げない
追いかけるんだ
嫌いなものは 絶対きらい
夢を見るのも 走りながら
鍵穴を抜けて 別の部屋へ
梯子に登って 隣の宇宙へ
追いつめながら 会う人ごとに挨拶もして
さようなら こんにちは
そして
卒業 おめでとう
愛と絶望と 希望を込めて

うおおおおお!!!!!! 最高!!! 完!!
最後の見開きのモノローグ、詩じゃん。これわたしの座右の銘にしていいですか?
「卒業」とは、地獄からの脱出でありながら、逃避を反転させ「追いかける」のだと、さらには「追いつめ」ているのだと、鮮やかに自分を定義し直す。それだけの軽やかさと強さをもっている。


これまで読んだなかでいちばん好きな少女マンガといっていい…… 短編マンガのなかでもトップクラスに好きだ。榛野なな恵?? なんだこの作家は。

法政大学哲学科卒…… この類まれな言語センスはそういうことか
代表作をまだ(不定期)連載してんの!?!?

ゴリゴリにアナーキーでフェミニズム的・反体制的だが、同時に紛れもなく"学園青春"マンガでもあるのがまたすばらしい。この地獄のような学園を卒業してゆく自分たち「少女」を刻み、寿ぐ。なんということだろうか。

『青春の終焉』で論じられているように、そもそも青春とは恋愛などではなく反体制的な政治活動が源流にあるのだから、その意味でも完璧な青春モノの少女マンガである。
女子校ではなく共学モノなのも地味にすごい気がしてきた。

桃川清良、自分のひとつの理想の「ヒロイン」といえる。
こんなにも自分が好きな少女マンガあっていいんだ。そりゃ入江喜和とかを少女マンガの括りに入れていいんならこれまでもあったけど……



放課後

1993年発表

おっ 呼んだ?


知りたいのは花の名前であって花言葉じゃないのが良いよな〜(花言葉ガチアンチ並感)

榛野なな恵の描く主人公みんな好きかもしれない。堀口さんかわいい

これは……百合か!?
こちらも先ほどと同様に主人公の詩的で抽象的なモノローグで〆る しかしこちらは掌編といってもいいほどに短く、プロットが希薄であり、結局どういうことなのか理解が難しい。掴みどころがない。

あ、もう1ページあったわ。
堀口→大岡の秘めたる思慕の情と、高2の3月という、あと少しで「最後の年」が訪れてしまう前のつかの間の平穏で幸福な日常を留めておきたいと願う気持ち…… これら両者がどう繋がっているのかよくわからない。仲間内の喧騒には加わらずにいつも微笑んで傍観している大岡さんの態度が、3月の静けさや不穏さに通ずるのだろうか。


早春賦

p.102 また「花の名前」を覚えたい人物が。

うおお これもストレートにフェミニズム漫画だ…… 樋口一葉ら先人が切り開いてきた熱を受け取ろうとしない、箱入り女子高の少女たちと、ただひとり疑問を持ち続ける主人公。構造がかなり「卒業式」と似ている。独善的、ともいえるかもしれないが、自分はこれに素朴に感動してしまうなぁ

うわ〜 こういう「時代から取り残されたように見える老教師のすごさを私だけは感じとれる」系の、先生と生徒の関係好きだ…… 「教育」と対話の物語に弱い。

あとは、これを自己陶酔的に主人公だけの物語に完結させずに、いかにして周りの同世代の若者たちに開いて連帯していくか、かな。

そして、この自己陶酔は、社会変革に結びついているものなので、キツさがあまり感じられない。すばらしいモノローグの文体もまた、この自己陶酔感をうまく調整しているように思う。

私なんか屈折して乱反射してってかんじだけど

良

それならいったい誰が誇りを持って生きよと教えるの?

本当に高潔



野茨姫

真っ向から結婚規範・家族主義にアンチを張る

カズコ・ホーキ『ロンドンの床下』からの引用


SFぅ!?とビビったが、そんなことは無かった。よかった〜 信じてるぜ榛野なな恵……

憧れの姉が結婚して凡庸な「幸せな家庭の女」になってしまったことに絶望して、眠り姫のように本当の自分を抑えていた「貧血少女」が、「完璧」なクラスメイトに出会って目を覚まし、茨のトゲを磨きながらしたたかに生きていこうと決意するシスターフッドのおはなし。よかった!

ちょっと小野木さんは完ペキすぎて、それはそれで、姉が「いい人」と出会って結婚して生き方を変えてしまったのと実は同型のロマンスを反復しているのでは、という気がしないでもないが……

とにかく「目をしっかり開いて生きろ」「決して周りに流されるな」と執拗に訴えかける。
ひじょーに理想主義的で、典型的な左翼フェミニストの佇まい。自分も左翼フェミニストなので、めちゃくちゃ好きだ……

やたらスカートを短くしたりするのって制服に制服(精神の)を重ね着してるみたいだし…。

どゆこと?? 素でこういう感性の持ち主だからこその台詞回しだよな〜



おわり

言語センスが光る台詞回しにおいても、高潔な思想においても、マンガ表現や画風においても、めっっっっちゃくちゃ自分好みの漫画だった・・・
世の中に、こんなに全てが好みのマンガがあっていいんだろうか、と恐くなるくらい。間違いなくオールタイムベスト級のマンガ。

こういう少女漫画が存在してくれていたことが、ただただ嬉しい。

ちょうど、こないだ読んだ末次由紀『Silver』が、もっとも苦手なタイプの少女漫画だったとすれば、『卒業式』はもっとも好きなタイプの少女漫画といっていい。

榛野なな恵、読んでいきたい。
代表作『Papa told me』は27巻まで出ていて未完結か……


半年前くらいにバズってたんだ





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